Project/Area Number |
23K02050
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08030:Family and consumer sciences, and culture and living-related
|
Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大江 猛 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主幹研究員 (10416315)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 由利香 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 総括研究員 (00416314)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
|
Keywords | ゼラチン / グルコース酸化物 / ゲル溶解温度 / 架橋反応 / メイラード反応 / フェントン反応 / 糖質 |
Outline of Research at the Start |
日本における社会の成熟と共に、健常者はもちろん、高齢者、乳幼児、疾病患者、障害者などの社会的弱者にも配慮した製品開発が求められるようになっている。ゼラチンや寒天を利用したゲル材料は、咀嚼力の弱い高齢者に向けた食品の主力となっており、ゼリーなどの従来の製菓だけでなく、食用ゼリーとして肉、魚、野菜などを含んだ加工食品に利用されている。柔らかい食感のゼラチンゲルは耐熱性が低く加熱調理には不向きで、一方、耐熱性のある寒天ゲルは食感が硬く、摂取者にはある程度の咀嚼力が求められる。本研究では、糖質によるタンパク質の架橋反応を利用することによって、柔らかい食感と耐熱性を両立できる新規ゲル材料を開発する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
ゼラチンや寒天を利用したゲル材料は、咀嚼力の弱い高齢者に向けた食品の主力となっている。柔らかい食感のゼラチンは耐熱性が低く、一方、耐熱性のある寒天は食感が硬く、摂取者にはある程度の咀嚼力が求められる。そこで、本研究では、糖質酸化物による架橋反応を利用して、柔らかさと耐熱性を両立できるゼラチンゲルの開発に取り組む。以前の研究においてタンパク質の着色剤としてグルコースの酸化物を用いており、低温条件で牛革を着色する際に架橋反応が原因と類推される機械強度の増加が確認された。そこで、本年度では牛革の機械強度が増加した反応条件を参考にして、ゼラチンとグルコース酸化物との反応によるゲル溶解温度の影響について詳細に調べた。はじめに、反応溶液のpH値の影響について調べたところ、ゼラチン水溶液中にグルコース酸化物が存在すると酸性条件ではゲル溶解温度の低下し、反対にアルカリ性条件では溶解温度の増加が認められた。おそらく、酸性条件では、ゼラチンタンパク間の水素結合に必要なアミノ基がグルコース酸化物との反応によって減少し、その結果、ゲルを維持するためのゼラチン間の水素結合の数が大きく減少したと考えられる。アルカリ性条件では、酸性条件と同様にタンパク質のアミノ基が反応によって減少する一方で、塩基でフリーとなったゼラチンのアミノ基がメラノイジン色素と多点で反応することによって、結果として共有結合を介した架橋反応が進行したと類推される。さらなるゲル溶解温度の増加を期待して、水溶液中のゼラチン濃度の影響についても調べたところ、高濃度のゼラチンを利用することによって100℃を超える溶解温度を示すゼラチンゲルの開発に成功した。以上の結果から今年度に計画した概ね達成できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標として、グルコース酸化物によってゼラチンが架橋される反応条件の検討を挙げており、従来のゼラチンよりも大幅にゲル溶解温度が上昇できることを確認できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の目標であるゼラチンゲルの耐熱性を向上させることに成功した。そこで、次年度以降では得られた耐熱性ゲルの強度を調べることによって、研究の目的である「柔らかさと耐熱性を両立できるゼラチンゲルの開発」に取り組む。さらに、研究の目標が早期に達成された場合、ゼラチンの架橋反応には、試薬ベースの鉄触媒や水酸化ナトリウムを利用しているため、食品や食品添加物を代替とした架橋反応についても検証する。
|