Project/Area Number |
23K01407
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
李 綱 東洋大学, 経済学部, 准教授 (60754835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳瀬 明彦 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10322992)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 環境ストック / 貿易 / 異質性 / 非凸性 / 複数均衡 / 資源財 / 国際貿易 / 環境負荷度 / 環境依存度 / 戦略的行動 |
Outline of Research at the Start |
生産活動と自然環境と相互影響は多面的である。例えば、生産活動に伴う環境汚染物質の排出や再生可能資源の採取は、環境資源ストックにマイナスの影響をもたらす(これを生産活動の「環境負荷度」と呼ぶ)。同時に、酸性雨が農作物や建物に被害を与えるように、環境悪化は生産性や生産活動の水準に悪影響を与えることがある(これを生産活動の「環境依存度」と呼ぶ)。環境負荷度と環境依存度は、国・産業・企業の各レベルにおいて異なるものである。本研究は、経済理論にこれらの違いを取り入れ、グローバルな経済活動と環境ストックとの相互依存を解明し、貿易自由化が経済厚生に与える影響、環境・貿易政策のあり方を検討するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、(1)環境負荷度や環境依存度が異なる国の間での貿易自由化が環境や経済厚生に与える影響、(2)環境依存度や環境負荷度が産業間あるいは企業間で異なる場合の貿易の環境・経済厚生的含意および環境・貿易政策を巡る政府間の戦略的行動、(3)閉鎖経済と開放経済それぞれにおける環境適応投資の動学的特徴と関連政策のあり方、という3つのサブテーマに取り組むものである。今年度は主に(1)のサブテーマに関して、以下の研究成果が得られた。 ・環境負荷度や環境依存度が異なる2カ国2部門モデルを構築し、貿易の環境・経済厚生的含意に関する動学的分析を行った。 ・貿易自由化により、各国は環境負荷の高い財(一国は資源財、他国は工業財)を輸出するようになるため、両国の環境ストックは長期的に閉鎖経済均衡よりも悪化することが示された。ただし、資源財輸出国の環境ストックは貿易移行期間を通して単調に悪化するのに対し、工業財輸出国の環境ストックは、定常状態に近づくにつれて改善に転じる場合がある。 ・比較優位と貿易による経済厚生への影響の関係を明らかにした。資源財輸出国にとって比較優位が小さいほど、また、貿易による環境悪化(特に資源財輸出国の環境悪化)が大きいほど、比較優位の源泉である資源財部門の生産性が大きく低下し、両国が貿易から損失を被る可能性が高まる。 ・両国の要素賦存量の組み合わせによっては、自由貿易下で複数の定常均衡が存在する。均衡間では、特化パターンや厚生水準が大きく異なる。一方の均衡からもう一方の均衡に移行すると、一国の経済厚生は改善するに対し、他国の経済厚生は悪化するため、均衡間の移行には両国の合意形成が困難である。 上記の理論モデルについて、研究代表者と研究分担者が複数の国内外の学会、研究会で研究報告を行い、有益なコメントを得た。これらの成果を論文としてまとめ、国際学術誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄で述べたように、本研究課題の中心的サブテーマの1つに関する理論分析を行い、学術的に興味深い結果を導出した。それらを論文にまとめ、国内外の学会・研究会でも活発に研究成果の発信を行ったとともに、国際学術誌に投稿した。得られた結果はほか2つのサブテーマの分析にとっても有益なものである。今後は査読者のコメントを踏まえて改訂作業を行い、論文の早期掲載に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)のサブテーマの投稿論文に関しては、査読者のコメントを踏まえ、論文の改訂を進めて早期の再投稿を目指す。
次年度は、第2のサブテーマを中心に、産業間・企業間の環境負荷度・環境依存度の違いを考慮した貿易モデルの構築と、環境・貿易政策の戦略的側面の分析を進める。加えて、第3のサブテーマの環境適応投資の特徴分析にも着手する。
新たな研究成果については、国内外の学会や研究会で積極的に報告して発信を図るとともに、ディスカッションペーパーの形でも随時公表する。関連の国内外の研究者を招聘して研究セミナーを開催し、意見交換を通じて新たな研究課題の探索を行う。
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