Project/Area Number |
23K02036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08030:Family and consumer sciences, and culture and living-related
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
澤島 智明 佐賀大学, 教育学部, 教授 (40404115)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 住宅 / 断熱 / 居住者 / 活動性 / 室温 / 高断熱住宅 / 環境調節行為 / 温熱環境 |
Outline of Research at the Start |
日本の関東以西の「温暖地」には断熱が不十分な既存住宅が多く、暖冷房効率や快適性、健康性に問題があるだけでなく、住宅内の暑さ・寒さが居住者の日常生活の活動性を損ねている。一方、近年は温熱環境や断熱性能に対する居住者の理解や関心が高まり新築住宅ではゼロエネルギー住宅や寒冷地並みの超高断熱住宅が徐々に増えている。 本研究は温暖地の住宅の高断熱化がもたらす影響を「生活の活動性」の視点から評価する。ここでの「影響」とは暑さ・寒さの解消による生活の活動性向上といった肯定的側面だけでなく、高断熱住宅の特性が温暖地の生活習慣と矛盾して生じる新たな生活行動の制約の可能性という否定的側面を含む。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は温暖地の住宅の高断熱化がもたらす影響を「生活の活動性」の視点から評価する。 初年度である令和5年度は、次年度に予定しているWebアンケート調査の設問を検討するために、住宅の温熱環境と居住者の暖冷房・住まい方の実態調査を実施した。佐賀県に建つ住宅5件を対象に居住者へのインタビューと行動記録、暖冷房記録、室温実測等を組み合わせたフィールド調査を行った。調査対象は現行省エネルギー基準の外皮性能を満たす「高断熱住宅」が2件、低断熱住宅が3件であり、調査時期は2023年8月、11月、2024年1月である。また、省エネ基準等級6相当の「超高断熱住宅」を販売・施工する住宅会社3社に2024年2月にインタビュー調査を実施した。実態調査の結果からは、高断熱住宅居住者と低断熱住宅居住者の暖冷房状況、在室状況、生活行動内容等には量的に捉えられるような大きな差異は見られなかったが、インタビューにおいて以下の点が明らかになった。まず夏期調査において、冷房の使用状況に差異がない一方で、高断熱住宅居住者の方が通風に積極的であったことから、高断熱住宅居住者の方が冷房と通風を生活場面によって切り替えていると考えられた。また冬期調査において、高断熱住宅居住者の方が就寝以外の個室での滞在、廊下や水まわり空間への移動に対する抵抗感が少なかった。一方、前述したようにこれらを実際の行動の量的な差異として把握することはできなかった。以上より、Webアンケートにおける「生活の活動性」の評価においては実際の生活行動の把握のみならず、行動への抵抗感、意欲、負担感、忌避感といった意識面の把握が重要になることが示唆された。 今年度の分析結果は令和6年度に家政学会等で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は夏期と冬期の実態調査を計画通り実施し、令和6年度春期に予定していた中間期の調査を秋期に前倒しして実施するなど、計画よりも進んだ部分もある。一方、調査住戸の件数が予定より少なかったため、次年度には追加の実態調査を検討する必要がある。また本年度の調査結果から、次年度のWebアンケートにおける「生活の活動性」の評価においては実際の生活行動の把握のみならず、意識面の把握が重要になることが示唆された。このように追加調査の検討やアンケート設問項目の方針変更が必要となったが、総合的にはほぼ計画通り進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度はWebアンケートを実施すると同時に、令和5年度の実態調査のサンプル不足を補うための追加のフィールド調査を検討する。実態調査の分析を続け、事例に現われる特徴的、共通的傾向を把握して「生活の活動性」の評価指標を定めてWebアンケートの設問に反映させる。本年度の調査から「生活の活動性」の評価においては実際の生活行動のみならず、意識面の把握が重要になることが示唆されたことにより、設問項目の方針変更が必要となったため、8月の夏期アンケートではなく1月の冬期アンケートから開始し、夏期アンケートを令和7年度に実施することも視野に入れながら進める。 研究成果は家政学会、建築学会等で発表する予定である。
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