Project/Area Number |
23K01761
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
大庭 絵里 神奈川大学, 経営学部, 教授 (60221834)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 犯罪ニュース / 社会的構築 / 言説分析 / 社会統制 / 犯罪とメディア / 文化的犯罪学 / 犯罪のリアリティ / 刑事司法 / 犯罪 / ニュース |
Outline of Research at the Start |
本研究では、メディア、犯罪、及び社会統制の関係について、社会的、文化的に考察することを目的としている。戦後から現代に至るまでの日本の犯罪ニュースを対象に、ニュース言説において犯罪という現実がどのように構築されてきたのか、また、その構築について社会的諸制度、イデオロギーや文化的資源がどのように関わり、犯罪についての知識がいかに生産、再生産されるのか、考察する。さらに、インターネット視聴が主流になる現在における犯罪ニュースの特性と社会統制について考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本報告者は、1988年に犯罪ニュースを制作する新聞記者にニュース価値についてインタビューし、いかにして犯罪事件がメディア(新聞)において可視化され構築されるのかを考察した(『犯罪社会学研究』13)。それ以降、主に、犯罪ニュースがいかなるフレームのもとでストーリー化され、いかなるイデオロギーが表象され、また、犯罪事件のみならず、特定の犯罪の増減(犯罪の波)がいかにして社会的に構築されるのかについて、学会誌や大学紀要等に発表してきた。 犯罪とメディアについては、欧米では犯罪学の一領域として確立されており、事例研究や理論研究が蓄積され、文化的犯罪学というタイトルの領域も生まれた。メディア言説における犯罪がどのように社会的に構築されるのかは、単なる犯罪観の調査ではなく、社会の秩序と統制にかかわる研究である。本報告者は、その研究アプローチを日本の少年事件報道に適用して研究を行った(『国際経営論集』(=紀要)39、2010、『犯罪社会学研究』38、2015など)。また、欧米の犯罪とメディア研究において、戦後のメディア研究、カルチュラル・スタディーズ、および犯罪学研究がどのように接合してきたのかを『犯罪社会学研究』36(2011)にまとめた。さらに、犯罪とメディアに関する近年の研究の発展について『国際経営論集』おいて整理した(2021)。 この科研費の調査研究はこうした流れを背景としている。昨年度はデータ収集の段階であったので、研究実績はないが、今年度はコーディングがおわった記事データから、犯罪の言説分析を行い、学会等に報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度においては、朝日新聞縮刷版を使い、1945年から2020年まで5年おきに1年間の犯罪事件をサンプリングして収集した。本研究は、テキストマイニングとは異なり、どのように個々の事件はどのように「語られ」ているのかという言説分析であるため、縮刷版索引における「犯罪」の項から個々の記事を調べ、朝日新聞クロスサーチを使って記事を収集、コピーした(朝日新聞社からは許可を得ている)。 この作業については、外部委託業者への依頼、および、社会人アルバイトの雇用によって進めた。予想以上に記事件数が多かったことなどから、調査に関わる人件費が増大し、次年度(2024年度)の予算を前倒しすることとなった。記事総数は、3万を越え、記事収集作業は2024年2月までかかった。 その後は収集した記事データを特徴別に分類するためのコーディング作業を行っている。その作業についても、社会人アルバイトに協力してもらっている。その作業は現在も進行中である。科研費申請時においては他の媒体についても調査する予定であったが、費用と時間がかかるためそれを断念し、この朝日新聞記事のデータをもとに研究を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上記の記事データのコーディング作業をさらにすすめる。コーディングによって、どの罪状の事件が多いのかなど、ある程度の単純な統計をとる。しかし、研究の中心となるのは犯罪事件の言説の特徴と変化の分析である。大きく報道された事件はどのような罪状でどのような「ストーリー」として記述されたのか、被疑者、被害者、情報源、捜査機関の活動、刑事司法的知識などがどのように書かれているのか、歴史的変化とともに、メディアにおける犯罪の社会的構築について分析する。 記事数が多いため、コーディングにもかなりの時間が必要とされる。作業補助者として社会人アルバイトを雇用しているが、それでもおそらくかなりの時間がかかることが予想される。 コーディング作業を進めながらも、すでにその作業を終えた1960年、1970年の記事について分析を開始する。また、メディアにおける犯罪言説分析のための理論等の文献を収集し、読み進める。
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