Project/Area Number |
23K01985
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08030:Family and consumer sciences, and culture and living-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
勝野 那嘉子 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20743892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 悟志 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00373233)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 澱粉老化 / 米ゲル / 糊化米添加 / 階層構造 / 米澱粉 / 澱粉階層構造 / 米粉ゲル物性 |
Outline of Research at the Start |
米加工食品は,小麦加工食品と異なり,物性維持に重要な骨格となるグルテンを含まないため,澱粉老化に伴う構造変化が著しく品質維持が難しい。先行研究では,米粉パンにおいて米粉の一部を粥で置換(糊化米添加法)すると物性や保存性が向上することを明らかにした。また,米飯において澱粉を酵素処理すると再結晶化だけでなく澱粉の階層構造が変化し,凝集が抑制されることを突き止めた。糊化米添加法のような物理的澱粉特性改変においても澱粉凝集挙動の関与が予想されるが,定量的に評価されていない。本研究では,糊化米添加法における品質改善機構を澱粉粒のまわりに着目し,物性や保存性改善に影響を与える構造変化を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
糊化米添加法により作製した米ゲルの澱粉老化抑制メカニズムの解明を目的とし,米ゲル保存時の構造変化をナノスケールからマイクロスケールまで階層横断的に解析した。 熱分析とX線回折から,糊化米を添加した米ゲルは,アミロペクチンの再結晶化の進行が遅延することを捉えた。しかし,糊化米添加による再結晶化抑制効果は,加水量によって異なり,加水量が米の2倍以上で効果を有するが,米と当量の加水量では逆に再結晶化が促進されることが明らかになった。 小角X線散乱分析から,糊化米添加法により作製した米ゲルは,糊化直後から澱粉の凝集体のサイズが小さく,老化後も,澱粉凝集体の成長が抑えられていた。 澱粉粒スケールでの構造変化を共焦点レーザー顕微鏡にて観察し,画像解析により澱粉粒子間距離を算出した。糊化前の生澱粉にあらかじめ糊化させた米粉澱粉ペーストを添加し,混合すると生澱粉粒は良好に分散し,糊化澱粉の添加量に伴って生澱粉粒の粒子間距離が増加した。さらに,糊化米添加法により米ゲルを作製すると,糊化および老化後もマイクロケールの構造が変化することが確認できた。あらかじめ糊化させた澱粉は澱粉粒子間に入り込むことで,糊化後も澱粉粒間の直接の接着を抑制し,あらかじめ添加した糊化澱粉を介して澱粉粒が接着していた。これらの結果から,糊化米添加法により作製した米ゲルはナノスケールからマイクロスケールに至るまで階層横断的に構造が変化し,老化を抑制していることが明らかになった。また,澱粉粒間の直接の接触を制御するためにアルギン酸ビーズゲルによる空間制御モデルの構築を試み,蛍光を有する物質をアルギン酸ビーズに内包し,アルギン酸ビーズにより蛍光物質の存在場所が制御ができることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究実施計画において,次の3つを予定していた。①未糊化澱粉粒の粒子間距離を糊化澱粉添加量で変え,澱粉粒子間距離と低温保存時の澱粉凝集挙動との関係を明らかにする。②米ゲルの微細構造変化(小角X線散乱測定(SAXS)など)と物性の関係を明らかにする。③澱粉以外の多糖系素材を用いて澱粉粒同士が接触しないモデルを作製する。 これら3つについて実験が行われ,その結果から,①糊化澱粉添加量の増加に伴い澱粉粒子間距離が増加し,糊化澱粉の添加は澱粉粒同士の直接の接触を抑制すること,②糊化澱粉の添加により米ゲル保存時の澱粉の凝集サイズが小さくなり,階層構造変化がゲルの粘弾性低下につながっていること,③アルギン酸ビーズを用いたゲル作製により,ゲルに内包した成分の空間制御が可能になることが明らかになり,本研究は順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は添加する糊化澱粉の種類(アミロース含量,糯または粳種,鎖長分布)を変え,糊化澱粉添加法により添加した糊化澱粉の特性が澱粉粒の老化挙動に与える影響を明らかにする。 また,前年度の結果から,水分含量の違いにより澱粉の老化が促進される場合と抑制される場合があることが明らかになったことから,糊化澱粉,生澱粉の吸水量の測定,水分活性測定,FTIRによる結合水の解析など水分に着目した実験を追加する。 澱粉内包モデルの実験では,昨年度と同じ製法で作製したアルギン酸ビーズ内に実際に澱粉を内包し,ゲルを作製する。内包によりゲル内に澱粉粒が均一に分散していることを顕微鏡観察と画像解析により確認する。糊化,老化する挙動がバルクの澱粉と異なるか熱分析やX線回折などの手法を用いて解析する。
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