Project/Area Number |
23K01279
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
本多 美樹 法政大学, 法学部, 教授 (30572995)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 国際連合 / 安全保障理事会 / 国際政治 / 集団安全保障 / 拒否権 / 国際連合(国連) / 国連安全保障理事会 / 常任理事国 / 非常任理事国 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、常任理事国が安保理内外から「拒否権行使の自制」および「拒否権を行使しない責任」をどのように迫られて、いかなる場合に拒否権を自制したのかについて明らかにしたい。その際に、拒否権の自制を促す条約、条約に含まれる行動準則や義務、責任、正義といった行動を縛る価値の共有、安保理改革の提案などの文書を渉猟して考察する。国家が拒否権を行使したり、拒否権の行使を思いとどまったりする判断は、法的な制限だけでなく安保理内外のプレッシャーが作用すると考える。常任理事国に対して拒否権を使わせないように圧力をかけ、じわじわと行動変容を迫る迂回戦略が機能しうるかどうかを検証したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国連安全保障理事会(安保理)の常任理事国に対して「拒否権」の自制を促す制約と圧力に注目し、常任理事国はどのような場合に拒否権の発動を思いとどまるのかについて考察することにある。拒否権は常任理事国が有する特権であり、誰も阻止できない絶対的なパワーとしてみなされているが、本研究では、拒否権の行使は、とくに人権・人道に関する議案に関しては無制限に認められないとの仮説を立てる。そのうえで、国連憲章や幾つかの条約に見られる拒否権行使の法的な制約と、「拒否権行使の自制」や「拒否権を行使しない責任」を迫る安保理内外の圧力に注目し、それらが安保理での表決に与える影響を明らかにする。 本研究は、「国連安全保障理事会における非常任理事国の役割と影響力」(基礎研究C (一般)、平成31年度~令和5年度)を発展させるものであり、これまで整理した過去の拒否権の表決動向とそれに至るまでの議事録の内容を確認しながら研究を進めている。2023年度は、常任理事国が、安保理内外から「拒否権行使の自制」および「拒否権を行使しない責任」をどのように迫られて、いかなる場合に拒否権を自制したのかについて明らかにするために、拒否権の自制を促すとみなすことができる条約、条約に含まれる行動準則や義務、責任、正義といった行動を縛る価値、安保理改革の提案などの文書の収集と分類をおこなった。その誕生時から制約が課せられている拒否権の成り立ちと行使の条件などについてサンフランシスコ会議での国連憲章をめぐる連合国間の交渉に関する文書などを歴史的な視点から整理しているところである。研究成果の一部として、国際シンポジウムでの報告、2024年度前半に出版が予定されているいくつかの論文がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は所属学部と全学の学務に多く携わっていたことから、たくさんの時間をそれらの業務に費やすことになった。結果として、当初予定していたとおりには資料と文献の分析が進まなかった。しかしながら、本研究は、研究代表者が進めてきたもうひとつの研究「国連安全保障理事会における非常任理事国の役割と影響力」(基礎研究C、平成31年度~令和5年度)を発展させる内容であることから、最終年度となった先述の研究で収集した資料や文献を渉猟することによって本研究に有用と思われる資料と文献を活用するなどの作業を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は引き続き、資料収集と分析を行う予定である。拒否権の成り立ちと行使の条件などについてサンフランシスコ会議での国連憲章をめぐる連合国間の交渉に関する文書などを歴史的な視点から精査する。その後、冷戦下では激しく行使された拒否権を抑え込むために、冷戦後にとられてきたさまざまな取り組みと圧力、戦略、その効果などについて基礎資料を集めて、整理を行う。取り組みには、非常任理事国以外の国連機関やアクター、例えば、国際司法裁判所や事務総長、総会によるものも含む。その後、整理した取り組みや圧力が人権・人道上の危機に関する安保理での議論にどの程度影響を及ぼしたのかについて、公式・非公式会合議事録を渉猟し、対象となる事例を選択したい。
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