Project/Area Number |
23K01359
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
小島 健 創価大学, 経済学部, 准教授 (60754827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 想 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10736226)
林 嶺那 法政大学, 法学部, 教授 (60846236)
鶴田 まなみ 大阪大学, 大学院経済学研究科, 特任助教(常勤) (80964692)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 不正直行動 / 自制 / コミットメント / 不正 / 実験経済学 / 生産性 / 利他性 |
Outline of Research at the Start |
不正は社会的損失をもたらす。しかし、私たちの今までの実験によって、多くの人は正直であり、不正直な者の方が他者のために努力をすることが明らかとなった。したがって、不正直さが社会的損失を生み出すメカニズムは不明瞭である。本研究では、実験および調査によって、(i)どのような制度が不正の馴化をもたらしやすいのか、(ii)他人の為の不正行為は自身の為の不正行為を促進するのか、(iii)不正行為を防止し、生産性を高めるのは信頼しあう組織か、監視しあう組織か、(iv)個人の生産性が不明瞭な場合、どのような評価システムが賄賂を防ぐのか、の4点を調査・分析し、不正直さと利他性と生産性の相互作用を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
不正を防止する標準的な方法として情報開示と行動の監視がある。もしも不正が誘惑による自制問題であるとするならば、事前に不正しないことにコミットメントするという、コミットメント機会の提供は、不正を抑制することになる。このコミットメント機会の提供は、従来の方法と異なり、自ら不正を防止するため、監視費用や提供情報作成費用が発生しない方法となる。私たちの研究では、このコミットメント機会の提供が不正を防止する効果があることが日本、アメリカ、インドで実施された実験で確認されている。 これらのデータを入念に分析することで、新たに以下の3点が判明した。1つめは、自身の不正行為の自身に対する波及効果である。すなわち、現在の不正行為がその直後の不正行為を促進する。なお、同様の不正タスクを複数回実施しても、不正行為の頻度が上昇する率はわずかである。しかしながら、2種類の不正タスク、コミットメント機会があるものとないもの、を経験すると、コミットメント機会によって抑えられていた不正頻度が回数を重ねるごとに上昇していくことになる。これは、異なるタスク間の不正の波及効果があることを意味している。 2つめは、デフォルトバイアスを用いたナッジによってコミットメント機会があるタスク、またはないタスクに誘導しても不正の波及効果が確認されなかった。ナッジによって無意識的に選択を変更させる行為と、コミットメント機会によって自制を導く行為では、不正の波及効果に差異がある可能性があるが、詳細を明らかにするためには、分析や追加的な実験が必要である。 最後に、このコミットメント機会の存在による主たる不正抑制効果が観察効果ではないことを明らかにした。つまり、コミットメント機会を使用しないことによって、周囲から自身が不正行為を行っているという疑惑が高まる。それを恐れることによる抑制効果は大きくないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの不正行為に関する分析結果をまとめ、新たな実験の準備を行っている。 自身の不正行為が次の自身の不正行為に対する波及効果について、一定の知見を得た。これらをまとめ、報告していく。現在、論文の執筆を行っているが、一般書の執筆も加わったことにより、論文執筆および報告が遅れている。 また、公民間の不正態度とリスク態度の差に関する分析は既に論文としてまとまっているため、引き続き投稿を行っていく。 次に、複数人による不正行為の相互作用の実験準備を行っている。簡単な理論モデル設計と実験デザインを行っている最中である。効果を正しく推定するための実験デザインとするため、共同研究者と定期的にモデルと実験デザインの意見交換を実施している。しかしながら、相互作用を考慮した複数均衡が考えられる実験デザインには、個人の実験デザインよりも考慮すべき点が多く、想定以上に時間を要している。 最後に、実験の事前分析計画書の登録が必須となる傾向を考慮し、事前分析計画書執筆に関する学習会を実施した。既にAsPredictedに登録する経験はあったが、質の高い計画書をもとに、実際にAEA RCT registryに登録完了するまでの行程を実施し、共同研究者全員でノウハウの共有を行った。予定外の実施であったが、今後の事前登録が効率的になると考えられるため、最終的には現在の遅れを取り戻すものになると考えらえる。
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Strategy for Future Research Activity |
定期的に実施する打ち合わせの中で実験デザインの確定と質問紙等の確定を行う。6月から7月中までに倫理審査通過の準備とアンケート会社との打ち合わせを実施する。同時に、事前分析計画書の各節の分担者を決定し、執筆し、登録する。 また、夏に実験をアンケート会社に依頼し、実施する。得られたデータの分析は共同研究者が担当し、その間に論文2点と一般書の執筆を進める。8月から9月までに論文1点の執筆と一般書の執筆を終える予定である。その後、10月以降に収集されたデータと分析結果をもとに、執筆および報告に関する打ち合わせを行っていく。 上記の計画中に予稿の執筆が可能であれば、不正行為の国際比較に関する分析をまとめ、行動経済学会の口頭報告を実施する予定である。
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