Project/Area Number |
23K01237
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大串 敦 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (20431348)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ロシア / 政治体制 / 戦時体制 / 個人支配 / 個人支配体制 / ベラルーシ / カザフスタン |
Outline of Research at the Start |
本研究課題は、ロシア、ベラルーシ、カザフスタンを事例として、個人支配体制の成立とその変容を検討するものである。現在のプーチン体制に代表されるように、通常の個人独裁にもまして高度に個人主義化された独裁体制はなぜ、どのようにして生まれるのか、国内の政治力学のみならず、国際的要因との関連の中で把握することを試みる。具体的には、高度個人主義化独裁への変容と特質を、1.エリートの人事、2.政策過程、3.国際関係との関連の三つに焦点を当てて分析する。これは比較政治学と国際関係論の垣根を横断する新たな研究課題として、新しい領域を開拓するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン三国の個人支配体制の成立と展開を考察するものである。1年目であった本年度はロシアを中心に調査と考察を行い、雑誌論文1本、書籍での章担当の論文3本、国際学会報告1本が研究成果であった。雑誌論文は、ロシア・ウクライナ戦争下におけるプーチンの戦時体制を考察したもので、戦時下においてもロシアは社会的な統制も緩く、限定的な動員しか行わない「低動員の戦時体制」を形成したことを論じた。戦時下のロシア政治は、西側報道では綻びばかりが論じられる傾向にあるが、これはある程度強靭性があり、希望的な観測に浸らずに冷徹に認識する必要があるとの含意も本稿にはある。 国際学会報告とロシアの個人支配体制を論じた書籍所収論文は、西側の民主化促進政策やNATO拡大がロシアの指導部に安全保障恐怖と「民主化革命」を策謀ととらえる考え方植え付け、ロシアの個人支配型の権威主義体制の成立に影響を及ぼしたことを論じた。 また、ロシア政治のテキストにおいて、議会政治を概観した。ロシアの議会はしばしば政府などが提出する法案を即時に採択するだけの「ラバー・スタンプ」であるといわれるが、にもかかわらず社会的な利害や省庁間対立などにより、議会の場で法案修正が行われていることを指摘した。
なお、ロシアの政治体制を考察するうえで、しばしば比較対象になるウクライナ政治に関して、独立後のウクライナ政治を概観し、ロシア・ウクライナ戦争下の戦時体制の成立までを論じた書籍所収論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロシアの政治体制に関して、今年度のみで3本の論文を公刊し、国際学会で報告を1回行った。初年度としては量的に順調な成果といえる。内容に関しては、イギリスでの報告は聴衆からかなり好意的なフィードバックを得ることができた。また、雑誌論文は、ロシアの現行の戦時体制に関して、西側報道ではきわめて多くの綻びや限界が指摘されてきたが、この体制がかなりの程度強靭であると論じた。いずれも、一般的な西側のロシア認識に一定の修正を求める内容になっている。 強いて言うと、英語での研究成果の発信が若干おろそかになったので、二年目はベラルーシでの調査・研究報告とともに、外国語での研究発信を行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目は、研究計画通り、ベラルーシのルカシェンコ体制の調査を中心に行う。もっとも言うまでもなく、ルカシェンコ体制の持続は、従来から、ロシアによる経済的な支援(低価格でのガス供給)に依存している度合いが大きい。また、2020年の大統領選挙に際して大規模な反対デモに直面して以来、ロシア依存は高まっていると考えられる。引き続きロシアの調査も継続しつつベラルーシを考察することになろう。ベラルーシ政治はわが国でも諸外国でも研究の蓄積が少ない分野である。本研究が一つの呼び水になればと考えている。
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