Project/Area Number |
23K01201
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内海 博俊 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (70456094)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | 民事訴訟 / 消費者裁判手続特例法 / 訴訟担当 / 共通の訴訟代理人 / 当事者適格 / 集団訴訟 / 当事者 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、多数人に利害が一定程度共通する財を目的とする訴訟において、それらの多数人のために特定の少数人が具体的な訴訟追行をすることを可能にしている複数の訴訟上の制度に関する議論状況を整理し、それらの俯瞰的・横断的検証を試みることによって、多数人のための訴訟追行に関する規律のベースラインと、異なる規律を採用する際に考慮すべき諸課題及び解決策についての知見を提供しようとするものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、特定・少数の者が多数の者のために民事訴訟を追行する現象に注目するが、とりわけ、そのために利用可能な制度とそれらの利用のされ方について俯瞰的・横断的に観察・考察を加えることによって、このような現象についての規律のベースラインを探るとともに、ベースラインを離れる規律を構想・採用する際における課題や注意点、ありうるそれへの対策等に関する示唆を得ようとするものである。またその際、直接の研究対象である日本法に加えて、アメリカにおける特定少数者による多数人のための訴訟追行とその規律のあり方を対照軸として参照しようとするものである。 初年度である2024年度においては、主にアメリカ法・日本法に関する情報のアップデート作業を、文献調査を中心として行なった。特に日本法においては近年、いわゆる民事裁判のIT化に関係する諸改正に加え、消費者裁判手続特例法等に関しても法改正や判例の展開が相次いでおり、これらが多数人のための訴訟追行に及ぼしうる影響について、改正後の実務のあり方が未だ十分には見えない中で考える必要に迫られている。そのため、より慎重に調査検討を進める必要を認識している。 具体的な成果としては、多数人のための訴訟追行において、訴訟追行者たる少数人による和解が重要であること自体は自明であるが、消費者裁判手続特例法の改正を契機として、少数者がいかなる要件・手続により訴訟上の和解をすることが可能であるかという問題と、そのような和解を多数者がいかにして受容するかという問題について、日本法は後者が確保されることを前者の自明の要件とはしていない可能性が高いこと、他方で、そもそも前者に関する共通理解が、少なくとも少数人による多数人のための和解について応用可能な程度には確立していないようにみえることを改めて認識することができたことが挙げられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属大学の移籍に伴う研究室の移転等があり、スタートはやや鈍い動きとなったが、豊富な資料によりアクセスしやすい環境を得て、概ね順調に研究を進めることができ、少数の訴訟追行者による和解に関しては、消費者裁判手続特例法改正にややフォーカスしたものではあるが、論文を公表することができた。また諸事情により公表には至っていないが、少数者による訴訟追行結果の多数者による受容ないし利用という側面から重要である確定判決の第三者への効力に関しても、一定の検討を進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、文献調査による進展を相対的に見込みにくい、いわゆる弁護団方式による訴訟追行についての知見を深めるべく、実務家・実務経験者との意見交換の機会の確保により務める。また、2018年までの在外研究時のものがベースとなっているアメリカ法に関する知見については、アップデートを引き続き行なっていくが、公表可能なものは早期にまとめて公表し、希薄化することなく参照可能なものとしたい。
|