Project/Area Number |
23K01489
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07070:Economic history-related
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
菊池 雄太 立教大学, 経済学部, 教授 (00735566)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | グローバル・ヒストリー / 小売 / 流通 / 消費 / 市場 / 砂糖 / コーヒー / 西洋経済史 / ドイツ経済史 / グローバルヒストリー / 農村 / 小売り |
Outline of Research at the Start |
従来のヨーロッパにおけるグローバル経済史研究では,アジアや大西洋諸地域との貿易を拡大したイギリスやオランダ等の海洋諸国に関心が集中していた。これに対し近年では,海外地域と直接的には接触が少なかったドイツ地域も,工業製品輸出を通じてグローバルな経済関係に組み込まれていたことが明らかにされた。本研究は,このような新動向を踏まえつつ,そこで欠落してきた側面に光を当てる。すなわち,経済のグローバル化を受けて,内陸ドイツ農村部で輸入嗜好品の流通・小売りが活性化していった過程を明らかにする。これは,地理的には辺縁に位置する農村の日常に視点を置きグローバル化の影響を見通す実証研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題初年度にあたる2023年度では,予定した通り,「18世紀ザクセン地方の都市小売商による輸入嗜好品販売」に関する調査を進めた。7月までは,小売関係の研究文献の調査および情報整理を行った。それと並行して,昨年度から継続していた国際ジャーナルJahrbuch fuer Wirtschaftsgeschichte/Economic History Yearbookへの英語投稿論文(18世紀におけるハンブルクからザクセン地方各地への輸入海外物産の流通を扱ったもので,本研究課題と直結するテーマである)の査読への対応をした。論文は掲載決定となった。 7月から9月にかけて,ライプツィヒ文書館の調査の結果発見した史料を分析した。同史料をもとに,「近世ライプツィヒの食料雑貨小売商:「世界商品」の地域流通」と題する論文を完成させ,学会誌『社会経済史学』に投稿,受理された。論文は2024年5月刊行の第90巻第1号に掲載予定である。本論文は,ザクセン中心商業都市ライプツィヒの食料雑貨小売商の経営関連史料(資産・在庫目録)から,その販売品の種類と量,価額,商品の調達先と販売先などを明らかにしたものである。さらに,小売販売権をめぐる制度的な問題にも言及した。 上記論文の完成後は,新たな史料の分析を進めている。港湾都市ハンブルクの中継貿易商人の帳簿である。同商人はザクセン地方各地と強い取引関係をもっており,フランスやスペインの大西洋貿易港から砂糖やコーヒーなどの植民地物産を供給した一方で,その交換商品としてこれら諸港にガラス製品や磁器などザクセン地域産業に特有の産品を出荷していた。諸地域のローカル経済とグローバルな経済圏との結びつきが実証されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,ザクセン地方の都市小売商の論文1本を完成させることが目標であった。商人史料の分析は時間,労力が多大にかかるからである。しかし,史料分析と論文執筆は年度前半で完成した。そのため,後半は中継貿易商の帳簿史料分析を行うことができ,上述のように,本研究課題にとってきわめて有益な情報が得られている。帳簿記録内容のデータ入力は,現時点ですでに完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,2023年度後半に着手し,データ入力を完了した,上述の中継貿易商帳簿史料の分析・解釈を進め,6月~7月までに英語論文を完成させる。論文は,De Gruyterから刊行予定の記念論文集へ寄稿する予定である(寄稿そのものは決定しているが,査読がある)。 それと並行して,次年度は予定通り,「農村小売」について研究する。前年度における都市小売に関する研究を通じて,海外輸入物産の小売販売権をめぐる制度的な問題がみえてきた。都市小売商組合が,流入が増大するようになった海外輸入商品の専売権を主張するようになった一方で,同時期に農村小売商が増大し,両者の間で対立が深まっていったのである。 史料状況について事前の調査は済んでおり,部分的には入手済みである。農村における輸入品小売がどれほど広まっていたのか,どのように展開したのかを,ザクセン州の文書館に所蔵される領邦政府・都市政府関連史料を収集し分析することで明らかにする予定である。たとえば,農村小売の規制,あるいは認可に関する政策の推移を議事録を調査することで明らかにする。また,農村小売商に関する政府調査記録や,都市側の苦情書・嘆願書などから,農村小売の実態にアプローチする。 8月までに入手済みの史料を,9月から10月にかけては新たに入手した史料を分析する。研究成果は英文国際ジャーナルに投稿する予定である。
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