Project/Area Number |
23K01321
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07020:Economic doctrines and economic thought-related
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
藤田 菜々子 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20438196)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2027: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2026: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 人口 / 経済学説 / 1930年代 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、1930年代ヨーロッパにおける出生率低下趨勢・少子化問題に関する経済諸学説を整理し、現代日本における少子化論議への示唆を得ることを目的とする。 1930年代は、政治的危機・経済的危機の時代として知られるが、ヨーロッパのいくつかの国においては人口危機の時代でもあった。スウェーデンにおけるミュルダールをはじめ、イギリスのケインズ、アメリカにいたシュンペーターなど、当時の偉大な経済学者たちの人口に関する経済学説を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、1930年代ヨーロッパの出生率低下趨勢・少子化問題に関して、スウェーデンにおけるミュルダール夫妻(Gunnar MyrdalとAlva Myrdal)の共著『人口問題の危機』(初版1934年)の精読・翻訳を中心に取り組んだ。同著は、保守派・革新派の双方が大きな関心を寄せていた出生率低下という少子化問題に対し、女性や子どもや家族を取り巻く社会環境の改善、ならびに北欧的な普遍主義的福祉の政策指針を示したものとして名高い。しかし、スウェーデン語で書かれたものであり、近隣の北欧の諸言語では翻訳されたが、日本語はもちろん、英語翻訳も存在しないことから、内容の詳細が知られてこなかった。そこでスウェーデンの地域研究者とともに翻訳企画を立ち上げ、精読をしている次第である。人口をめぐるマルサス主義・新マルサス主義を中心とする学説批判にとどまらず、当時のスウェーデンの住宅状況や栄養摂取のデータなどを詳細に確認することができた。翻訳はまだ完成していないが、進行中である。 また、スウェーデンの社会政策・福祉政策の形成に関連して、カッセル著『社会政策』の日本語訳刊行に対して書評を書いた。さらに、当時の出生率低下趨勢をめぐる経済学説として、これまでケインズやミュルダールの議論については検討してきたが、新たにシュンペーターの学説についても検討した。シュンペーターは長期的・動態的視野をもち、人口についてもしばしば論じたが、既存研究でその点を扱うものはほとんど見られない。『資本主義・社会主義・民主主義』に明確に現れた「資本主義の衰退」論との関係における彼の人口論について、論文草稿を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題に沿って、主要文献の精読・翻訳作業を進行させるとともに、新たにシュンペーターの人口論についての研究も進められたから。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ミュルダール夫妻共著『人口問題の危機』の精読・翻訳を進める。また、シュンペーターの人口論についての研究成果発表をする。1930年代ヨーロッパの出生率低下趨勢・少子化問題に関する経済諸学説の検討から、現代日本の少子化対策論議への示唆を得て、考察をまとめる。
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