Project/Area Number |
23K01476
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07060:Money and finance-related
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
稲垣 一之 南山大学, 経済学部, 教授 (70508233)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 経常収支 / 国際資本移動 / ロボット / 自動化 / 生産自動化 |
Outline of Research at the Start |
生産のロボット化は世界全体で急速に進んでいるが、ほとんどの国はロボットの供給を輸入に頼っている。例えば、世界全体で使用される産業用ロボットは、約半数が日本製である。言い換えれば、世界でロボットが普及するほど、ロボット輸出国の経常収支は改善すると考えられる。ロボットの普及は人間の仕事にも影響するため、ロボットと労働者の代替関係を考慮しながら、ロボット化による経常収支の変化を検証する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツを自国とする2国間パネルデータを作成して、ドイツ国内のロボット化が経常収支に与える影響を実証分析した。ロボット化の指標としては、製造業従業者一人当たりの産業用ロボット稼働台数(以下、ロボット労働比率)を使用した。この実証分析を通じて、貿易相手国との相対ロボット労働比率は、ドイツの経常収支に対して有意で正の影響を持つことが確認された。ドイツは世界における主要なロボット輸出国であるため、この実証結果は、ロボット輸出国で生産活動のロボット化が進むと、資本輸出を通じて外国にロボット化がスピルオーバーして、その過程でロボット輸出国の経常収支が改善することを示唆している。 このロボット労働比率の正の影響は、経常収支の既存研究において初めての発見であり、そのメカニズムは未解明である。そこで、本研究はロボット資本を含む2国世代重複モデルを新たに開発して、実証分析の結果を理論的に説明した。実証結果を理論的に再現するための重要なファクターは、ロボットの設置費用を低下させる技術ショックである。産業用ロボットが稼働するためには、既存の生産システムへのロボットの統合が必要であり、その費用はロボット本体の2倍から3倍に達することが知られている。この設置費用は技術革新によって急速に低下しており、その影響を理論モデルに反映することで、実証分析の理論的再現に成功した。 世界の産業用ロボットの大半は、ロボット輸出国によって供給されている。また、ロボット設置費用は現在も低下し続けているため、上記の研究成果は、世界的なロボット化から生じた経常収支黒字が、一部のロボット輸出国に集中することを示唆する。 以上の研究成果を、日本国際経済学会と日本応用経済学会で報告した。また、研究成果を論文としてまとめて、Social Science Research Network (SSRN)のワーキングペーパーとして公刊した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りにドイツを対象とした分析をまとめて、その成果を学会報告し、ワーキングペーパーとして公刊した。ワーキングペーパーは、現時点で第三者によるレビューが200件程度カウントされている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次は日本を対象とした分析を行うが、そのために必要なデータをそろえることが出来た。また、産業用ロボットに関する新たな経済指標を作成することを計画しており、その素材となるデータも入手済みである。 上記のように、新たな実証分析の準備は整いつつある。一方、実証分析の結果を確認したうえで、その結果に対応した理論モデルを構築する予定である。
|