Project/Area Number |
23K01409
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
秋田 隆裕 国際大学, 国際大学研究所, 名誉教授(移行) (50175791)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 都市化 / 教育拡充 / 所得格差 / アジア開発途上国 / 家計調査データ |
Outline of Research at the Start |
開発途上国では都市化と教育の拡充が着実に進んでおり、都市化と教育拡充が所得格差にどのような影響を及ぼしているかは非常に重要な政策課題である。本研究では、インドネシア、フィリピン、バングラデッシュ、ミャンマー、ヴェトナムなどアジアの開発途上国を対象に、居住地域(都市・農村)と教育の所得格差への影響を同時的・階層的に分析することができる二段階格差分解手法を用いて、複数年の家計調査データにより都市化・教育拡充と所得格差の分析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
1、絶対格差指標である標準偏差で教育格差を計測すると、教育拡充とともに教育格差は逆U字型の曲線を描くことを数学的に示すことができる。一方、正規の学校教育を受けていない人にゼロの教育年数を与え相対格差指標であるジニ係数で教育格差を計測すると、教育拡充とともに教育格差は単調に減少することを数学的に示すことができる。しかし、正規の学校教育を受けていない人に小さいが正規の学校教育を受けたものとみなし、ジニ係数により教育格差を計測すると、教育拡充とともに教育格差は逆U字型の曲線を描くことを数学的に示すことができる。Barro教授とLee教授が構築した教育水準別の累積教育年数に関する1950年から2015年までの全世界的なパネルデータを用いて教育拡充と教育格差の関係を実証的に調べてみると、数学的に証明された結果と同様な結果を得ることができた。2、1997年から2018年までの家計調査データを用いてフィリピンの家計間消費支出格差を計測すると、この期間大きく減少していることが分かった。1997- 2006と2006-2018の2期間に分け消費支出格差の減少要因を2段階格差分解手法を用いて分析した。1997- 2006の期間については、都市における高等教育を受けた家計間の格差が大きく減少しており総格差減少の74%を説明していることが分かった。一方、2006-2018の期間については、都市農村間の消費支出格差減少が主な要因で総格差減少の42%を説明していることが分かった。3、グループにより分解可能な格差尺度を用いて所得格差を計測すると、都市化とともに所得格差が逆U字型の曲線を描くことをある一定の仮定の下で示すことができる。しかし、この仮定は長期的な開発プロセスの中では非常に強い仮定で、この仮定が満たされない場合における都市化と所得格差変化のパターンは不確定であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界銀行やアジア開発銀行などのホームページや各種のオンライン検索システムを用いて、都市化・教育拡充と所得格差に関する最新の資料と文献の収集を行った。研究成果の公表については以下のとおりである。1、1997年から2018年までの家計調査データを用いたフィリピンにおける消費支出格差減少の要因分析の成果は2023年中にオンラインでJournal of the Asia Pacific Economy誌に掲載された(Why has inequality in the Philippines declined? A two-stage hierarchical inequality decomposition analysis by location and education)。2、相対格差指標であるジニ係数を用いた教育拡充と教育格差に関する研究成果は、Economics Bulletin誌の2023年第1号に掲載された(Revisiting educational Kuznets curve: An analysis of educational inequality based on absolute and relative inequality measures)。3、都市化と所得格差に関する研究成果は、国際大学研究所のワーキングペーパーとして公表した(Urbanization and income inequality)。4、2022年にSpringer社から出版された本をベースにしてインドネシア地域学会18回大会で招待講演を行った。以上、本研究は計画に沿って行われており、おおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も世界銀行やアジア開発銀行などのホームページや各種のオンライン検索システムを用いて、都市化・教育拡充と所得格差に関する最新の資料と文献の収集を行う。本年度は、韓国ソウル(Ewha Womans University)、タイバンコック(Chulalongkorn Universityと統計局)、インドネシア・ジャカルタ(統計局と国家開発計画庁)を訪問し、それぞれの国の家計調査データや所得格差に関する情報を収集する。具体的な研究としては以下を予定している。1、教育水準別の累積教育年数データに対応したジニ係数による教育格差の都市農村分解式を開発する。この都市農村分解式を用いてアジア開発途上国における教育格差の要因分析を行う。2、タイル尺度による2段階格差分解手法を用いていくつかのアジア開発途上国における都市化・教育拡充と所得格差の要因分析を行う。具体的には、2007/08、2012/13、2018/19の家計消費支出サーベイ(Lao Expenditure and Consumption Survey)を用いて2段階格差分解手法によりラオスにおける都市化・教育拡充と家計消費支出格差の分析を行う。また、2010/11、2022/23の家計生活水準サーベイ(Nepal Living Standard Survey)を用いて同様な手法によりネパールにおける都市化・教育拡充と家計消費支出格差の分析も行う。以上の研究成果はまずワーキングペーパーとして公表した後、国際学術誌に投稿する予定である。また、Urbanization, Educational Expansion and Income Inequality in Developing Asiaというタイトルで本の出版を計画しているが、本年度は、分析手法を紹介する第2章から第5章までを完成させる予定である。
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