Project/Area Number |
23K01259
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
磯崎 典世 学習院大学, 法学部, 教授 (30272470)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 韓国の対日政策 / 日韓関係 / 尹錫悦 / 歴史認識 / 党派対立 / 2024年韓国総選挙 / 分極化 / 対外政策 / 政治的分極化 / 党派性と対外政策 |
Outline of Research at the Start |
2022年発足の韓国・尹錫悦政権は、日韓関係改善に向けて前政権の政策からの転換を提示したが、国内の反発もあって実現は不透明である。日韓関係悪化の要因として「記憶」や歴史認識に基づく対日感情をあげる研究は多いが、韓国政治研究では外交安保をめぐる党派対立が指摘されており、国民の対日認識と政策への影響を実証的に解明する必要がある。党派対立が激化する2024年総選挙で、尹政権による対日関係改善の方針も争点化する可能性が高い。本研究は、選挙時に争点化する「対外政策をめぐる党派対立」と「世論の対日認識」に焦点をあて、サーベイ調査等で韓国の対日政策を規定する要因を実証的に分析し、転換期の日韓関係を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、韓国の尹錫悦政権で推進されている対日政策の転換を題材にし、対日政策を規定する国内要因を解明することにある。2022年に発足した尹政権は、前政権で悪化した日韓関係を改善するため大胆な政策転換を行ったが、大統領の支持率の低さもあって先行きは不透明である。先行研究では、日韓関係悪化の要因として「記憶」や歴史認識にもとづく韓国の対日感情をあげるものが多いが、必ずしも実証的に検討されていない。他方で、近年は韓国内の党派対立において外交安保政策が争点化して研究もなされているが、対象は対米・対北朝鮮政策で対日関係に関する研究は遅れている。本研究では、尹政権による対日政策転換と2024年4月に予定されている総選挙に着目し、政策転換をめぐる党派対立が選挙過程で問題をどう争点化するか、党派対立のもとで有権者の認識がどう刺激されてどんな政治選好を形成し、選挙後の政策遂行・修正にいかに影響を与えるかという観点で研究を進める。 初年度である2023年度は、尹政権による対外政策転換が進行している過程であった。それゆえ、第一には、尹政権による対日政策の正当性アピールや与野党の対応・世論の反応に関する資料を収集し分析した。新しい対日政策の正当化は政権が提示する歴史認識、すなわち植民地支配や脱植民地化・建国に至る過程をどう捉え、現政権を位置づけているのかという点と関連している。研究成果の一部は、建国期および初段大統領の李承晩に対する評価を論じた論文で、尹政権の歴史認識として提示した内容に反映されている。 第二に、2024年4月総選挙時に実施するオンライン調査の設計のため、選挙争点や対日認識を分析するポイントを絞る準備を進めた。現地での資料収集や専門家への意見聴取を行い、尹政権の対日政策に対する韓国内の評価や、選挙過程において党派対立がいかに発現すると予想されるかなど調査を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2024年4月の総選挙は本研究で注目する重要ポイントであり、そこでの調査実施を目標にして準備を進めているため、計画は当初の予定通り進行している。ただし、2023年度の尹政権は、対米・対北朝鮮政策と連動させて対日政策を予想以上に大きく転換し、強く推進している。そのため、それに対する党派的な対立も含めて、検討すべき資料が予想よりも大量になっており、当初予定していたよりも、資料の整理・検討に若干の遅れが発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年4月10日の総選挙に合わせて、その前後にオンライン調査を実施する。選挙での争点、そのなかでの対日政策の位置、党派対立と尹政権の対日政策に対する評価などを解明できるよう調査を設計する。調査による有権者の認識と選挙結果から、総選挙において対日政策転換がどう評価されたのか(争点として重視されなかったのか)、対日政策が選挙結果に与えた影響の有無などを検討する。 さらに、選挙結果をうけた国内政治が対外政策の修正に何らかの影響を与えるのかを検討する。外交政策は大統領の専権事項ではあるが、国内政治が対外政策の策定や実施に影響を与えないわけではない。調査結果のまとめと選挙結果分析を踏まえて、選挙後の政治過程において、党派対立や世論が対外政策の方向性にどのように影響を与えるのかを解明していく。ナショナル・アイデンティティに関わる歴史問題の対象である日本に、韓国の国民はどのような認識を抱き、党派対立の中で対日政策がいかに位置づけられ、世論によって提示される選好が政治エリートの対外政策をめぐる対立にどんな影響を与えるのかという観点からの解明を行う。 調査の分析等を学会や研究会で報告してレビューをうけ、成果のまとめに反映させる。
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