情報化・事業構造転換と日本技術者の能力・キャリア構造の変容に関する歴史実証的研究
Project/Area Number |
23K01488
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07070:Economic history-related
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
市原 博 獨協大学, 経済学部, 教授 (30168322)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2026: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 電機産業 / 技術者 / 人的資源管理 / 企業内教育 / 学歴(教育資格) / 企業内キャリア / 事業構造転換 / グローバル化 |
Outline of Research at the Start |
1980年代以降、情報技術の劇的進化により生じた事業構造転換とグローバル化という経済・ビジネス環境の変化に対応するために、日本企業は、内部労働市場的調整という手法で中核的従業員の人的資源管理の柔軟化を試みた。その取り組みの内実、その成果と限界がどの程度であったのかを、重工業大企業を対象に、競争力の担い手となった技術者のキャリア構造に焦点を当てて、その実態を個別企業の人事データ・一次資料、インタビュー調査などにより歴史実証的に解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は初年度であり、資料調査・収集と、それに基づくデータベース構築等への取り組みが中心となったが、科研費のテーマに関わる企業内教育に関する論説「日本企業の人材育成力を考える」を発表した。そこでは、従業員の職能とそれを規定した教育資格の差異によって日本企業の企業内教育の内容が異なること、管理職候補者として教育費の投入が多かった大卒者の能力・行動への評価が高くなかったこと、デジタル化とグローバル化により経営にとっての知識の重要性が増大している状況に対するするために、企業と大学の協力による新たな人材育成すステムの開発の必要性を指摘した。 また、拙著『近代日本の技術者と人材形成・人事管理』の合評会で、技術者の人材形成と職務行動、キャリアについての研究成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、まず、電機企業の資料調査を行い、有用な資料の所在を確認し、収集作業を進めた。具体的には、松下電器(現パナソニック)の社内報と事業活動記録を閲覧し、特に人事異動関係の記事を複写した。件数が多いのでまだ途中であるが、その記事に含まれる情報を入力した人事異動データベースの作成を進めている。そのほか、同社については、創設期からの技術開発を主導した中尾哲二郎関連の図書や会社関係者の著作物も探索・収集し、彼らの職務経験を追究している。 日立製作所についても、社内刊行物の収集を進め、特に、工場報に掲載された人事関連記事を複写し、その情報を利用したデータベースの作成を進めている。同時に、日立工場を中心に、各工場史に掲載された職制記録を利用した管理職・専門職データベースの作成に取り組んでいる。両データベースが完成すれば、相互に突き合わせて、情報技術の導入とシステム設計の重要性が高まった1970年代、80年代の技術者たちの人事異動、キャリア構造の変化を解明できるものと期待している。 以上の分析の前提となるのは、情報技術と電気技術の融合、および、システム製品の重要性の増大という1970年代以降の電気技術の変化・進化の性格は把握である。そのために、委員を務める電気学会技術史技術員会の方がたも関わられた国立科学博物館の「技術の系統化調査報告」や、その他の電気技術史関連の文献を収集・閲読を行い、技術史技術委員会、および、同委員会を母体に組織されている電気学会オーラルヒストリー調査専門委員会の方がたとの交流も活用して、技術に理解を深めている。 また、従業員の勤続・年令・賃金の相関関係を知ることが出来る労働組合の賃金資料なども複写した。それらの資料からの情報・データを利用して、各社の内部労働市場の実態とその変化を分析する作業を鋭意進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、松下電器(パナソニック)の人事異動データベースを完成させる。同社の人事記事は、社内報に継続して掲載されており、個人情報としての取り扱い方に注意し、所蔵機関の理解を得られれば、現時点で、1990年代半ばまで入手可能である。ケース件数が膨大であり、入力作業の負荷が過大になることが懸念されるので、人事異動政策に変化があり、従業員の社内キャリア構造に大きな変化があったことが予想される1980年前後の時期(山下俊彦改革期)を中心に、同社の経営史と照らし合わせて、大きな変化が予想される時期に焦点を合わせて、効率的にデータベースを作成する。そのうえで、同社の製品政策の変化と、それに規定された技術開発の在り方の変化を分析し、両者をつなぎ合わせて、家電技術に情報技術を組み入れた過程で同社の技術者に生じたキャリア構造と彼らの職務行動の変化を解明する。 日立製作所についても、同様に、人事異動および管理職・専門職データベースを完成させる。その際、まずは、成熟部門として社内で位置付けられる一方で、情報技術の取り入れとシステム化の進行が顕著にみられ、また、原子力発電の開発という重要なミッションを与えられ、他部門との人材交流が多くみられた重電部門の中心であった日立工場を中心に、計装・制御部門を担った大みか工場、原子力技術の開発を推進した中央研究所と日立研究所の原子力部門、原子力研究所・エネルギー研究所など、重電の新技術開発に焦点を当てて、そこでの技術者のキャリア構造の変化の解明を試みる。同時に、この部門の技術開発の経験に関する同社技術者たちの文献を探索し、彼らの職務行動の変化と特徴の解明を試みる。 合わせて、造船重機企業をはじめ、他の産業の技術者に関する資料調査を進める。造船重機産業に加えて、自動車産業を対象に加える予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)