Project/Area Number |
23K01271
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
冨田 晃正 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (30781679)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ブローバリゼーション / 労働組合 / 格差 / 自由主義国家 / グローバリゼーション |
Outline of Research at the Start |
先進国に共通する社会的格差の極大化と働く貧困層の広がりのなかで、労働組合が本来期待されていたはずの役割りを果たすことの意義と必要性が世界的に再び活発に論じられるようになって久しい。 例えば、伝統的に労働組合の影響力が弱い自由主義レジーム国家のアメリカにおいても、労働組合の社会的影響力の強化を願う声は拡大している。果たして労働組合はそうした期待に応えられるような存在であるのだろうか?また、そうした労働組合の現在地に対して十分な研究が蓄積されているのだろうか?これが本研究の主となる問題関心である。
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Outline of Annual Research Achievements |
先進国に共通する社会的格差の極大化と働く貧困層の広がりのなかで、労働組合が本来期待されていたはずの役割りを果たすことの意義と必要性が世界的に再び活発に論じられるようになって久しい。例えば、伝統的に労働組合の影響力が弱い自由主義レジーム国家のアメリカにおいても、労働組合の社会的影響力の強化を願う声は拡大している。果たして労働組合はそうした期待に応えられるような存在であるのだろうか?また、そうした労働組合の現在地に対して十分な研究が蓄積されているのだろうか?これが本研究の主となる問題関心である。本研究はこうした問いにアプローチすることを目指す。 アメリカをはじめ西側諸国の自由主義レジーム国家の労働組合は共通して、近年その組織的性質を変化させるような動きがあった。グローバル化の流れを受けて 1990 年代以降、欧米諸国の労働組合や労働運動は危機に瀕するようになったことで、組織を活性化させるために、それまでの保守的な組織からの脱脚や、環境・ジェンダー政策への傾倒のような政策志向の転換といった、戦略的で大規模な労働組合の組織変革が見られるようになったのである。 本研究は、こうした組織的変化がもたらした帰結に焦点を当てることで、持続可能な資本主義体制の構築に、労働組合が果たすべき役割や貢献の可能性に関して考察できる体系的な分析枠組みを開拓することを目的としている。ここでは、アメリカ以外にもオーストラリアやカナダといった、新自由主義レジーム的性質を有する国の労働組合の「変化」に着目し、比較することで、近年の労働組合が実施した組織改革の帰結を明らかにすることを目指し、1年かけて研究を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、グローバル化の進展により行き詰まりを迎えた労働組合の変化の様子とその帰結を、多国間横断的なアプローチを通して明らかにすることで、包括的な労働政治研究の実現を目指している。 その目的のため本研究では、①ソーシャル・ユニオニズムに転換した労働組合間での成果を巡るバリエーションの検証、②そうした成果のバリエーションを生み出した要因の探索―といった二つのプロセスを経て、グローバル化時代の労働組合の存在と役割に関して考察する。その過程で労働組合の組織変化の帰結に対する対照的な二つの仮説を中心に検証する。一つ目は、ソーシャル・ユニオニズム成功仮説(以下、成功仮説)であり、これはビジネス・ユニオニズムからソーシャル・ユニオニズムに転換したことで新たな構成員を獲得し組織の拡大強化に成功した、というものである。二つ目が、ソーシャル・ユニオニズム失敗仮説(以下、失敗仮説)であり、これはビジネス・ユニオニズムからソーシャル・ユニオニズムに転換したことで、新規の構成員の獲得には成功するが、既存の組合員からの信頼を損なうことになり組織の強化には失敗した、というものである。本研究では、こうした仮説を検証するために、アメリカを軸に多国間比較を実施するが、その対象国としては、①労働組合の立場が脆弱な自由主義レジーム国家である、②ビジネス・ユニオニズムからソーシャル・ユニオニズムへの転換を図った―ということを条件に、アメリカの他 にカナダ、オーストラリア、そしてイギリスを考えている。1年目においては、特にアメリカを中心に先行研究の収集及び日本で取得できる資料の収集を中心に行った。こうした結果、本研究の理論部及び実証箇所の下調べは概ね完了したと言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では仮説を検証するために、アメリカを軸に多国間比較を実施するが、その対象国としては、①労働組合の立場が脆弱な自由主義レジーム国家である、②ビジネス・ユニオニズムからソーシャル・ユニオニズムへの転換を図った―ということを条件に、アメリカの他にカナダ、オーストラリア、そしてイギリスを考えていることは既に指摘した通りである。 2年目以降は、1年目での準備を踏まえた上で、更なる広がりのある研究成果の実現を目指す。そのためにも、2年目以降は積極的に海外への研究調査を実施していくことを予定している。2年目は、アメリカ、カナダにおけるフィールド・ワークを中心に行い、3年目から4年目にかけてはオーストラリアとイギリスの調査を行う予定である。3年目から4年目にかけては、フィールド・ワークも進めながら、同時にそうした調査内容を整理した上でまとまった成果を出すことも目指す。なお、カナダとオーストラリアの調査に関しては、地域の専門家に研究協力者として手伝ってもらうことも考えている。 2年目のフィールド・ワークに関しては、特にアメリカにおいて労働組合関係の資料が充実しているメリーランドン大学内にあるジョージ・ミーニー・ライブラリーやサンフランシスコ州立大学にある労働図書館を訪問することに加えて、労働史の観点からアメリカ労働組合研究を実施しているエリック・ルーミス教授(ロード・アイランド大学)から助言を得つつ、労働組合関係者へのインタビュー調査も積極的に実施していきたいと考えている。
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