企業価値報告とサステナビリティ報告の統合的フレームワークの構築
Project/Area Number |
23K01689
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07100:Accounting-related
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
阪 智香 関西学院大学, 商学部, 教授 (10309403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
地道 正行 関西学院大学, 商学部, 教授 (60243200)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | サステナビリティ情報 / 企業価値 / 会計ビッグデータ / サステナビリティ開示 / 企業価値報告 / 探索的データ解析 |
Outline of Research at the Start |
グローバルレベルで急速に進むサステナビリティ基準開発には、サステナビリティ関連財務開示とインパクト報告の2つの領域があり、どのように統合するかが問われている。日本が、国際的な基準開発に貢献し、我が国基準を開発するには、グローバルな科学的・理論的根拠が必要となる。 そこでまず、世界の上場・非上場企業の財務・サステナビリティ情報の探索的ビッグデータ解析を行い、様々な証拠を提示する。次に、各種財務・サステナビリティ(KPIs)の解析結果を基に、統合的フレームワークを構築し、グローバル・ベースラインとしての国際基準や追加開示の意義を検討する。さらに、これらの情報が共有されるための実証実験も行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、企業価値報告とサステナビリティ情報の関連についての分析を実施した。mdx上で前処理・ラングリング処理した世界の10万社超の上場企業の会計データセット、および、世界の2,600万社超の非上場企業の会計データセットを使い、ローカル環境で種々な探索的データ解析を行った。探索的データ解析にあたっては、新しい資本主義の実現のための「成長と分配の好循環」の視点に基づき、生産性・収益性及び付加価値分配の観点から、10年間の実態について国際比較を含めて明らかにした。この分析結果は学術論文として公表し、国内会議でも発表した(「10.研究発表」参照)。さらに、mdx環境においてCPUノードをパラレルで利用することによって、可視化を短時間 (1/3程度) で行うことができた結果は学術論文として改訂中である。 また、株主・投資家への分配を重視する株主第一主義の経営が行われてきたことで、様々な環境・社会問題も生じてきた。現在それが見直され、サステナブルなビジネスへの転換が求められている。そこで、資金の流れを変えることと、そのための金融市場の枠組み作りが必要とされ、サステナビリティ情報開示の基準開発や制度設計が急速に進んでいる。これらの基準開発や制度設計に関しても、本研究で実施した会計データとESGデータとの探索的データ解析の分析結果を活用した。また、これらの研究結果と研究手法は、学術論文として公表し、国際会議・国内会議などで発表するとともに、基調講演や日本学術会議のシンポジウムなどを通して発表した(「10.研究発表」参照)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、学術論文発行3本、国際会議発表2報告、国内会議発表16報告を実施した。主な研究成果としては次のものが挙げられる。 世界の2,600万社超の非上場企業のデータセットを使った探索的データ解析では、まず成長に関しては、非上場企業の生産性を従業員一人あたり営業利益で確認した。結果は、他国と比較しても日本の非上場企業の生産性は低くはないことがわかった。次に、収益性(ROE)をみても日本の非上場企業の収益性は、アメリカなどと比較しても低くはないこともわかった。なお、ROEの分布で興味深い点は、0付近に極端に企業が集中していること、また、ROE=0を境に分布が非対象になっていることが確認できた。次に、分配に関しては、社会的に分配の多くの部分を実質的に担っているのは企業であることから、非上場企業が生み出した付加価値がどのようにステークホルダー(債権者、従業員、政府、株主)に分配されているかの10年間の実態を確認した。国ごとでは、大陸ヨーロッパであるドイツやフランスでは、従業員への分配割合が高く維持されていたが、アメリカでは、株主への分配割合が増加し、従業員への分配の減少が顕著であった。日本の非上場企業でも、従業員への分配がゆるやかに減少し、投資家への分配が増加していることがわかった。上場企業と比較すると、非上場企業では、相対的に従業員への分配が維持されてきたことがわかった。 また、サステナビリティ情報として、上場企業のESGレーティングデータを用いた探索的データ解析を実施し、国毎でESGの水準にどれほど差が存在するかを可視化によって示した。また、ESGと企業利益や株式時価総額とに正の相関があることや、ESGと各種財務指標との関係を見出す高次元の可視化も実施した。さらに、会計情報とESG情報が企業の株式時価総額をどの程度説明するか(寄与率)を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで利用してきた世界の上場・非上場企業の会計データベースOsirisとOrbis がMoody's DataHub サービスに移行することに伴い、2024年度以降の探索的データ解析を実施するために、この環境からデータを抽出することを試みた。この結果として、上場企業の会計データについては従来からのものと同様のデータを抽出することが可能であり、さらに従来から得られている結果が一部再現できるということを確認済みである。2024年度は、DataHub から抽出したデータを利用して、サステナビリティ情報と結合し、多様な視点からの可視化を行うとともに、統計モデリングを実施する予定である。 また、2023年度には、日経NEEDS財務データにもとづいて、東京証券取引所の株式市場に上場している企業の財務データの匿名化を実験的に行った。2024年度は、2022年4月から市場区分が「プライム」、「スタンダード」、「グロース」へ変更されたことに対応する匿名化を検討する予定である。また、このように匿名化されたデータの公開について、技術的な側面のみならず、制度等の面からも引き続き調査する予定である。この研究は、ステークホルダー資本主義を見据えた、財務・サステナビリティデータの共有に向けた研究として位置づけられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(22 results)
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[Presentation] Dynamical Visualization of Environmental, Social and Governance (ESG) Ratings and Corporate Financial Performance: An Exploratory Data Analysis of Global ESG and Accounting Data2023
Author(s)
Saka, C., D. Cook, M. Jimichi, T., Prabang
Organizer
Academy of Sustainable Finance, Accounting, Accountability & Governance, 3rd Annual Conference, Spain, Valencia
Related Report
Int'l Joint Research
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