Project/Area Number |
23K01415
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
河上 哲 近畿大学, 経済学部, 教授 (60402674)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | プロダクト・エコシステム / 知識関連性 / 経済複雑性 / 産業集積 / 関連多様性 / 産業クラスター / ネットワーク分析 |
Outline of Research at the Start |
特定の産業(本研究では自動車産業を対象)における企業の生産活動,及び都市圏地域における産業全般の生産活動に着目し,生産活動の異なる集計レベルの下に,それぞれ地域に固有なプロダクト・エコシステムの構造を実証分析する.複雑性が高く評価される新しい製品(産業)が創出される確率が,地域にランダムでなく,当該部品(産業)と関連性の大きい部品(産業)の生産拠点との近接性によって規定されるのか計量経済学的に分析する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,地域に固有なプロダクト・エコシステムの構造を解明するための実証的分析枠組みを提示することを目的とする.ここでプロダクト・エコシステムとは,地域に根差した知識領域の蓄積を基に,関連する知識が相互に作用しながら新しい生産活動に伴う価値が創出される環境として定義される.分析枠組みの基礎となる概念は,生産活動に要する知識の関連性と複雑性(洗練性)である.これら概念を定量化して評価する分析枠組みの構築により,既存の生産活動への支援にとどまらず,新しい生産活動の創出に伴う地域経済の構造変革を見据えた地域関連政策を実践するための実証的根拠を提供することが可能となる.
令和5年度は,日本の基幹産業であり特徴的な集積形態が見られる自動車産業に分析の焦点を定め,公刊データを基に主要自動車部品に関する部品サプライヤの部品構成と,各部品が生産される工場立地の情報をまとめたデータベースを整備した.2019年に取引された部品の情報を利用し,生産に要する知識領域の部品間の関連性と,各部品に体化された知識領域の複雑性をそれぞれ計測した.自動車部品の知識の関連性や複雑性と,当該部品を生産するサプライヤの立地との関連を探索的に検証した結果,自動車部品の生産拠点はランダムに分布せず,当該部品に体化された知識の関連性と複雑性に応じて有意に異なる立地と集積の傾向を示した.特に複雑性の大きい洗練された知識を要する関連部品の生産拠点は,そうでない部品の生産拠点と比較して分散立地することなく,より狭い地理的範囲に集中して立地する傾向が確認できた.このことは,企業や地域に根差した知識の粘着性が,特に洗練された部品を開発・生産する工場立地の集積に強く影響を及ぼしていることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は4年間の研究計画の下,①特定の産業における企業の生産活動と,②都市圏地域における産業全般の生産活動に着目し,生産活動の異なる集計レベルの下に,それぞれ地域に固有なプロダクト・エコシステムの構造を実証分析する.
令和5年度は,日本の基幹産業であり特徴的な集積形態が見られる自動車産業を対象に分析を行った.自動車部品の生産に要する知識の関連性を計測したうえで,各自動車部品をネットワークのノードとし,関連する部品間をリンクで結ぶ製品空間(≒知識基盤)を可視化して表現した.また,各部品に要する知識の洗練性(いかに多様でかつ稀少な知識を要するのか)を複雑性指標として計測した.製品空間の構造と各部品の洗練性との関連を,複雑ネットワーク分析の手法を用いて探索的に検証した分析結果を論文にまとめ,現在国際査読誌に投稿・審査中である.さらに,自動車部品の知識の関連性や複雑性と,当該部品を生産するサプライヤの立地や集積との関連を探索的に検証した分析結果は,第7回Geography of Innovation Conferenceで報告した.計測された自動車部品の複雑性指標は,部品生産に要する資産特殊性を定量的に評価した指標として評価することも可能であり,取引費用理論やケイパビリティ理論で主張される仮説の下に,取引される部品の複雑性が企業の組織構造に及ぼす影響を実証分析した.本研究内容は,第37回応用地域学会研究発表大会で報告し、現在国際査読誌への投稿準備中にある.
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は,自動車部品の知識の関連性や複雑性と,当該部品を生産するサプライヤの立地や集積との関連を探索的に検証した実証分析を,動学的分析に発展させる.すなわち,新しい部品、特に次世代自動車向けなど知識洗練性が大きい部品の創出(≒イノベーション)する確率が,地域にランダムでなく,当該部品と関連性が大きい既存部品の知識と,既存の関連部品の生産拠点との地理的近接性によって,いかに規定されるのかを計量経済学的に分析する.
また,特定産業における企業レベルの分析手続きを,同様の手順で都市圏における産業レベルの分析に応用することを想定し,各市町村における産業分類別従業者数で測った産業構成を,時系列データベースとして整備する.
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