Project/Area Number |
23K01194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀬戸口 祐基 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (20707468)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2027: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 金銭 / 担保 / フランス法 |
Outline of Research at the Start |
日本法の下では、金銭が実質的な担保目的財となる例が複数存在する。そして、これらの例においては担保目的財産に相当する金銭を担保権者が占有することが考えられるところ、このような状況の下で担保権者が当該金銭を完全な所有者として自由に扱うことができるかは必ずしも明らかではない。 そこで、本研究では、この問題について既に一定の議論の蓄積があるフランス法を参照することで、上記の例について、担保権者が担保目的財産に相当する金銭を占有する場合に当該金銭を完全な所有者として自由に扱うことができるかを明らかにするかたちで、金銭を担保目的財産とする担保についての総合的研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、担保権者が担保目的財産に相当する金銭を占有する場合に、担保権者は当該金銭を完全な所有者として自由に扱うことができるかを明らかにすることを目的とするものであるところ、2023年度には、この問題に関するフランス法の状況を調査した。具体的には、フランスにおける2021年の担保法改正の結果としてこの問題についてどのような規律がされることとなったかを確認するとともに、その規律内容をめぐる最新の議論状況をフォローした。 これにより、まず、フランスでは2021年の担保法改正により金銭そのものを担保目的財産とする担保として金銭譲渡担保が制度化されるに至ったが、この制度の下では担保権者が担保目的財産である金銭を占有するとき、担保権者はこの金銭を原則として自由に扱えることが明らかとなった。また、同じく2021年の担保法改正により制度化されるに至った債権譲渡担保においては、担保権者が本来の担保目的財産である債権の取立てにより金銭を占有することが想定されているところ、このようにして担保権者が占有することとなった金銭については金銭譲渡担保についての規律が妥当し、担保権者はこの金銭を原則として自由に扱えることも判明した。しかし、他方で、債権譲渡担保と類似する制度である債権質においては、同じく担保権者が本来の担保目的財産である債権の取立てにより金銭を占有することが想定されているものの、こちらについては、担保権者はこの金銭を専用の口座で保管しなければならず自由に扱えないことも判明した。 こうしたことから、2021年の担保法改正後のフランス法の下では、担保権者が担保目的財産に相当する金銭を占有する場合の規律が、問題となる担保の性質に応じて体系的に整理されているといえる。このことは、日本法の下でのあるべき規律を考えるうえで参考になるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、2023年度には、フランスにおける2021年の担保法改正に先立って公表されたフランス語の研究論文の内容を精査するとともに、その内容を手掛かりとして、フランス法についての関連する基本情報を取得することにしていた。しかし、2021年の担保法改正直後からフランスにおいて関連する重要論文が複数公表されており、かつ、それらの論文においては2021年の改正前後のフランス法の状況についての基本情報も示されていることが判明した。そこで、予定を変更し、2023年度には、当初は2025年度に実施することを予定していた、2021年の担保法改正後における最新の議論状況のフォローを行った。この結果、当初予定していた基本情報の取得を達成するとともに、当初は2025年度に予定していた作業の多くを達成することもできたため、作業量としては、おおむね当初予定していた程度の進捗があったものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、フランスにおける2021年の担保法改正に先立って公表されたフランス語の研究論文の内容を精査しつつ、2021年の担保法改正に至るまでの議論の経過を調査する。続く2025年度には、改めて、2021年の担保法改正後における最新の議論状況をフォローしたうえで、フランス法についての検討結果をまとめることを予定している。 そして、2026年度から2027年度にかけては、このようなフランス法についての検討結果をふまえたときに、日本法の下で、金銭が担保目的財産に相当することとなる各種の例について、担保権者が担保目的財産に相当する金銭を占有する場合に、担保権者は当該金銭を完全な所有者として自由に扱うことができるかを明らかにする予定である。
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