Project/Area Number |
23K01766
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
梁 仁實 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (20464589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 鉉洙 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (10584443)
丁 智恵 東京工芸大学, 芸術学部, 准教授 (90794545)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 日韓条約 / 協定永住権 / 『パチンコ』 / 『パラサイト』 / 在日コリアン / 日本独立映画 / 東アジア / 映画運動 / 日韓 / 社会史 |
Outline of Research at the Start |
本研究では在日コリアンの映画人たちの活動が日本国内のみならず、「東アジアのトランスナショナルなネットワーク」を作り出した上に、新たな東アジアの連帯を再構築しているという仮説を立てている。そのために戦前から戦後にわたる在日映画人の活動が北朝鮮や沖縄を含む東アジアというトランスナショナルな空間においてどのような役割を果たしていたかを明らかにする。具体的には、日本と朝鮮半島の映画史と在日コリアンの歴史が交差する在日コリアンの映画運動に注目することにより、国家権力や冷戦体制、映画産業、市民運動などが重層的に絡み合う関係について考察し、その意義を再検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究開始の1年目である2023年度は研究代表者も二人の研究分担者も研究調査及び公開を活発に行った。 第一、2023年8月にベルギーゲント大学で行われたヨーロッパ日本学会(EAJS)にて研究代表の梁と研究分担者の丁智恵が口頭発表を行った。梁は韓国映画の『パラサイトー半地下の家族』が日本で在日コリアンの映画人や演劇人たちによって演劇化されたことに注目し、在日コリアンによる演劇化は原作とは異なり、舞台を1990年代の関西に変更することによって、日本社会の構造的な問題が在日コリアンや社会の底辺にいる人々にどのように影響しているのかを鋭く描いた翻案ものとなった。また、共同研究分担者の丁智恵も戦後日本の独立映画運動において在日コリアンの映画人たちがどのような活動をしていたのかを具体的な事例を史料に基づき、一つずつ丁寧に取り上げたものとなった。この二つの発表は日本社会において在日コリアンの映画人の活動が多様化していることを示すものとなった。 第二、2023年9月にはオーストラリア日本学会にて研究代表の梁がパネル「在日コリアンを想像する/創造する」というパネルを組み、研究分担者の二人も口頭発表を行った。金鉉洙は日韓条約という日韓の間の国交正常化以降在日コリアンがいかに規定されたのか、を史料で検討し、丁智恵は在日コリアンが戦後日本の映像のなかでどのように他者と表象されていたのか、梁仁實は近年グローバルな映像においても表象されるようになった『パチンコ』という映像について分析を試みた。 これからはこれらの研究発表での議論を踏まえた上でさらに東アジア全体における在日コリアンの映画人のネットワークがどのようになっていたのかを探っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は研究代表も研究分担者も多くの国際学会で口頭発表する機会を得て、様々な知見を持っている多くの研究者たちと議論する場に出ることができた。これからこれらの場で得られたものを生かしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施2年目となる2024年度は前年度に引き続き、一人の研究代表者と二人の研究分担者がそれぞれ研究を分担しながら進めていく予定である。まず研究代表者の梁仁實は今まで通り資料を集めながら、蓄積された資料の分析を行い、口頭発表や学術誌へその成果を公開していく予定である。とりわけ、近年の日韓における在日コリアン1世映画人の回顧録やアーカイブ、資料などの発掘が進んでおり、これらの資料に目を通しながら、研究を進めていく。研究分担者の二人はそれぞれ戦後直後日本の映画業界にいた在日コリアンの映画人に対する研究調査を、また日韓条約後の在日コリアン社会における「祖国」とのつながりがいかに市民運動や民主化運動とつながっていくのかに対する研究も進めていく予定である。
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