Project/Area Number |
23K01540
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
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Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
井上 祐輔 札幌大学, 地域共創学群, 准教授 (90737975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 雄久 近畿大学, 経営学部, 教授 (10243148)
東郷 寛 近畿大学, 経営学部, 准教授 (10469249)
高柳 直弥 大正大学, 地域創生学部, 准教授 (20756895)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 伝統産業 / 波佐見焼産地 / レトリカル・ヒストリー |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は伝統産業における歴史の活用戦略を解明することにある。長崎県東彼杵郡波佐見町の地場産品である磁器製品「波佐見焼」の窯元と産地商社に焦点を当て、歴史の活用戦略を比較・検討する。 本研究では、波佐見焼産地の主要窯元と主要商社の歴史を活用した語りに注目し、インタビューと公表資料を分析し、波佐見焼産地における競争と協調関係の中での産地内企業による歴史の活用方法を戦術として整理する。その上で、産地内の歴史に関する語りの同質性と多様性が産地全体の再生に与える影響について明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は産地内の窯元に焦点を当て、産地再生が進みだす1990年から2010年頃の産地の取組みの変化についてのヒアリング調査と、業界紙である陶業時報の記事の分析を実施した。とりわけ、この時期に関する波佐見焼産地で既に収集していた大手窯元・大手商社の語りを他の主要窯元と比較することを通じて、両者の共通点と差異を明らかにすることを目指した。また、大手窯元・大手商社の語りを業界紙の記事と比較することを通じて、当時の日用和食器業界における産地ブランドの成立に対する認識の違いを確認することを目指した。 その結果、ヒアリング調査ではOEM製品の大手窯元を含む複数の窯元による共同受注生産が行われていたが、生産に関わる協業等は見られず、また産地ブランドを意識するような契機にもなっていなかったこと、2000年頃からの東京ドームテーブルウェアフェスティバルへの産地出展における工業組合を通じた製品開発指導で作られたコンセプトが、一時的なものとならず主要窯元の中に浸透していったことが分かった。また、業界紙との比較においては、産地ブランドの形成経緯が産地の語りと業界紙による説明では異なっており、産地では業界紙が語る業界全体での当時の問題意識であった外国製品の安全性の問題への対策としての製造産地の明確化と明示として捉えられていないことがわかった。 加えて、これらの明らかになった点に先立って、大手窯元と大手商社による産地再生の語りをアクターネットワーク理論に基づいて分析を行い、両者の語りの違いと産地の事業システムの論理が変化していくプロセスについて学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の計画に従って、滞りなく調査研究を進めることができた。とりわけ、分析の中心となる2000年代の業界紙の記事内容と産地内各企業の語りを比較できた点は当初の予定を越えた進捗であったと考えている。また、大手商社と大手窯元の語りの比較を試論的に分析した研究を学会発表できた点も成果であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度の研究成果である大手窯元とその他の窯元の認識の違いに関する分析を論文化することを目指す。これは、産地内での産地ブランドという形式の共通化と産地ブランドの内容の差異化が同時に進行したことを説明する根拠の一つとなると考えている。また、次年度の調査では、引き続き研究計画に従い、大手窯元と大手商社の語りを、他の主要商社の語りとの比較を通じて歴史の活用による差別化を明らかにすることを目指す。
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