Project/Area Number |
23K01670
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07100:Accounting-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北川 教央 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80509844)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 株式市場の不確実性 / 決算発表 / 株価反応 / 出来高反応 / 経済の不確実性 / 会計情報 / 利益調整 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,マクロ経済の不確実性が,(1)投資家による会計情報の利用に及ぼす影響,および(2)経営者による会計情報の作成・開示に及ぼす影響,という2点について検証を行う。1点目については,マクロ経済の不確実性が実績利益や業績予想に対する株価反応や出来高反応に及ぼす影響について検証を行う予定である。また2点目については,マクロ経済の不確実性が,税負担削減行動,条件付保守主義,実体的裁量行動などに及ぼす影響について,検証を行うことを想定している。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究では,株式市場の不確実性が決算発表に対する株価反応および出来高反応に及ぼす影響について検証した。株式市場の不確実性が決算発表に対する株価・出来高反応に及ぼす影響については,相反する2つの予想が成り立ちうる。1つ目の予想は,不確実性が高まるほど,決算発表に対する株価・出来高反応は大きくなるというものである。この見解は主として,不確実性の上昇による代替情報の減少を論拠としている。情報劣位にある投資家は,市場の均衡価格から企業に関する情報を得ているが,経済的な不確実性が高まると,期待リターンの分散が大きくなるため,株価の情報量が低下する。そこで,投資家は均衡価格から情報を入手することが困難となるため,他の情報源として会計情報への注目度が高まると考えられる。これにより,決算発表に対する株価・出来高反応は大きくなることが期待されるのである。 いま1つの予想は,不確実性が高まるほど,決算発表に対する株価・出来高反応は弱くなるというものである。この見解は主として,不確実性の上昇に伴う市場の流動性の低下を論拠としている。経済的な不確実性の上昇に伴う株価の情報量の低下や,エコノミストによる経済予測や証券アナリストによる業績予想といった情報の信頼性の低下は,情報劣位にある投資家の投資リスクを上昇させる。そのため,情報劣位にある投資家は,市場から退出したり,不確実性が低下するまで投資意思決定を先送りしたりすることで,自己の利益保全を試みる。その結果,株式市場の流動性が低下し,決算発表に対する株価・出来高反応は小さくなることが予想されるのである。 本研究では,日経平均ボラティリティ・インデックスを不確実性の代理変数とし,平均的にはいずれのシナリオと整合的な傾向が観察されるのかについて検証した。その結果,後者と整合的な傾向が観察されることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ,研究はおおむね順調に進捗している。本研究は,マクロ経済の不確実性が,(1)投資家による会計情報の利用に及ぼす影響,および(2)経営者による会計情報の作成・開示に及ぼす影響,という2点について検証を行うことを課題としている。1点目については,マクロ経済の不確実性が実績利益や業績予想に対する株価反応や出来高反応に及ぼす影響について検証を行うことを想定している。また2点目については,マクロ経済の不確実性が,税負担削減行動(tax avoidance),条件付保守主義(conditional conservatism),分類操作(classification shifting),といった経営者の会計行動に及ぼす影響について,検証を行う予定である。 上記2つの課題のうち,1つ目を2023年度中に終えることができた。その成果はすでに国内学術誌(「株式市場の不確実性と決算発表に対する株価・出来高反応」『會計』第205巻第2号(2024年2月),149-161頁)に掲載されている。以上から、研究はおおむね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度以降は,マクロ経済の不確実性が経営者による会計情報の作成・開示に及ぼす影響について検証を行う予定である。現時点で以下の3つの研究プロジェクトが進んでいる。第1のプロジェクトは,東日本大震災を不確実性の外生ショックととらえ,東日本大震災の前後における経営者の利益調整行動の変化について検証するものである。本研究プロジェクトは,University of AberdeenのNaser Makarem氏との国際共著論文として,今年度または来年度に完成させる予定である。第2のプロジェクトは,経済政策の不確実性(economic policy uncertainty: EPU)が条件付保守主義に及ぼす影響について検証するものである。第3のプロジェクトは,経済政策の不確実性が分類操作に及ぼす影響について検証するものである。2つ目と3つ目のプロジェクトもまた,今年度または来年度に完成させ,国際査読誌へ投稿することを予定している。 また、いずれの研究についても、論文が完成次第、海外の学会での発表を予定している。
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