児童虐待事件における医学鑑定に関する横断的研究:乳幼児頭部外傷事件を中心に
Project/Area Number |
23K01152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
徳永 光 獨協大学, 法学部, 教授 (20388755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹倉 香奈 甲南大学, 法学部, 教授 (00516982)
古川原 明子 龍谷大学, 法学部, 教授 (60440187)
君和田 友美 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (80973164)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 乳幼児頭部損傷 / SBS/AHT / 医学鑑定 / 鑑定制度 / 児童虐待 / 冤罪 / 刑事裁判 / 乳幼児頭部外傷 |
Outline of Research at the Start |
児童虐待が社会問題化し刑事訴追の件数が増えている一方、とくに乳幼児の頭部外傷事案においては、虐待を行っていない保護者らが起訴されたり、誤った有罪判決を受けたりする事案が相次ぎ問題となっている。客観的な証拠も関係者の供述も得にくい頭部外傷事案で最重視されるのは医学鑑定であり、医学鑑定の質の確保は極めて重要といえる。しかし日本では、鑑定人の資格や研修、鑑定のためのガイドライン等、その質の確保に必要な施策が設けられていない。そこで本研究では、聴き取り調査やアンケート調査を行い、医学鑑定がどのように運用されているのか実態を明らかにした上で、諸外国の制度との比較に基づき、具体的な改革案を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、虐待を疑われた乳幼児頭部損傷事案における医学鑑定の信頼性を担保する仕組みを検討し、具体的提言を行うことを目的としている。そこでまず、医学鑑定の運用実態を調査し課題を明らかにする作業に取り組んだ。 2023年度は、刑事裁判での鑑定経験が豊富な医師11名(専門領域は、脳神経外科、放射線科、小児科、法医学など他領域にわたる)の協力を得て、インタビュー調査を実施することができた。調査項目は、医師による鑑定依頼の引き受け・不承諾の判断基準、医師による刑事手続への協力を阻害する制度的要因、教育・研修プログラムの有無や内容、行動指針と資格制度、証言前の捜査機関・当事者等とのコミュニケーションのあり方についてであった。 インタビュー調査から、鑑定依頼の方法(依頼の仕方や提供される鑑定資料の範囲だけでなく、謝金の有無や額についてさえ)統一的な運用基準がなく、地域ごと依頼者ごとに様々であることや、鑑定を引き受ける際にも刑事手続についての説明を受ける機会がほとんどないこと、医師の所属機関において鑑定に関するガイドライン等は設けられていないことなどの実態を把握することができた。 インタビュー調査とともに、小児頭部損傷研究会(4月22日、7月29日、11月18日開催)において(本研究のメンバーは全員世話人として運営に携わっている)、脳神経外科医による研究報告、乳幼児硬膜下血腫の受傷機転に関する多施設共同研究の結果報告、無罪事例についての弁護人、鑑定人からの報告等を受け、検討する機会を持った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、11名の医師に対して聴き取り調査を実施することができ、必要な調査は概ね終了した。研究計画調書においては、2023年度にアンケート調査を含めた実態調査を実施予定と記載していたが、関係学会にアンケート調査への協力依頼を行うには一定の手続が必要であることや、調査項目を吟味する必要があることから、アンケート調査は2024年度中に実施することとした。現在、2023年度に実施した聴き取り調査の結果に基づき、アンケートの質問項目を作成中である。その他、国内外の文献調査については、各自が継続的に行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査を行うには、適切な質問項目を設定し、結果の信頼性を確保する必要がある。そこで、アンケート調査の方法や内容についても専門家から助言を得る予定である。また、より広い範囲で調査を実施するため、関連学会に協力を求めているところである。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)