Project/Area Number |
23K01315
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07010:Economic theory-related
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
西村 健 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (20735229)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | メカニズムデザイン / オークション / シグナリング / オークション理論 / 実験経済学 |
Outline of Research at the Start |
各国政府による周波数オークションの導入を典型例として、メカニズムデザインの社会実装は着実に進んでいる。伝統的なメカニズムデザインの理論は、制度設計者による私的情報保有の可能性を軽視してきたが、申請者はその課題を解決するため、一般的な経済環境に適用可能な分析アプローチを開発した。本研究では、「二次市場」の問題(周波数免許の転売など)にこのアプローチを適用し、二次市場設計者による私的情報の保有が取引結果に与える影響を明らかにしたうえで、一次市場の最適設計に関する政策的含意を導き出す。この応用を通じて、私的情報を持つ設計者によるメカニズムデザインの理論を発展・深化させる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、二次市場の問題として「資産取引」に焦点を当て、理論分析、論文執筆および研究会での報告をおこなった。 典型例としては、企業が入札を通じて事業を売却し、関連技術および資産の保有者が継続的に入れ替わるような状況を想定している。自然な仮定として、事業の保有者はその収益性について私的情報を持つ一方、入札者はその情報を知らないという、情報の非対称性を導入する。このような状況で、事業保有者はどのような入札ルールを選択して事業を売却することになるか、これがこの理論研究の基本的な問いである。 本年度の理論分析を通じて、均衡状態において事業保有者はどのような入札ルールを選ぶことになるか、それは効率性の観点からどのような性質を持つかがある程度明らかになった。実際、事業者が私的情報を持つことで、深刻な過少取引の問題が起こることを理論的に明らかにした。したがって、企業間の事業売却において、事業の収益性に関する内部情報が公開されたほうが取引は活発化すると言える。これは、事業売却および合併・買収に対する規制政策を考えるうえで、重要な政策的含意となる。 これらの理論分析の結果を論文としてまとめ、研究会での報告をおこなった。理論分析は共同研究者との活発な議論を通じて実施した。研究会(CTW Summer Camp、2023年8月17~19日)には契約理論およびメカニズムデザインの研究者が多数参加しており、極めて有益な議論を交わすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、初年度の計画として「二次(および後続の)市場の均衡において、私的情報を持つ設計者がどのようなルールを選び、取引結果がどのような特徴を持つかを明らかにする」ことを掲げている。資産取引という特定の問題に限定されるものの、この問いに対する理論的な解答を得ることができたため、初年度の目標はある程度達成された。 しかし、当初の計画としては、シグナリング理論の一般的な均衡精緻化概念(「直観的基準」)を適用し、その基準を満たす均衡の存在と一意性を証明する予定であったが、分析の結果、一意性を得られないことが判明した。実際、現時点で構築した理論モデルではその精緻化概念が弱すぎるため、複数均衡の問題を解決することができなかった。 また、初年次計画の「一次市場において、社会厚生(もしくは利潤)最大化を目標とする主体にとって、どのような制度が最適になるかを解明する」という点については、時間の都合上、分析を進めることができなかった。 初年度計画の「実験経済学および計量経済学の手法を用いて、均衡分析で得られた理論仮説が妥当かどうかを検証する」という点については、本研究課題と関連するオークションモデルについてラボ実験を実施し、解析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で説明したとおり、一次市場の設計については十分に分析を進めることができなかったため、次年度以降にその問題に取り組む。また、当初計画で掲げたとおり、政府などの集権的な主体が全ての市場設計に権限を持つ場合、どのような市場制度にコミットするのが最適かを明らかにする予定である。そして、得られた研究成果を論文にまとめ、国内外の学会で報告する。現時点では、研究計画の重大な変更はない。
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