Project/Area Number |
23K01602
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 伸 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 特任准教授 (90520883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 俊也 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 教授 (00334350)
高橋 真木子 金沢工業大学, イノベーションマネジメント研究科, 教授 (70376680)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | スタートアップ / 大学発ベンチャー / 能力獲得プロセス / 支援活動 / 知識 |
Outline of Research at the Start |
大学発スタートアップへの社会的な注目が改めて高まり、設立数の上昇や投資額の増加、支援活動の高度化が実現した。大学単位で動向をみると、一部の研究大学が顕著な実績を上げる一方、多くの他大学は差を付けられた。大学発スタートアップの創出や成長を促進する要因については多様な研究が実施されてきたが、大学の支援活動が結実する「閾値」の存在や閾値に到達するプロセスについての実証分析はほとんどされていない。そこで、本研究ではインタビュー調査や日米の調査データ等を活用し、大学発スタートアップを継続的かつ発展的に創出するための大学の支援能力の獲得プロセスに関するモデルの構築と検証を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大学発スタートアップ(ベンチャー)を継続的かつ発展的に創出するための大学の支援能力の獲得プロセスを解明することである。 初年度の2023年度は文献調査や内外動向調査に加え、文部科学省データを活用し、「大学発ベンチャー創出と支援策の決定木分析」と「大学発ベンチャーを意識した大学の知財戦略と保有特許の関係」を中心に分析を実施した。 決定木分析では大学を分析単位に5年度(2017~2021年度)合計の大学発ベンチャー設立数を目的変数とし、設立数10社以上、5社以上、1社以上の3決定木を生成した。説明変数として学内支援体制や研究者・学生向け支援策、大学発ベンチャー向け支援策、起業家教育を採用した。研究者数と共同研究件数、機関種別も投入した。3回の決定木分析いずれでも最も効果の大きい根ノードの変数として共同研究件数が描出された。1社以上の決定木では2番目のノードに相談窓口の設置と事業拡大支援が出現した。活発な共同研究が大学発ベンチャーを創出しやすい環境につながること、相談窓口など中規模以下の大学でも効果を得られる支援策が存在することが示唆された。 大学の知財戦略と保有特許の分析では、大学等発ベンチャーの創出や支援を意識した知的財産の活用を知財戦略に含めているかどうかを目的変数とした。説明変数として国内特許出願件数、国内特許権保有件数、国内特許に関する契約数、国内特許による収入額を採用した。制御変数として大学の規模を示す研究者数と機関種別を投入した。二値ロジスティック回帰分析の結果、研究者数と国立大学ダミーは、目的変数との正の関係が有意になった。一部のモデルでは、特許保有件数の単独が正の、共有が負の有意な関係になった。この結果は、大学が知財マネジメントに関する資源を共有特許に多く充当する場合に、大学発ベンチャーを意識した知財戦略を採用しにくい可能性を示唆していると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、大学が実施する大学発スタートアップ支援が結実する具体的な能力獲得プロセスを特定し、モデル化することを目指している。大学の支援活動は多様であり、それぞれ実効的な水準である「閾値」や活動の相乗効果が存在すると想定している。初年度は決定木分析により、共同研究を活発に実施する学内環境や相談窓口の開設が「閾値」である可能性を示唆する結果が得られた。調査分析の結果は、産学連携学会、研究・イノベーション学会、日本知財学会の年次大会で発表できた。学術文献をはじめとする資料の探索、収集、整理検討も年度を通して実施した。 大学発スタートアップへの社会的な関心は高く、内外で学術文献も豊富な蓄積がある上、近年、大学支援の高度化も進展している。引き続き、多様な文献や資料の探索や入手、整理検討を深めるとともに、関係者へのインタビュー調査の実施やデータ分析、投稿論文の執筆を実施する準備が整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画どおり、下記の項目を柱に研究を推進する方針である。 <動向・文献調査とモデル構築>大学発スタートアップに対する大学の支援に関する情報や先行研究、資料を収集し、動向を把握した上で現状と課題を整理する。米国調査のデータ(AUTM Licensing Survey)等を活用し、大学発スタートアップ創出の状況を国際的に比較検討する。上記内外動向調査・文献調査の結果を活用し、大学の支援能力の獲得プロセスに関するモデルを構築する。 <インタビュー調査>大学発スタートアップの創出と育成に組織的に取り組む大学の支援担当部門に対し、モデルの関連項目についてインタビュー調査を実施する。支援活動の経緯や支援活動の高度化、 スタートアップエコシステムでの役割等を確認する。支援活動が大学発スタートアップの創 出と育成に及ぼす影響や組織構造・組織文化の変化についてもヒアリングする。 <データ分析とモデル検証>インタビュー調査と質問票調査によって収集したデータや公開調査データを活用し、モデルの検証・見直しをする。定性的検証と定量的検証を組み合わせる。
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