Project/Area Number |
23K01781
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
首藤 若菜 立教大学, 経済学部, 教授 (30323158)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2027: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 人手不足 / 雇用調整 / 賃金調整 / 航空産業 / 労使関係 / 航空業界 / 国際比較 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、事例分析に基づき、日本と欧米の雇用・賃金調整の現在の実態と特徴を描いたうえで、それがどのようなプロセスで決定されているのかを明らかにする。加えて、需要回復期の調整過程を考察することで、雇用・賃金調整の研究に新たな論点を示す。 例えば、アメリカは、賃金調整を回避し、雇用調整が速い傾向があり、失業率が高まりやすい反面、労働移動が進みやすく、賃金水準は低下しにくい。他方、日本は賃金調整を先行させ、失業率は上昇しにくいが賃金も上昇しにくい。 本研究では、研究対象にドイツやイギリスを加え、かつ景気の低迷期のみならず回復期を含めることで、雇用・賃金調整の従来の議論を再構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、航空産業を対象に、雇用調整・賃金の実態を国際比較し、従来の雇用調整・賃金調整の議論を再構築することにある。 2023年度は、日本の航空産業の現状について調査をおこなった。2020年に新型コロナウイルス感染症が拡大し、航空旅客数は大幅に減少した。だが、2023年5月にいわゆる「5類感染症」に移行し、その後、経済活動が再開され、航空業界では旅客数が増加しつつある。しかし、コロナによりいったん縮小した従業員規模をすぐに戻すことは難しく、航空の現場では深刻な人手不足に陥った。 その実態を航空産業のとくにグランドハンドリング部門を対象に、2023年8月に実態調査を行った。グランドハンドリング部門は、旅客ハンドリングとランプハンドリングに分けられる。2023年4月時点の雇用量は、コロナ前(2019年3月)と比較して、旅客ハンドリングは8割、ランプハンドリングは9割の規模にとどまっていた。地方部よりも都市部での空港の方が、人員の戻りが遅く、人手不足がより深刻化していた。その一方で、旅客数は2023年4月時点で、国内線はほぼコロナ前の水準に戻り、国際線も7割近く回復していた。 各社は、航空需要を逃さないためにも、人手確保に奔走した。賃金水準を引き上げるとともに、新しい技術の導入を進めるなどの対応をとった。労働時間の削減も、一定程度進んだ職場もある。だが、企業によっては、人手が思うように確保できないことから、在籍する従業員の労働時間が長時間化し、それが半年近く続いたことから、労働組合から時間外労働に関わる労使協定・36協定の締結破棄を突きつけられたケースもあった。 本年度は、様々な事業所の労働現場の見学を行うとともに、関係者にヒアリング調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、航空業界の国内の雇用・賃金調整の実態を明らかにすべく、実態調査を重ねた。労働実態に関わる統計資料の収集も進めたが、政府が発表する統計資料では、航空産業の労働実態を把握することが困難であることも分かった。航空産業のなかでも、客室乗務員や運航乗務員の賃金や労働時間は、把握可能であるが、グランドハンドリング業務は、整理されたデータが十分に発表されていないためである。そこで、企業レベルや国交省が発表したデータの収集を進めた。 同時に先行文献を収集し、整理を進めている。おおむね当初の計画通り順調に研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に国内調査を実施したが、ちょうどこの時期はコロナからの回復期であり、状況が流動的だった。そのため、今後も継続的に実態調査を重ねる必要があることが分かった。 そこで、2024年度以降は、海外調査に加えて国内調査も継続的に行うことを計画している。また、日本のグランドハンドリング業界では、2023年8月に業界団体を立ち上げた。2024年4月現在、85社が加盟している。業界団体として、何を求め、何を実現していこうとしているのかヒアリング調査を行いたいと考えている。 来年度は、海外調査と国内調査の両方を進めていく予定である。
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