Project/Area Number |
23K02030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08030:Family and consumer sciences, and culture and living-related
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
雨宮 敏子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (80750562)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | マイクロ波 / 消臭布 / 環境配慮 / 染色 / 銅 / 電子レンジ / エタンチオール / アンモニア / 染料 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,マイクロ波を用いることで調製過程の電力や水の使用量低減,時間短縮を実現する環境配慮型の消臭布を開発するとともに,さらなる高機能化を目指すものである. これまでの,銅塩と合成染料を用いた媒染染色による消臭布の調製過程において課題であった,大量の水や熱エネルギーの使用および廃液排出などの環境負荷問題を解決するために,調製時にマイクロ波を用いた内部加熱方式を採用する.環境に配慮した調製を行い,従来法による消臭機能との比較検討から,さらなる高機能化を図る.消臭布の高機能化と環境配慮との両立を行うことで,においストレスのない快適な生活の創造に貢献する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,マイクロ波を用いることで調製過程の消費電力や水の使用量の低減,時間短縮を実現する環境配慮型の消臭布を開発するとともに,さらなる高機能化を目指すものである.これは,従来行ってきた一般的な水浴による染色方法である浸染および金属塩処理を行う媒染の手法において課題であった,長時間の熱源使用や大量の水の使用,染料や金属塩を含む大量の廃液の発生を解決することを目的としている. 初年度である2023年度は,エタンチオールを悪臭モデル物質とし,まずは従来法にて直接染料と銅塩を用いた酸化分解型の消臭綿布と,カチオン染料で染色した吸着型の消臭羊毛布を調製した.次に新規の手法として,染色および媒染時における加熱方法を家庭用電子レンジに変更し,同様の消臭布を調製した.得られた試料布の含銅量は原子吸光法,染着量は紫外可視分光法にて決定した.消臭機能の評価は気体検知管法および炎光光度検出器を備えたガスクロマトグラフ法で行った.その結果,従来の外部加熱とは異なり内部加熱であるマイクロ波加熱においても,消臭布の調製および調製時間の短縮が可能であり,本法の有効性が示された.消臭機能についても,調製条件の詳細な検討の余地は残っているものの,少なくとも従来法による消臭布と同等かそれ以上の評価を得た. また,従来法と新規方法で調製した試料布について,染料や銅の担持状態や,熱源による繊維構造の変化などを解析するため,全反射測定法を用いた赤外分光スペクトルの測定に着手した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度として計画していた通り,従来の水浴による外部加熱を利用した調製法に加え,染色および媒染時の加熱方法を家庭用電子レンジ(500 Wまたは600 W)に変更した内部加熱による調製法において,エタンチオール酸化分解型の消臭綿布とエタンチオール吸着型の消臭羊毛布の調製を行うことができた.酸化分解型の消臭綿布については,染料を用いず銅塩のみの処理を行う場合,担持サイトの少なさにより銅量の増大が課題であるが,マイクロ波加熱による顕著な増大は見られなかった.しかしながら,調製時間の短縮は実現したため,一定の環境負荷低減は認められたと考えられる.従来法および電子レンジを用いた本法において得られた消臭布の機能性評価も,気体検知管法とガス的グラフ法を用い,予定通り行うことができた.これらの成果の一部について,日本家政学会,繊維学会,日本繊維製品消費科学会の各年次大会等にて報告した. 2023年度の配分経費についてはほぼ当初の予定通り,物品購入や学会への発表登録費や旅費等に全額充てることができ,研究を円滑に行うことができた.特に,高額備品として購入希望であった全反射型赤外分光光度計を予定通り購入させていただくことができ,一部の付属部品は別の公費にて賄ったものの,2023年度中に必要な物品一式が揃ったことで試料布表面の分析に着手できたことは,本研究の今後の遂行において非常に大きな意義をもつ. 以上より,おおむね順調な進捗状況であると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度は一般的な電子レンジの出力数である,500 Wおよび600 Wを用いて試料布を調製した.2024年度は,染色および媒染における調製浴の濃度や加熱時間のより詳細な検討を行うとともに,所有機種に付帯している150 Wと1000 Wにおいても消臭布の調製を行い,染着量や含銅量,消臭機能を調べることとする.さらに,全反射型赤外分光光度計(ATR-IR)を用い,調整した種々の試料布について,染料や銅の担持状態,繊維構造などの比較を行い,消臭機能との関係を検討する.ATR-IR法において使用するATR-プリズムには屈折率の相違により赤外光の潜り込み深さの異なるダイヤモンドとゲルマニウムの2種類を用い,試料布表面からの深さ方向の構造の違いについても解析を行う予定である. また,より詳細に調べるために,温度や出力を精密に制御可能なマイクロ波反応装置を用いて,マイクロ波以外の調製条件を従来の外部加熱の場合と同等にし,内部加熱であるマイクロ波による効果を抽出する.調製した消臭繊維の構造特性は,ATR-IRの他,現有機器である示差走査熱量計も用いて解析を行う.さらなる環境配慮の観点から,マイクロ波照射による生分解性への影響について,市販のコンポストを用いて確認を行う. 2024年度の研究成果の公表については,学会発表3件,報文投稿1件以上を予定している.配分経費については計画通り適切に過不足なく使用する.
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