Project/Area Number |
23K01790
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂田 邦子 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (90376608)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | サバルタン / メディア / 東日本大震災 / 福島 / 避難 |
Outline of Research at the Start |
現代の情報社会において、SNSなどのコミュニケーション・ツールの普及により、これまでは表に出てこなかったような様々な声や情報を発信・収集することができるようになっている。それにも関わらず、個人的/社会的な苦しみや痛みを語ることができずに周縁化されてしまったサバルタンと呼ばれる社会的または言説的弱者がいる。本研究では、①表象分析・言説分析、②制作者に対するインタビュー調査、③被表象者に対するインタビュー調査、④調査結果の分析および考察という4つのステップを通じて、サバルタンが自ら語るための課題と可能性について考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2023年度は、調査対象として、東日本大震災における福島第一原子力発電の水素爆発以後、避難するか福島に留まるか、科学的にも不確かな状況において決断を迫られるなか、その本心を口に出すことすらできなかった福島の母親たちを「サバルタン」と捉え、彼女たちの当時から現在に至る言葉にならない葛藤や不安について、その背景とともに、語られなかった言葉を顕在化するためのメディアの役割について考察することを試みた。 文献調査からは、2011年直後は、母親たちが語ることができないまま言葉を飲み込んで来た事実が少なくないことが明らかになっている。その背景には、風評被害を恐れる(男性を中心とした)福島県民の主流の言説、家父長制による母親の家庭内立場の不安定さ、さらには、被害の全体性の中で個人の意思を決定することの困難、といった重層的な要因があることが想定される。この点については今後の調査が必要である。 また一方で、時間とともに少しずつ当時の不安やジレンマを語ることができる状況も出てきているようである。この点については、とりわけ東日本大震災後の福島を描いたドキュメンタリー映画ににおいて、近年、母親たちの葛藤とジレンマがテーマとして取り上げられるものが発表されており、震災後の語ることのできなかった状況から少しずつ語ることができる環境へと変化していることも伺える。 ただしさらにその一方で、福島の当時乳幼児を抱えて避難を余儀なくされた母親たちに対するインタビューからは、今現在、周囲の人に当時の話しをする機会が持てないでいるといった声も聞かれている。 2024年度は、上記のドキュメンタリー映画のコンテンツ分析と福島の母親に対するさらなるインタビュー調査を行うとともに、映画制作者に対するインタビューを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
並行して行っている別調査研究の負担および学会業務、校務等が当初予定より大幅に増えたことと、ほぼ同時に母と叔母が要介護状態になったため、実家や叔母の家の行き来などに時間が取られ、新たな研究に手を付ける時間がほとんど取れなかったため。特に、調査の対象を絞る段階で試行錯誤があり、まとまった時間が取れないなか、調査対象を絞ることに時間がかかってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、コンテンツの分析と制作者へのインタビューを可能な限り進め、2025年度には被表象者に対するインタビューを行えるよう制作者とのつながりを作るつもりである。2025年度に被表象者へのインタビューを終了し、2026年度には、コンテンツ、制作者、被表象者すべてのインタビューデータの分析を終え、論文としてまとめるつもりである。
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