人間性と自然共生の経済倫理学:塩野谷祐一と宇沢弘文
Project/Area Number |
23K01320
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07020:Economic doctrines and economic thought-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
斉藤 尚 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (20612831)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 塩野谷祐一 / 宇沢弘文 / 環境倫理 / 福祉国家 / 卓越主義 / 卓越的リベラリズム / 環境問題 / 人間主義 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、塩野谷祐一の経済倫理学を統合的に体系化し、その限界を宇沢弘文の環境思想を用いて補うことで、自然共生という自然観のもとで人間の能力の発展を目指す福祉思想を構築することである。そのため①塩野谷の研究の全体像を論理的に再構築しその不足点を指摘する。塩野谷は人間性の発展を中心的価値とするリベラルな卓越主義に基づく福祉国家思想を提唱する。だが彼は人間性の発展のために自然体験が不可欠であるとみなすが、環境政策を提唱しない。②その限界を克服するため、宇沢の社会的共通資本の概念を用いて環境保全と福祉の思想的融合を図る。③両者を支える共生と生命循環の自然観を福祉資本主義の土台として提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、塩野谷祐一の経済倫理学を統合的に体系化し、その限界を宇沢弘文の環境思想を用いて補うことで、自然共生という自然観のもとで人間の能力の発展を目指す福祉思想を構築することである。具体的には、①塩野谷の研究の全体像を論理的に再構築しその不足点を指摘する。塩野谷は資本主義を擁護しつつ、ロマン主義的な人間性の発展を中心的価値とするリベラルな卓越主義に基づく福祉国家思想を提唱する。だが彼は人間性の発展のために自然体験が不可欠であるとみなすものの、環境政策を提唱しない。②その限界を克服するため、宇沢の社会的共通資本の概念を用いて環境保全と福祉の思想的融合を図る。③両者を支える共生と生命循環の自然観を、新古典派経済学における人間支配と安価な自然という自然観へのマルクス主義からの批判を検討しつつ、福祉資本主義の土台として提示する。そうすることで、本研究は環境保全と人間の能力の発展を両立させた経済倫理学を構築する。 この目的の達成のために、本年度は①塩野谷の研究の再構築と③塩野谷と宇沢の比較を中心に研究を行った。その結果、塩野谷の福祉国家思想と環境倫理の関係性が明らかになった。また塩野谷の後期著作『ロマン主義の経済思想』と『経済哲学原理』のあいだで塩野谷の思想がどのように発展したかを示すことで、彼のロマン主義的な人格観を明らかにし、塩野谷の福祉思想が自然共生を必要とすることを基礎づけた。さらに、塩野谷と宇沢の比較をし、前者が国家主導の福祉政策を主張するのに対して、後者は地域分散型の社会を望ましいとみなすことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記で明らかにしたように、2023年度は①と③の内容に関していくつかの論文を執筆することができた。そのため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に執筆した論文を中心として国際会議で2回報告する予定である。 一回目は韓国ソウルで行われるIVRでのセッション報告である。この報告においては、塩野谷と宇沢の思想を比較し、両者が環境問題への対応と福祉政策を行うべきであると考える点では一致しているが、その人間観が異なるがゆえに、提言する政策に差異が生じていることを明らかにする。 二回目はオーストラリアのシドニーで行われるHETSA-JSHET合同カンファレンスでのセッション報告である。この報告においては、塩野谷の思想において環境問題がどのような意義を持つのかを、主にテキスト解釈を通じて明らかにする。 これらの報告を通じて、2024年度は①と③を中心に研究を進める予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)