Project/Area Number |
23K01228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 洋平 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (90242065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾玉 剛士 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (60751873)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 地方分権 / 政党政治 / 比較政治 / 西ヨーロッパ / フランス / イタリア / 日本 / 政治史 / 政党 |
Outline of Research at the Start |
20世紀末以降、先進諸国で実施されてきた地方分権化改革は、民主制や政党に対してどのようなインパクトや帰結を齎したのか。本研究は先進国の中でも分権改革に至る歴史的文脈に類似点の多い日仏伊三カ国に着目し、体系的な比較を通じてこの問いに答える。比較政治史の手法を用い、仏日伊三カ国について複数の地域の党派ネットワークを比較分析することによって、分権改革と政党政治の構造変容の間の複雑な相互作用を解き明かす。
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Outline of Annual Research Achievements |
20世紀末以降、多くの先進国において地方分権化の制度改革が実施されてきたが、選挙制度改革などとは対照的に「分権改革」が民主制のあり方、特にその根幹となる政党にどのようなインパクトを齎したのか、正面から分析されることは殆どなかった。本研究は日仏伊三カ国に着目し、中央地方間に張り巡らされた党派ネットワークに対する分権改革のインパクトについて、比較政治史の手法で体系的な比較分析を行う。 2023年度は、公共サーヴィスや都市計画、社会保障など、中山と尾玉が各々専門とする領域毎に、三カ国における分権化の制度改革を洗い出す作業を進め、インパクトについて仮説を定立するための素材の集積に努めた。その成果の一部を纏める形で、尾玉はマクロン政権期の社会保障改革について学会発表1本、論文2篇を公刊した。うち1篇は日本学術振興会及びフランス外務省・高等教育省などが助成する日仏共同セミナーにおいて発表・執筆された。中山は主として公共サーヴィスに対する分権化のインパクトについて知見を纏め、勤務先の東大法学部で行った特別講義「現代フランスの政治」において院生・学生からフィードバックを得た。 加えて中山は、党派ネットワーク分析の基盤となる、地域毎の事例研究について準備作業を進め、まずフランスについて政治家や高級官僚の残した文書をリストアップし、本研究にとっての利用価値を査定し優先順位を付けるなどして、次年度における現地調査に目途を付けた。 並行して、主たる事例となるフランスについて、分権化が進行した過去40年間の政治・社会・経済の構造変化の全体像を広く日本の学界や世論に共有してもらい、本研究の意義が理解されやすくするため、この分野で傑出した意義を持つと思われる、ミシェル・マルゲラーズ、ダニエル・タルタコウスキ『解けていく国家:現代フランスにおける自由化の歴史』の翻訳作業を二人で分担して進め、23年末に刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で予定した3つの工程、即ち、①制度改革の実態把握とインパクトに関する仮説定立 、②地域毎の事例研究、③分権改革のインパクトに関する理論モデルの構築のうち、主として最初の2年間に実施されるべき①と②の作業について、それぞれ着実に準備作業が進められたと言えるからである。 即ち、①については、三カ国のうち、なお中山と尾玉が共に狭義の専門とするフランスの事例が中心となっているものの、分権化改革のインパクトについて事例の集積を進め、日伊についての知見も確実に拡げることができた。次年度に行う仮説定立の作業を精度の高い形で行う基礎が着実に築かれたと言ってよいだろう。加えて、②についても、年度内にフランスについて現地史料調査を行うには至らなかったものの、次年度に調査を実施する際に効率よく高い成果を上げるための準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、本研究で予定した3つの工程のうち、主として最初の2年間に実施されるべき、①制度改革の実態把握とインパクトに関する仮説定立 、②地域毎の事例研究の2つについて、前年度の成果を踏まえて、文献資料の収集・分析と現地史料調査などを通じて、作業を本格化させる。即ち、中山と尾玉それぞれがまずフランスへの現地資史料調査を実施する。並行して、フランスだけでなく日伊両国についても文献資料の収集・分析を進め、25年度にかけて行うべき現地調査についても準備を進める。こうして得られた知見をもとに、分権改革のインパクトに関する仮説定立と修正を繰り返し試み、その精度の向上に努めることで、最後の工程である③分権改革のインパクトに関する理論モデルの構築に向けて土台を固めていきたい。
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