Project/Area Number |
23K01681
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07100:Accounting-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鳥羽 至英 早稲田大学, 総合研究機構, その他(招聘研究員) (90106089)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 監査の文化 / 監査社会 / 日本の監査風土 / 仲間内の監査 / 監査役監査 / 公認会計士監査 / 人類社会学と監査 / 受託責任監査 / 監査 / 文化 / 委託受託関係 / 安心 / 信頼 |
Outline of Research at the Start |
今回の研究は、ある社会において監査がどの程度受容されるかどうかは、その社会における文化によって影響を受けるのではないかとの推定に基づいている。ただ、この推定は最近終了し、その研究成果が公表された「監査の世界史」研究に基づいている。わが国の場合には、監査の外郭は広く設定されていながら、その実効性に不安があり、監査が儀式化されているのではないかとの認識を、文化という視点から分析し、監査の実効性を高めるための方途を模索することを目的としている。いかなる文化的要因が、わが国における人々の監査意識に影響を与えているのであろうか。この研究の目的は、そのことを明らかにすることにある。
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Outline of Annual Research Achievements |
この研究は、基盤研究C「世界の監査史研究」を受けて認識するに至った「監査は文化に従う。」という命題について、特に監査がなかなか定着せず、定着しても「儀式化された監査」が広く社会に浸透しているように感じられることを踏まえ、本研究においては日本を取り上げ、この命題の内実を明らかにすることを目的としている。監査と文化との関係については、上記の基盤研究Cの研究期間を延長する中で、その準備的な考察、とりわけ本研究課題に関係している基礎的文献の渉猟に努めてきた。 延長した基盤研究C自体の終結に時間がかかったため、当初予定していた文献の読み込みまでには至らなかったが、それでも、「監査と文化」の研究に役立つと思われる論文と書籍を得ることができた。これらの文献を梃子にして、さらに詳細な記述を含んだ文献に行きつくことを期待している。 この研究は、監査と文化を一般的に考察の対象とするのではなく、日本の監査社会のあり様を念頭において、日本における監査と文化(風土)という視点から、とりわけ日本の監査役監査と監査委員監査を取り上げる。日本における社会あるいは会社社会をどのように観るかという点に大きく関係しているため、日本の特殊性(日本社会の特徴)を取り上げた先行研究の渉猟を行い、一部、有効な先行研究(人類社会学の研究)にたどり着いた。 2023年度の研究成果として、論文等の整った形での業績はないが、今回の研究課題を有効な形で捉えることのできる構図は、次第に出来上がっている、と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
基盤研究C「世界の監査史」の研究期間を延長したものの、その完了が相当に遅れたため、2023年から開始された「監査と文化」の研究について、本格的な研究はあまり進まなかった。ただ、「世界の監査史」研究をまとめる段階で、可能な限り、監査と文化との接点を考慮に入れ、必要に応じて関連する分析(記述)を行った。また、同時に、「監査と文化」の研究に関係すると思われる文献を広範囲に検索し、必要に応じてコピーするという準備的な作業も行ってきた。 ただ、今回の研究課題に重要な示唆を与えるものといえる複数の先行研究に出会っており、また、かかる先行研究で得られたところを総括してみると、ほぼ、本研究の構図は固まってきたのではないか、と考えている。 「日本における監査と文化」に関連する文献をさらに入手する必要があるが、この領域の監査研究は極めて少なく、また監査一般ではなく公認会計士監査を取り上げており、文献に偏りがある。また、公認会計士としての実務経験に基づく観察が中心であり、学術的説明としては相当に割り引かざるを得ない。 「研究課題」を遂行する上での制約は大きいが、何とか学術的な視点で「日本における監査と文化」を考察し、共感を得られるような分析を心掛けたい。
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Strategy for Future Research Activity |
「監査と文化」に関するわが国の先行研究を調査し、これまで入手した文献等に基づいて、どのような分析視角で、わが国における監査と文化の問題を捉えたらよいか、その枠組みを構築すること、加えて、この枠組みに従って文献に基づいた「肉付け」をすることを、今年度の研究方針の基軸とする。 とくに注目しているのは、「人類社会学」を標榜している研究者による「たて社会」として特徴づけられる日本の会社組織である。監査役監査が抱えている監査の有効性にかかる問題は、「たて社会」としての株式会社と深く関係している、と考えられる。今年は、この視点に基づき、「監査と文化」を考察するための枠組みを構築することにしたい。
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