介護職同士の会話はコミュニケーション媒体になりうるか:被介護者にさりげなく伝える
Project/Area Number |
23K01855
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 雅史 東北工業大学, 工学部, 准教授 (50390597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入野 俊夫 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20346331)
古山 宣洋 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20333544)
花田 里欧子 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (10418585)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 認知症 / 介護 / 働きかけ / 専門職 / コミュニケーション |
Outline of Research at the Start |
高齢化の進展とともに認知症患者が増加し,介護施設入居者が重度の認知症を抱えること も増えている.認知症入居者のケアにあたる介護施設職員は,専門技能としてのコミュニケ ーションに注意を払っているが,その専門性は主として認知症患者への働きかけを中心にとらえられており,通常の対話が成立し難い状況での対話技能については未解明である.本計画では,高齢者福祉施設内での職員間のコミュニケーションを記録し,それらが被介護者を意識に含むという点で,間接的な働きかけのための媒体の性質を持つことを明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,介護者間のコミュニケーションが被介護者を意識して行われるかについて,非言語状態に関する以下の二つの仮説を,映像記録に基づき検証することである.1)介護者間のコミュニケーションは被介護者への視線を伴う.2)介護者間のコミュニケーションにおける参与者の姿勢は被介護者の存在で変化する. 専門性の発露としてとらえられてきた対話のありようを「専門対話」と呼び,一方で専門性が露わではないが,実態としては専門職としての工夫がなされた対話を,「準専門対話」と呼ぶこととする.本研究では,介護場面での専門職間の対話が,準専門対話を機能させる媒体として存在しうるかを確認する.重度の認知症などで双方向的な対話の成立が困難な状況で可能な手立てについて,様々な準専門対話への展開の道筋をつける. 研究計画の第一段階では,対話のデータを収集することとしていた.カメラを用いて,観察者不在の状況で高齢者福祉施設の特定ユニット内での職員の行動を記録し,映像からの視線推定ソフトウェアおよび姿勢推定ソフトウェアの精度を,実験室環境で専用装置を用いた場合と比較し,検証することとしていた. 今年度は,実験室環境での映像の評価のみを行った.取得した映像の処理においては視線の推定は行わず,姿勢推定のみを行った.また,姿勢推定ソフトウェアを複数比較した.推定結果を会話場面検出に適用するための簡易なルールベースアルゴリズムを作成し,検出が成功しやすい状況と失敗しやすい状況を整理することで,実験室環境より映像が不均質となる実環境において,データを取得する際の課題を明確にした. この課題と関わりが深い高齢者との音声コミュニケーションのうち,感情の伝達特性の心理実験的研究も実施した.この結果,高齢者は若年健聴者と異なり「怒り―喜び」の弁別が難しいことがわかってきた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データを取得する場である高齢者福祉施設との打ち合わせが進んでおらず,実環境でのデータが得られていないことから,遅れている状況にあると判断される.また,実験室環境での映像分析についても,網羅的に実施できていないことから,遅れている状況である.さらに,映像・音声取得機器の比較検討が完了しておらず,一部の使用予定の機器が在庫不足のため次年度まで購入できないといった,環境整備面での遅れも生じた. その一方で,実験室環境,実環境に加えて,仮想環境での行動分析という新たな可能性を詳しく検討することができた.特に,仮想環境に現実世界の物体を取り込む方法について,詳細に比較することができた.さらに,福祉施設における専門職同士の対話と対比する対象として,マスメディアにおける打ち合わせ対話のデータを取得する目途が立った.この比較対象となる対話については,次年度以降に着実にデータを蓄積できる見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者施設におけるデータの取得を実現すべく,調整を進めていく.また,取得した映像が分析対象として扱いにくい事態に備えて,当初予定していた第三者視点での映像に加え,話者密着での一人称視点映像の取得も並行して進めることを計画している.仮想環境における分析では,外部からの三次元モデルの導入により構築した環境で,統制された実験を行う一方で,空間全体を仮想空間に取り込む方法についても利用可能性を調査する計画である.対比対象となる打ち合わせ場面のデータは,月に1~2度のデータ収録を通年で実施する計画である. 今年度の実験で,高齢者は若年健聴者と異なり「怒り―喜び」の弁別が難しいことを見出したが,その原因はまだ不明である.この現象のモデル化や,別の感情も含めた実験を進める予定である.
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)