Project/Area Number |
23K01925
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大村 和正 立命館大学, 産業社会学部, 授業担当講師 (30571393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 敏昭 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (40736203)
居神 浩 神戸国際大学, 経済学部, 教授 (70289057)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 若年生活困難者 / ケイパビリティ / 就労支援 / 社会的包摂 / アクティブ・インクルージョン / 地域における連携 / 承認 / 変容 / 若者の社会的包摂 / 能動的な参加 / 若者の就労支援 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、強制的な就労促進を求めるワークフェア的な政策や当事者の自助努力を求めるだけでは支援が困難な若年生活困難層の就労や社会参加を可能にする、新しい社会的包摂のあり方やその課題を明らかすることを目的している。積極的な労働市場政策や所得補助、質の高い公共サービスの提供による生活困難層の就労と社会参加を促進しようとするアクティブ・インクルージョンと、当事者の自由な生き方の選択の幅を広げるケーパビリティの観点による、若年生活困難者の社会的包摂の試みを実践している、様々な支援機関の支援のあり方や多機関の連携の実態を、若年生活困窮者の実態とともに質的・量的に調査するものである
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Outline of Annual Research Achievements |
本科研はアマルティア・センのケイパビリティ概念を用いて、若年生活困難者の就労支援や社会的包摂のあり方を考察することを目的としている。調査対象としては各地の地域若者サポートステーションや若者支援を実践している民間団体、不登校の若者に教育を提供しているフリースクール、若年生活困窮者の就労や社会参加の受け入れ先である各地の事業所や企業、商店街のような地域社会を想定している。初年度、まず上記の調査に先立ち、数回の研究会(オンライン)を通じて、本科研の核心的概念であるセンのケイパビリティ概念の理解とその概念の若年生活困難者の就労支援や社会的包摂への適応等について、検討を重ねた。先行研究によると、センのケイパビリティ概念の適応は主として南アジア、西アジア、アフリカ等の途上国の経済支援に関するものが多い。社会政策の先行研究で、ワークフェア的な政策の限界とケイパビリティ概念の重要性を指摘するものはあるが、本科研の対象である若者の就労支援や社会的包摂政策にケイパビリティ概念を適用した実証研究はあまり見られない。このため数回の研究会で、数冊のセンの著作と邦語および英語のケイパビリティの概念に関する著作や論文を検討した。これらの研究会での報告や議論を通じて、セン等のケイパビリティ概念の理解を含めるとともに、ケイパビリティ概念を適応した若年生活困難者の就労支援や社会的包摂政策への調査方法について検討した。 今後の調査のため、地域において就労困難な若者の就労の受け入れ先の一つである兵庫県中小企業家同友会の委員会や、若年生活困難者の社会的包摂を考えるうえで有益な試みを実践している京都府の認定フリースクール「学びの森」の研究会に等に参加して、調査候補先との信頼関係の構築に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、研究課題の中心概念であるアマルティア・センのケイパビリティ概念の理解を深めることや、ケイパビリティ概念を若年生活困難者の就労支援や社会的包摂政策への調査への適応を検討するため、アマルティア・センの著作や関連する邦語文献や英語文献を取り上げた、数回の研究会(オンライン)を実施して、今後の調査を行なううえで前提となる概念や研究の枠組みの考察や検討を行なった。これら研究を進めていくうえで必要な概念や先行研究の理解や考察、このケイパビリティ概念の具体的な調査への適応の検討に力点をおいたため、本格的な調査までには踏み込まなかった。しかし今後の調査・研究のため、以下のことを試みている。 今後の調査を行なうため、障がい者等、就労困難な若者の就労に取り組んでいる兵庫県中小企業家同友会の定例の委員会への参加や若者の社会的包摂の試みとして、不登校の若者に教育やキャリア支援を提供している京都府の認定フリースクール「学びの森」の定例研究会に参加する等して、今後の調査のために調査対象となる団体との信頼関係の構築に努めた。 研究課題に必要な先行研究や概念等の検討や考察を深め、今後の調査のため、調査対象候補の関係者と交流を重ね、信頼構築に努めた。
順調に進捗しているが、この準備に力点をおいたため、初年度に調査の実施には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に数回の研究会で理解を深めたケイパビリティ概念を用いて、2024年以降、以下の調査に取り組む予定である。①ケイパビリティ概念を用いた就労困難な若年生活困難者を調査するケイパビリティ・アプローチの調査表を作成して、ネット上で若年生活困難者を対象にしたアンケート調査を実施する予定。 ②若年生活困難者への就労支援や社会的包摂の支援を実施している、大阪府、京都府、兵庫県等、関西地域を中心とする地域若者サポートステーション(以下、サポステ)やそれを運営している民間団体にインタビュー調査を実施する予定。これまでは就労支援に焦点を当て、サポステを中心に調査を実施してきたが、ケイパビリティ概念を踏まえて、若年生活困難者の社会的包摂のあり方を明らかにするため、サポステ以外の民間団体の様々な若年生活困難者への支援事業も調査したい。③この課題と関連して、若年生活困難者の社会的包摂を考えるうえで重要な、不登校の若者の教育やこれらの若者の社会参加を支援している京都府認定フリースクール「学びの森」の実践や地域での社会的包摂の取り組み事業も調査する予定。 ④本科研では、若年生活困難者への民間団体の支援事業の他、これら若年生活困難者の地域での受け入れ先である事業所・企業も調査したい。この観点から、京都府、大阪府、兵庫県の中小企業家同友会のソーシャル・インクルージョン委員会(京都)や障がい者委員会(大阪府や兵庫県)の取り組みも調査する予定。 ⑤コロナ禍等の事情で中断していた、イギリス等の海外調査も可能であれば検討したい。
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