Project/Area Number |
23K01391
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小井川 広志 関西大学, 商学部, 教授 (50247615)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | BOP / 教育投資 / BOPブレークスルー / BOPトラップ / 途上国貧困層 |
Outline of Research at the Start |
教育開発は途上国が経済発展を始動する上での中心的政策の一つであり、貧困削減や社会問題の解決が期待されている。本研究が明らかにしようとする対象は、BOP層(途上国貧困層)の教育投資行動の解明と、これをBOPブレークスルー(貧困状態からの離脱)に結実させるための条件や政策の検証である。本研究では、BOP層に最適とされる教育投資の規模やパターンを整理、類型化し、人的資本を蓄積するための教訓や課題を中国の事例から導き出す。併せて、教育BOPビジネス展開の可能性も模索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、BOP (Base of the Pyramid) と呼ばれる途上国最貧困層家計における、教育資源配分の問題を対象とする。言うまでもなく、教育は貧困からの脱却を図る第一歩である。だが、途上国最貧困層は、資金制約から子弟を学校に通わせる経済的余裕に乏しい。このような資金制約の下で、途上国の貧困家庭の教育投資行動を調査し、得られたデータから政策的含意を導くことを目的としている。当初、中国内陸部での調査を予定していたが、ビザ取得が困難であったために、マレーシア・ペナン州に変更し、翌年以降に中国調査を実施するためのパイロット調査に位置付けた。以下、その調査報告である。 ①調査対象と方法:マレーシア・ペナン州の大陸部プライ周辺の小学校5校に調査依頼し、調査を受け入れてくれた生徒の家庭20世帯を訪問して聞き取り調査を行った。 ②調査項目:家族構成と収入、主な収入源、教育に関する支出(授業料、教材費、塾代)、教育費用の捻出方法(借金、親族からの援助)、教育に対する価値観(教育の重要性、期待)、子どもの将来への希望(職業、収入見込み)、政策的支援の有無と効果など。 ③調査結果:以下の諸点が明らかになった。第一は、教育投資の優先度についてである。貧困家庭でも教育への投資意欲が高く、他の支出を削ってでも子どもの教育費用を確保する傾向が見らた。第二は、資金調達の困難さがうかがえた。教育費用の捻出に苦労しており、多くの家庭が借金や親族からの支援に依存している実態が分かった。第三は、政府などの支援の効果についてである。政府やNGOの支援は一定の効果があるものの、支援内容の改善と拡充が必要が示唆された。 これらの結果から、マレーシアにおける貧困家庭の教育支援には、さらなる資金援助の強化と、支援プログラムの柔軟性向上の必要性が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、途上国の貧困家庭の教育投資行動を調査することを目的としており、当初は、貧困家庭でも教育投資に熱心と言われている中国での調査を予定していた。貧困地域は内陸部にあり、少数民族居住地区がそれに該当することも多いためか、中国政府がそのような地域に外国人の調査を受け入れることを懸念しているために、ビザ取得が困難を極めた。やむを得ず調査地を、研究者が事情をよく知るマレーシアに変更した。 そこでは比較的スムースに調査を完遂し、かつ、所望の結論が得られたという意味では、順調に進展したが、当初予定していた中国内陸部での調査を開始するに至っていない。このマレーシア調査の経験や知見を活用し、2024年度以降は、本来の調査目的地である中国内陸部での調査研究活動の進展を図りたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、中国寧夏回族自治区での調査を計画している。調査の円滑な実施に向けて、島根大学と寧夏大学の姉妹校関係を活用し、島根大学に調査の便宜供与を依頼した。島根大学は寧夏大学と国際共同研究所を運営しており、ここの連携研究員となることで、島根大学からは便宜供与を確約されており、現在、現地での協力体制を議論しているところである。 具体的な調査は、寧夏大学の協力を得て、調査対象にふさわしい農家の選定、アンケートの配布および回収、現地インタビューの実施を予定している。寧夏大学の便宜供与があれば、より精度の高いデータ収集が可能となり、調査が円滑に進行する見込みである。現地での支援体制が期待できるため、計画通りに調査を実施し、有益な成果を得られるであろう。
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