Project/Area Number |
23K01144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 公博 京都大学, 法学研究科, 教授 (70302643)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 刑事訴訟法 / IT化 / 書面の電子化 / 対面のオンライン化 / 情報通信技術 / IT / 電子データ化 / オンライン化 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、刑事手続を、紙媒体の使用や対面による方法に代えて、IT(情報通信技術)を用いて、電子データのやり取りやオンラインで実施するものとすることが、これまでの手続においてその関与者に保障されてきた手続的価値や権利に及ぼす影響を明らかにするとともに、ITの導入によって可能となる、既存の手続よりも適切に手続的な価値を実現する手続のあり方を構想するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、刑事手続における①書類の電子データ化及び発受のオンライン化および②対面による手続のオンライン化を主たる検討の対象とする。このうち①との関係では、クラウド上に保存されている電磁的記録を捜査機関が保全する手法としての、いわゆるリモートアクセスの実施や統制の在り方について示された最高裁の判例の意義を検討した。電磁的記録の保全に向けた手法は、IT技術の普及により証拠となりうる情報が物理的にではなく電磁的に記録されることが通例となっている現状において、捜査目的の的確な実現にとって不可欠であり、その適正な在り方を明らかにすることに意義が認められる。また②との関係では、法廷に所在しない証人との間での、いわゆるビデオリンク方式を用いた証人尋問の許容範囲の拡張に向けた立法論を題材として、非対面の証人尋問の許容性と、立法によりその根拠規定を設けることの実際上の意義を論じた。証人尋問の実施方法の選択は、裁判所の裁量に属するという理解も成り立ちうるところであり、またビデオリンク尋問は、供述不能となりうる証人の証言を書面よりは直接的な方法で獲得することに資するものであるために、その柔軟な活用が期待される一方、それが対面での尋問に比べ、事実認定や訴訟運営の適切さに消極的な影響を及ぼしうるものであることも踏まえると、例外的にかつ適切な場面で許容されるべきものとも考えられる。以上を踏まえると、その許容性に合意が得られた類型として法律上明示された範囲で実施すべきものとすることに、オンライン尋問の適切な運用を促すという意義があるといえ、こうした理解は、IT化に向けた立法の有する意義にかかる理解の一つの在り方を示すものといえる。そのほか、①②双方に関連する、2022年の学会大会で実施したワークショップでの意見交換の概要を公刊した。これは当時の学界における議論状況を示す資料としての意義を有する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度における本研究の主たる対象である①書類の電子データ化及び発受のオンライン化②対面による手続のオンライン化について、それぞれをめぐる議論状況の整理、および具体的な制度の可否および要件の検討に関し、一定の成果を公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
①書類の電子データ化及び発受のオンライン化②対面による手続のオンライン化について、引き続き、文献研究による我が国における議論状況を改めて整理するとともに、さらにテーマを広げて具体的な制度のあり方について検討を加える。併せて、外国の文献研究や実地調査により比較法的検討の素材を得る。さらに、検討内容の妥当性について、研究会等の場で他の研究者・実務家との間で意見交換を行い、検討を深める。
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