戦後文化運動に見る地方都市の左翼思想-八幡製鉄周辺における職場雑誌からの検討
Project/Area Number |
23K01798
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
西田 心平 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (00449547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠田 剛士 宮崎公立大学, 人文学部, 准教授 (20611677)
川口 隆行 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30512579)
高山 智樹 北九州市立大学, 文学部, 教授 (70588433)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2027: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 戦後文化運動 / 八幡製鐵所 / 地方都市 / 左翼思想 / 八幡製鉄所 |
Outline of Research at the Start |
本研究テーマは「戦後文化運動に見る地方都市の左翼思想-八幡製鉄周辺における職場雑誌からの検討」である。八幡製鉄周辺の職場・サークル雑誌を対象に雑誌間の関係や書き手の作品の軌跡、書き手のオーラルヒストリー調査を通じ、北九州から見た地方都市の左翼思想の系譜を明らかにする。思想史等の研究において「地方の思想」は開拓が進みつつある。だが地方の現実から普遍的な歴史的経験を引き出す研究は少ない。日本の近代化を支えた北九州の文化運動の掘り起しは未開拓であるだけでなく、日本の歴史的経験の一端を浮かび上がらせる意義をもつ。地方の文化運動の検討を通じ、地域の末端から戦後の思想を見通す視座を構築することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は北九州八幡製鐵周辺の職場・サークル雑誌を対象に、雑誌どうしの関係性や書き手の作品の軌跡、書き手のオーラルヒストリー調査を通じ、北九州から見た地方都市における文化運動における左翼思想の系譜を明らかにすることである。 2018年から2022年にかけて行ってきた八幡製鐵所発行の職場雑誌『製鉄文化』やその周辺で発行されてきたサークル詩などの収集と読解を踏まえ、個々の作品の系譜や書き手の思想の変遷を明らかにする。 近代化以降、企業城下町として発展した北九州都市は官営製鐵所の操業を柱として保守的思想の系譜を担ったと考えられる。だが実際には、その周辺でそれに抵抗しながら革新的思想の流れも存在した。その水脈を戦後の文化運動の中に探りつつ、その運動にかかわった労働者や書き手の作品を検討することで浮かび上がらせることが狙いである。 その一環として、2023年度は八幡製鐵所において1920年に起こった大争議およびそれを主導した浅原健三という人物の当時の思想と行動について明らかにした。それは職工と職夫の間に隔たりを設けず、横断型の組合づくりを基盤とするアナルコ・サンジカリズムにもとづくもとであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の初年度に示した文化運動雑誌の投稿者・作品名・編集者等のリスト化は必ずしも順調には進められていないが、次年度の計画の一部であった八幡製鐵所における左翼思想の源流の一端を明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の4点が研究を進めていく上での柱となる。 第1に、浅原健三の思想の系譜を明らかにする。とくにこれまで明らかになっていない第一次共産党との関係を精査する。八幡製鐵所での大争議以前とその後の行動にわたって文献を調査する。 第2に、戦後北九州で独自の文化運動を展開した佐木隆三とその関係者の作品群を読解する。まず佐木が1961年に書いた『大罷業』という作品は、上記浅原健三が主導した大争議がモデルとなっている。浅原の思想の系譜が明らかになることで、1960年代における同作品の意味や読み方が変わってくると考えられる。また佐木が周囲の関係者とともに作成・発行した『新社会派』『労働北九州』『緑と太陽』などの雑誌群の読解を進める。 第3に、戦後北九州の文化運動を相対的に把握するため、他地方・都市の文化運動研究を吸収すること。研究者を招聘して共同研究を行うことや、文学・社会学関連の学会にて文化運動と地方都市のデスカッションを立案・実施するなどを検討する。 第4に、戦後北九州の文化運動を担った人物へライフヒストリー調査。職場雑誌等の文献だけでは収取できない情報、あるいは文学だけではない芸術や文化学校などに関する運動の経緯についての情報収集を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)