Project/Area Number |
23K01862
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
塩満 卓 佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (80445973)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2025: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 相談支援専門員 / 統合失調症 / 生活障害 / 手段的ケア / 情緒的ケア / ケアの脱家族化 / 中高年精神障害者 / 親元からの自立 / ケア負担感 / 実践モデル |
Outline of Research at the Start |
エコマップを用いた相談支援専門員のインタビュー調査及びフォーカスグループインタビューにより、中高年精神障害者の親元からの自立の実践概念を生成する。生成した実践概念を用いて、職能団体である相談支援専門員協会等への量的調査を行い、親元からの自立支援の取組状況を明らかにする。親の本人に対する介護負担感を調査し、同居・非同居別での比較検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
3種の文献研究を実施した。①統合失調症の生活障害について、ICIDH、ICF、IADLの視角から先行研究の知見をレビューした。②同居親が担っている統合失調症者に対するケアについて、複数の精神障害者家族会大規模調査の結果をレビューした。③全身性障害、知的障害、薬物依存症の親元からの自立のプロセスに関する実証研究を抽出し、これら先行研究の結果をPatersonら(=2010)による質的メタ統合(meta-synthesis)の方法を援用し、「起点(最初の提案者)」、「親と本人のパワーバランスの推移」、「ピアの関与」、「ソーシャルワーカーの関与」、「社会的文化的背景」の5つの視角から比較研究を行った。 ①及び②の文献研究により、統合失調症は、医学的な治療だけでなく、その生活障害から手段的ケア、情緒的ケア、情報的ケアが地域生活を継続していくうえで必要であることが示唆された。文献研究の成果物として『佛教大学社会福祉学部論集』20号所収の論文「統合失調症の生活障害と必要とされるケア-生活障害の先行研究と家族会大規模調査によるケア内容の分析から」を執筆した。 ③の文献研究において、起点はパワーバランスの優位な方となっており、全身性障害では親と本人のパワーバランスが逆転し本人優位となった時点であり、薬物依存症ではパワーバランスが逆転し親優位となった時点である。知的障害は一貫して親優位である。家族が面倒を見るべきという社会的文化的背景は、全てに共通している。 世界心理社会的リハビリテーション学会より表彰された社会福祉法人の相談支援専門員5名を含む相談支援専門員9名へのインタビュー調査を実施した。インタビューは、親元からの自立を支援した統合失調症者への介入のプロセスについて、自立前と自立後の2つのエコマップを素材に、本人、親、関係機関への働きかけをプロセス的に明らかにすることを目的とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中高年統合失調症者が親元から自立していくことを支援した経験のある相談支援専門員9名へのインタビュー調査を実施した。インタビューは、被調査者である相談支援専門員に親と同居している時のエコマップと親元から自立している現在のエコマップを素材に半構造化インタビューを実施した。①自立支援の動機、②導入したサービスと手順、③自立生活支援の促進要因と阻害要因を明らかにし、親元からの自立生活支援の類型化と実践概念の生成を目指し、現在分析中である。 18か国で行われた世界保健機構(WHO)のコホート研究によると、統合失調症の陽性症状は加齢とともに軽快し、入院を必要としなくなることを示している。他方、わが国の精神科病床の多くは統合失調症の長期入院患者が占め、WHOの調査結果と真逆の状況を示している。研究実績の概要で記した親によるケアの内容と負担感に関する文献研究を行った。親は、統合失調症の子どものケアを担うことを自身の責務と考え、訪問系サービスの利用に抑制的である。本人へのケアの長期化は、親自身を疲弊させ、精神科病院への入院もやむを得ないとの判断に至る。その結果、中高年で入院する統合失調症者の入院は長期化することが示唆された。 研究業績の概要で記した文献研究「全身性障害、知的障害、薬物依存症の親元からの自立に関する実証研究の知見」と平成26年度から28年度の科学研究費補助金「世帯を分けて住むことを選択した精神障害者とその家族の意識変容プロセス」基盤(C)研究課題番号:26380860 研究代表 塩満卓)の研究成果を統合した図書『統合失調症ケアの脱家族化-本人・親双方の自律を支援するソーシャルワーク』の出版に向けて出版社と現在協議を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究については、以下の3点を予定している。 1点目は、2023年度に実施した相談支援専門員9名に対するインタビュー調査を分析し、中高年統合失調症者に対する親元からの自立生活支援の類型化と実践概念を生成し、論文化していく。 2点目は、単居統合失調症者のフェルトニーズを明らかにしていくための聴き取り調査を行う。親元からの自立支援は、同居の親が担っている本人へのケアを社会的ケアに移行していくことに他ならない。2023年度研究において、親によるケア内容をICIDH、ICF、IADLの生活障害の知見から演繹的に考究し、統合失調症者に必要とされるケアについて論究した。この研究の延長線上に統合失調症本人のフェルトニーズについて、聴き取り調査を実施する予定である。福祉現場の精神保健福祉士4名を研究協力者とし、概ね20名の単居の統合失調症者を調査対象として実施する。聴き取り調査のデータを分析し、単居統合失調症者が地域生活を継続していくために必要とするケアの内容について論究し、論文化を目指す。 3点目は、これまでの研究の知見を統合し、統合失調症が親元からの自立していくことを支援するソーシャルワーク、即ち「統合失調症ケアの脱家族化」の書籍を刊行する。
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