Project/Area Number |
23K01980
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08030:Family and consumer sciences, and culture and living-related
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Research Institution | Niigata Agro-Food University |
Principal Investigator |
比良松 道一 新潟食料農業大学, 食料産業学科, 教授 (30264104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
錢 昆 九州大学, アジア・オセアニア研究教育機構, 准教授 (60736354)
須藤 竜之介 一般社団法人九州オープンユニバーシティ, 研究部, 研究員 (70967702)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | a / 炊事 / 共食 / 相互作用 / 互恵・返報性 / 食育 |
Outline of Research at the Start |
共食とは人間特有の食事方法である。初期人類集団は、仲間と採集した食材を共同 炊事して分かち合う共食の場を通じて仲間との絆を深めてきた。しかしながら、必ずしも炊事の必要性がなく、その機会が減少する現代の共食の場では、その場がかつて保持していた 「炊事+共食」の相乗効果による社会的機能が学術的に評価できていない。果たして現代社会においても、共食の場に炊事の実施者や経験者がいることは、炊事をしないものだけが集う以上に構成員の信頼・幸福感を高め、社会的結びつきを強めるのか。本研究は、現代の共食論で見落とされがちだったこの問いに答える。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、共食構成員における炊事者の有無、料理享受者の炊事経験の多寡が、返報性原理によって誘発されるポジティブな感情、利他行動や、その後の幸福感と社会的結びつきに影響すると仮定する「共食における互恵性の社会機能モデル」を心理学的に検証する。 本研究の問いの根幹となる、共食場面における炊事者の存在が同席者の返報的行動を促進するかどうかを検証することを目的として、学生21人を対象に、共食場面の物語を読ませ、その場面での行動をイメージさせて回答を得る場面想定法を用いた質問紙調査を行った。 物語の内容で、共食するメンバーのなかに提供された料理の炊事者が含まれるかを操作し、最後に取る料理の量を指標とした残食回避行動を返報的行動とみなし、その変化を分析した。 炊事者が含まれる場面は、「自分が作った自慢の料理」一品を持参して参加する教職とし、一方、炊事者が含まれない場面は、「自分がお勧めしたい生産者が作った食材が使われている市販料理」、「自分がお勧めしたい市販料理」、「ケータリング(宅配料理)」一品の3要因に分けた。さらに、最後に料理を取る際の満腹感を、「余裕もって食べられそう(空腹状態)」、「頑張らないと食べられそうにない(満腹状態)」の2要因に、取る料理のおいしさを、「おいしい」、「ふつう」、「おいしくない」の3要因に分け、計24場面における共食時の行動について全て回答させた。 残食回避行動は、料理のおいしさのみに有意に左右され、おいしい>ふつう>おいしくないの順に大きくなった。一方、自分やお勧めの生産者が関与した料理は、そうでない料理よりも残食回避行動が強くなり、満腹感が強い状態だとその傾向はさらに強くなった(有意差なし)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の職場異動による研究環境の大きな変化のため、場面想定法のための対象学生の参加者の確保、データ収集が十分でなく、より規模の大きいデータ収集の必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記分析結果を踏まえ、場面想定質問内容の妥当性を再検討する。必要ならば質問内容の改訂、回答者の年齢層の拡大を試み、理想的規模のデータを収集しなおして、返報的行動に対する炊事者の存在と炊事経験の多寡の相互作用効果を分析する。さらに、場面想定法で得られた知見は現実の共食場面でもみられるのかについて集団実験で検証する。研究1の参加者の中から炊事習慣の多い者とない者を選抜して実験参加者をリクルートし、その上で参加者を2条件に分け(炊事習慣あり集団条件/炊事経験なし集団条件)、各集団(4人)単位で実験を行う(参加人数は、2条件×5集団(20人)=計40人)。実験参加者は昼食に招かれ、用意した料理をふるまわれる。この際、1人の実験協力者が共食の場に加わるが、この協力者のプロフィールを実験条件(炊事者条件/非炊事者条件)として操作する。食事についてはすべての回で同じメニューを用意する。この共食場面における、発話内容(感謝の言葉、美味しさの表明、など)や料理の喫食・残食量などの行動指標から返報的行動を測定し、その頻度や量に対して炊事者の有無とメンバーの炊事経験の多寡が与える影響を分析する。
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