An Interdisciplinary Study on Negotiation Rules for Inter-industry Licensing of Standard Essential Patents
Project/Area Number |
23K01211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05070:New fields of law-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 秀弥 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (30364037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 賢太郎 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (20376396)
平塚 三好 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 教授 (20453839)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 標準規格必須特許(SEP) / 異業種間ライセンス / 差止め / 誠実交渉義務 / 独占禁止法 / 競争法 / 知的財産法 / 欧州連合(EU) / 標準規格必須特許 / 交渉ルール |
Outline of Research at the Start |
あらゆる製品(モノ)がネットワークでつながり、ビッグデータを処理することで新たな付加価値を生み出す、いわゆる第四次産業革命の推進が重要な役割を果たすと考えられる中、権利者と実施者の利益の適切なバランスをいかに図り、イノベーションをいかにして促進するかという問題は、以前から国の重要政策課題にもなっている。にもかかわらず、本研究課題に関する研究の欠落は日本の産業・経済に深刻な影響を与えかねない。 本研究は、SEPの異業種間ライセンス交渉に関するルールを、当事者間の「誠実交渉義務」を基礎に具体的に可視化して、その意義と理論的背景を明らかにし、総合的かつ具体的なヴィジョンを描くものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、あらゆる物・サービスがInternetにつながること(いわゆるIoT化)により、自動車等のわが国が強みとする産業分野で、通信規格に関する先端技術の実施に不可欠な「標準必須特許(Standard Essential Patent,以下「SEP」という)」の異業種間でのライセンス取引が急増し、差止め訴訟の提起等、全世界で当該SEPに関する法的紛争が多発している。 これに関する各国の判決は、権利者の利益を重んじるか実施者の利益を重んじるかで大きく分かれてしまっており、実務的に予見可能性がない状況にある。加えて、日本ではこの点に関する研究は極めて乏しい状況にある。このままでは、日本の産業界や経済にとって深刻な影響が生じかねない。 そこで本研究は、これに関する諸外国の議論を網羅的に分析することを通じて、現状不明確なSEPの異業種間ライセンスに関する交渉ルールを、当事者間の「誠実交渉義務」を基礎に可視化して規範化し、もって総合的かつ具体的な理論的指針を提唱しようと試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主な研究対象である競争法制、知的財産法制、情報通信法制に関しては、既にかなりの研究実績を挙げることができており、研究期間中の本研究計画はおおむねスムーズに遂行できている。顕著な業績の一例として下記を挙げることができる。 Shuya Hayashi, Koki Arai, “Digitalization and Competition Policy in Japan” (163 pages, Springer, 2024). 本研究は、EUの法政策的議論の蓄積(ドイツ、フランス等の加盟国内の議論を含め、特に賛否意見が対立した場合のその意見整理)をできる限り仔細に分析すること、そして仮に類似の法制を我が国に導入しようとした場合、我が国の法体系や社会的・経済的前提を踏まえた立法政策としてどのように考慮すべきか検討することに力点を置いて分析した。その際、単に法律学の観点だけでなく、研究分担者の連携研究者の助力も得て、エビデンスに基づく規制策定の基盤となる経済学と経営学の観点からの考察にも力を注いだ。そして、それらの作業は、単独国家で完結した法政策を採ることがおよそ不可能であり、EU・米国等の間で揺れる我が国のデジタル社会の法形成のあり方それ自体に対する示唆を見出すというより高次の目的を視野に入れて行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として次の3点に留意して行う。 第1の点は、研究の国際性である。その内容・方法が日欧米比較研究であることや、英語での成果公表等を目指していることに加えて、情報それ自体がもつ固有性からも、国際性が要請され、それに日本法の立場から応えようと試みたい。すなわち、情報やデータは、物理的に無体・無形であり、容易に国境を越えて、本来的に自由に流れる性質がある。こうした情報の特質がデジタル化の進展する現代にあっては一層顕著になり、そこでの課題解決やルール形成・執行を難しくしている。本研究は、我が国ではあまり研究対象とされていない標準規格必須特許の権利行使に関する法制の全体像と主要規則・判決間の相互作用を、分野横断的な研究により明らかにしようとする。そして、我が国では立法政策についての研究自体が活発とはいえないなかで、グローバル化が進むデジタル知的財産分野における立法・政策・実務並びにその学術的研究の方法論を構築することを試みる。 第2の点は、研究の視点とアプローチにおける理論性と実務性を融合させることを試みる(融合性)。本研究は、海外共同研究者との現地での実態調査に加えて、関連の判例・法令・学説の文献調査や理論研究を中心に据えた上で、諸外国の研究者・実務者と直接会って議論することを通じて、法制度の背景や法実務の実態を調査し、理論研究で得られた知見をより実証的かつ立体的に検証することを目指している。 第3の点は、研究連携の包括性と学際性を推進したい。本研究は、情報法・競争法分野をはじめ、共通の問題意識をもつ関連の憲法や知的財産法等の法学分野、人工知能等の革新的な技術の開発・発展動向に関する理工系分野、社会変革に関する経済学・計算社会科学といった関連社会科学分野の知見も取り込むことにより、できるだけ幅広い視野で研究対象を見渡すことを試みる。
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Report
(1 results)
Research Products
(18 results)