Project/Area Number |
23K01373
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤田 真哉 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (80452184)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
|
Keywords | 構造変化 / 経済成長 / 労働生産性上昇 / ミッション志向型政府支出 / 所得格差 / 資産格差 / 制度的多様性 / 経済主体の異質性 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は,現代の主要先進諸国における所得格差や資産格差の拡大をもたらす諸要因とその改善策を,経済主体の異質性と経済制度の多様性を考慮したモデルを用いて理論的・実証的に明らかにすることである。とりわけ経済主体の異質性および先進諸国の制度的多様性を分析の出発点に据えたうえで,最低賃金や失業補償,職業訓練・紹介等の消極的・積極的労働市場政策が,経済成長・所得格差・資産格差のあいだの相互作用に与える影響を分析する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度においては,投資財や消費財,あるいは最終財と中間財といった部門ごとに特色のある二部門モデルではなく,各部門が相互に他方の部門の投資財を生産するような,いわば特色を持たない二部門モデルを構築した。その上で,社会的なミッションに適合する一方の部門に政府支出が優先的に割り当てられた際に,当該産業や他方の産業,そして経済全体のパフォーマンスがどのように変化するかを,需要主導の動学モデルを用いて解析的に分析した。社会のミッションに適合する産業は,しばしば所得分配上の平等性をもたらす部門(例えば労働分配率が高い部門)であったり,逆に格差を拡大させるような部門であったりする。そのため,所得格差の解決を考える上では,平等性の高い部門の拡大が実現される十分条件を分析することも必要である。 本分析の主要な結果は,次のようにまとめられる。社会のミッションに沿う部門に政府消費支出を優先的に按分すると(それと同時にミッションに沿わない部門に対する政府支出を減らすと),短期的にも長期的にも政府のミッションに沿う部門の稼働率が増加し,政府のミッションに沿わない部門の稼働率が低下する。また,政府のミッションに沿う部門の労働生産性が十分に高いときには,政府支出をこの部門に優先的に割り当てると,この部門の稼働率の増加分が大きくなるため,経済全体の稼働率や,資本蓄積率ないし経済成長率もまた増加する。 以上の研究成果の一部については,2024年度に公刊される『季刊経済理論』の寄稿論文としてまとめた。今後はモデル分析の一層のブラッシュアップを行い,2024年度中にジャーナルに投稿する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に応える基礎的なフレームワークの一部を構築できたという点ではおおむね研究は順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
高い労働分配率を有する産業が経済成長を牽引する諸条件を明らかにするモデルを構築できたことは一定の研究の進展とみなしても良いと思われる。しかしその一方で,なぜ労働分配率が低下するのか,あるいは労働分配率が低水準に留まるなかで中核労働者と周辺的労働者の賃金格差がどのように決まるのかといった諸課題については,まだ手付かずの状態である。2024年度はそれらの問題に取り組んだもう一つのモデルを構築するとともに,OECD.statのSTANデータベースを用いて,労働分配率を規定する労働生産性上昇を内部効果と産業構造変化要因に分解し,労働分配率の決定要因と先進諸国におけるその相違を明らかにしたいと考えている。
|