「ICTまちあるき」による循環型社会関係資本形成モデルの構築:大学生を起点として
Project/Area Number |
23K01757
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
須賀 由紀子 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (30468566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 薫 江戸川大学, 社会学部, 教授 (60227428)
藤田 美幸 新潟国際情報大学, 経営情報学部, 准教授 (60788917)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 地域愛着 / 社会関係資本 / 関係人口 / 地域活性化 / まちあるき |
Outline of Research at the Start |
人口減少社会を迎え地域の弱体化が懸念される中、関係人口による地域活性化の議論が盛んになっている。本研究は、関係人口がどのように地域を支えうるか、社会関係資本形成の観点から実証研究を行う。具体的には、大学生を地域の関係人口と捉え、大学生を起点として多様な人の関わりを創出する、ICT活用による「地域価値共有型まちあるきプログラム」を開発し、地域価値への気づきと主体的な関わり意識の醸成をもとにした循環型社会関係資本形成モデルを構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
人口減少がすすみ地域の弱体化が懸念される中、本研究では、地域の関係人口を増やし地域活性につなぐ仕組みとして、地域にとっての来訪者である大学生を起点とする「地域価値共有型まちあるき」を、地域の社会関係資本に結び付けていくプログラムの開発に取り組んでいる。 今年度は基礎研究として、大学生起点の地域価値共有型まちあるきプログラムに必要な要素を、既存のまちあるきプログラムとの対比で捉えるための先行事例調査を行った。そして、研究代表者・研究分担者が関わる複数地域において、パイロット版まちあるきを複数回行い、プログラム内容を検討した。具体的には、地元の児童生徒、町内会活動などに積極的に関与する地域住民、地域活性まちづくりに主体的に関与している商店や地域リーダーなど、多様な年齢や立場の人に大学生起点のまちあるきプログラムに参加してもらい、本まちあるきプログラムに必要な要素およびまちあるきの実施のしやすさを検討した。プログラムにはICTを活用して遠隔からも参加できる形とし、現地参加者と遠隔参加者の受け止めの対比を行った。 まちあるきの効果検証のため、先行文献研究から地域資源の活用と関係人口創出・社会関係資本形成のつながりを捉え、参加者の主観的幸福感及び地域と関わる技術という所与条件と、まちあるき参加による地域への関与度と人生満足度との関係性を測る仮説枠組みに基づく調査票を作成し、実施プログラムごとにアンケートを行った。 以上の基礎研究を通して、地域の中で共感できる「人」に出会っていく仕組みをいかに組み入れるかが関係人口創出のまちあるきの必要要素であること、地域資源の背後にある地域文脈の価値にどう出会っていくかの仕掛けが必要であること、そして、大学生ら若い世代が、自分自身の生き方や持続可能な暮らしづくりの意識と結びつけながら地域資源に出会っていく仕組みが有効であることが示唆される結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者・研究分担者が連携し、各地域の地域特性に即した大学生起点のまちあるきプログラムを開発し、小学生を含む地域住民や、地域づくりのリーダー的存在の協力を得て、大学生が主体的になることができるまちあるきプログラムの開発を順調にすすめている。本研究の主題に基づく効果的なまちあるきの構成要素を抽出できる見通しを持って研究をすすめており、今後、さらにまちあるき実践を重ねていく中で、地域に関わり、世代を越えた交流を大学生が創り出し、これからの地域社会を担う若者自身が地域への興味関心を持つプログラムモデルについて提案できる見通しである。 本研究では、まちあるきのスタイルを、ゲーム性の高い「クエスト型(目的達成型)」と、回遊性の高い「さるく型(物見遊山型)」に類型化し、最終的にはその融合の形を目指している。今年度は「クエスト型」の実践は行わなかったが、次年度に実施できる体制をすでに整えて準備している。 なお、当初、ICTを活用したまちあるきとして、スマートフォンを用いて、一人でもグループでも地域価値共有型まちあるきに参加することができて、地域価値がデータ化されていくようなまちあるきアプリの開発を想定していた。しかし、実際にまちあるき研究をすすめていくと、地域資源に関する情報は、Web上にすでに多様に存在しており、まちあるきの中では既存の地域資源情報を適宜利用すれば十分であることが明らかになってきた。そこで、デバイスに左右されるアプリ開発よりも、地域価値共有を深めるためのまちあるきプログラムを開発してモデル化を行う方が効果的であると考え、誰もが生活のツールとして持っているスマートフォンを使い、遠隔参加者が参加しやすい安定的なまちあるきプログラム内容を構築し、仲間が仲間を呼び入れていく関係人口創出モデルの研究を重ねていく。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度のパイロット版まちあるきプログラムを核にして、プログラムの企画およびまちあるきへの参加者を多様にしたまちあるきを企画して行い、参加する大学生の数を増やすことで本プログラムの有効性についての検証をすすめていく。本まちあるきプログラムに必要な要素の抽出のため、観光型まちあるき、社会教育型まちあるきなど、既存のタイプのまちあるきへの参与観察、主催者・参加者へのインタビューなどを行う。 まちあるきプログラムの実践は、研究代表者・研究分担者の大学の所在地である日野市(東京都)・流山市(千葉県)・新潟市(新潟県)で行い、テーマ性あるまちあるき、行政との連携、学校教育、社会教育機関との連携、観光協会との連携など、様々な連携の実践を重ねる中で、運用しやすい効果的なまちあるきの在り方についての知見を提示する。まちあるき効果の効果測定について、今年度設計した意識調査を継続して行いながら、アンケート項目の修正も検討する。また、当初の研究計画どおり、過疎農村地域においても同様の手法を用いたプログラムを企画・実施し、都市と過疎農村地域をつないで関係人口創出をはかるプログラムの開発に取り組む。これまでの先行研究では、関係人口創出は「都市―農村間」をつなげるところに力点があったが、都市部相互のつながりにも注視する必要があると考え、研究をすすめていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)