Project/Area Number |
23K01612
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
白石 弘幸 中央学院大学, 商学部, 教授 (60242707)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2026: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | オープンファクトリー / 口コミ / 組織イメージ / ブランディング / CSR遂行 / ホスピタリティ / 経験価値 / 透明性 / 食品メーカー / 工場公開 |
Outline of Research at the Start |
本研究はブランドの心理的差別化に関する発展的研究であり、体験型ブランディング論の応用と実践を図るものである。オープンファクトリーにおける生産開示、見学やその他の体験が当該企業の組織とブランドのイメージに及ぼす影響、前者が後者をどのように変化させるかを調べ、ファクトリーを場にした企業イメージ向上とブランディングの有効なあり方を現実事例の比較により研究する。イメージへの影響、ブランディングの進展度合は口コミサイト上の投稿コメントを精査することで把握する。調査対象は水産加工品メーカーと菓子メーカーで、両企業群が運営するファクトリーを訪問したうえで企業イメージ形成、ブランディングに関する知見を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
源、梅かま、ヨコオデイリーフーズ、東京かねふく、桔梗屋、鈴廣かまぼこ、酒田米菓、原田、寿製菓の工場を訪問し、工場公開のあり方と自社ブランドに対する経験価値形成に関する現地調査を行った。また高崎市立中央図書館、山梨県立図書館、酒田市立中央図書館、米子市立図書館で、和菓子、水産練り製品、味噌・醤油のブランディング要素に関する資料収集を行った。これらの知見を「研究発表」欄に記載してある5本の論文にまとめ、また日本情報経営学会全国大会で発表した。 さらに一連の現地調査と資料収集で得た知見に依拠して、オープンファクトリーの機能について考察・整理し、その戦略的意義を論考した。工場公開は食品メーカーにとり重要な社会的責任の遂行であり、ブランディング、レピュテーションの保護と強化にも機能する。また好意的な口コミの発信も刺激し、販売促進と売上増大に作用しうる。以上の考察をまとめたプロセスモデルを構築して、因果関係を図式化し、これを論文により発表した。 加えて、前記メーカーのうち梅かまと源の2社について、もぐナビ、ものログ、Amazonカスタマーレビュー、食べログ、トリップアドバイザーにおける口コミの件数と内容を精査した。そこでは両社とも各々の製品カテゴリー、かまぼこ、ますの寿司に関し、それが富山の特産であり、自社はそこにおいて特別な企業であるというイメージ形成にある程度成功している。そして両社は、オープンファクトリーを併設した企業ミュージアム「U-mei館」「ますのすしミュージアム」を設置している。食べログとトリップアドバイザーにはこれらへの訪問、そこでの見学と体験に刺激された口コミが多数投稿されている。すなわち口コミのキーワードとして「見学」「旅行」「工場」「体験」が見られる。このように公開型工場の設置、これへの訪問とそこにおける体験が口コミを刺激する要因となっているという知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では各社のオープンファクトリーを訪問した際の知見から、組織イメージ向上に関する理論的インプリケーションを得るとともに、公開型工場の運用に資する実践的提案を示す。このため現実のオープンファクトリーにおける実地調査が本質的重要性を持つ。前項「研究実績の概要」で述べたように、2023年度は調査の計画を合理的に組むことで、9社の工場に訪問することができた。限定的な日程の中で効率的に調査ができたと考えている。 そして北陸三県の水産加工品メーカーに関する口コミ活性度、口コミ形成が進んでいる企業におけるキーワードから見たその内容的特徴、オープンファクトリーの口コミに対する影響を調べ、工場公開の口コミ刺激効果を確認するに到った。さらにオープンファクトリーの機能について考察・整理し、その戦略的意義について論じるとともに、当該機能と工場公開が当該企業のブランディングと競争優位に到る因果プロセスを図式的に整理することができた。課題遂行前に立てたリサーチクエスチョンのうち、「食品メーカーでいかなる生産公開と展示説明、体験プログラムが提供されているか」「どのような見せ方、開示事項、ホスピタリティ、体験プログラムが当該企業の印象とブランドイメージの改善、好意的口コミ形成に強く作用しているか」に関して知見が得られた。 また研究成果を5本の論文にまとめ、日本情報経営学会全国大会で発表した。5本の論文のうち、1本は厳格な査読体制を敷いている『日本海域研究』に掲載された。日本情報経営学会全国大会における研究発表に際しては、事前審査を経て発表申込を受理され、また当日、コメンテーター及び出席者からインパクトが大きい研究であるという評価を得た。本課題で本質的重要性を持つオープンファクトリーへの訪問調査も前述のように9社に関して行った。このようなことから、本課題の遂行はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
課題設定時に立てた主問題「食品に関するブランディングが、一部メーカー設置のオープンファクトリーでどのように行われているか」を解明すべく、食品メーカーが設置・運営しているオープンファクトリーに対する訪問調査を継続する。調査では、リサーチクエスチョンのうち「いかなる生産公開と展示説明、体験プログラムが提供されているか」「どのような見せ方、開示事項、ホスピタリティ、体験プログラムが企業とブランドのイメージ改善、好意的口コミ形成に強く作用しているか」を継続して意識する。 そのうえで、工場公開とブランディングに関する理論的インプリケーションの獲得、実践的提案の提示という目的達成に近づく。すなわち2023年度に各社のオープンファクトリーを訪問した際の知見から抽出・抽象化したモデル的な役割と機能と、今後訪問する個々のファクトリーとを比較対照してモデルの妥当性を検証し、また各ファクトリーの課題を検討することを通じてその実践的応用可能性を確認・補強するというフェーズ、ステージに入っていく。 また2023年度は、水産加工品メーカーと菓子メーカーを食品メーカーという同じ括りで同等に扱っていたが、今後は同じ食品メーカーでも扱う食品カテゴリーが異なれば、オープンファクトリーの形態や運用、提供されている体験プログラムに相違が見られるのではないかという問題意識で訪問調査を行う。すなわちリサーチクエスチョンのうち、前述した二つの問題に加えて、「水産加工品メーカーと菓子メーカーの工場公開および体験型ブランディングには、いかなる特徴と相違が見られるか」の解明にも取り組む。 こういう問題意識と趣旨で訪問済みの工場を再訪問したり、未訪問の御菓蔵、日の出屋製菓産業等のファクトリーに新たに訪問する予定である。2023年度と同様、限られた日程の中で効率的に訪問調査を行うべく綿密な計画を立てたうえでこれを実施する。
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