Project/Area Number |
23K02065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
牛尾 直行 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (10302358)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | インドの公教育計画 / 義務教育 / 基礎教育 / 量的拡大 / 質的改善 / インド / 公教育計画 / NPE2020 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、独立後インドの公教育計画の変遷を詳細に分析することにより、現代インドが目指している公教育の就学率向上、前期中等教育までの義務教育化という量的な拡大と、初等教育から高等教育に至るまでの教育の質向上という、「量と質の保障」がいかに公教育計画の中で実現されようとしているかを分析・考察するものである。 そのために、独立以後のインド全体に関わる公教育計画・政策を分析するとともに、教育先進州と言われるケーララ州の公教育についても女性やダリットなどの十全には教育機会を享受してこなかったグループに着目して政策と実態の両側面から研究を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度の本科研研究を開始するにあたり、主要には以下の3点について進めた。 1.インドの独立後公教育政策を俯瞰しながら全体の概要を確認:あらためて独立前後からのインドの公教育政策全体を確認した。本研究の対象年代は独立後であるが、その形成に大きく影響を与えている独立前後の公教育政策提言としてSargent Report(1944)から、University Education Commission(1948-49)といった独立直後の重要な委員会報告、さらには1964-66年の教育審議会報告、それに基づく1970年前後までの様々な審議会報告・政策、1986年のNational Policy on Education、1990年代前後からの様々な基礎教育普及の公教育計画、2000年前後の義務教育や識字教育に関する動向、2001年の21条A(教育を受ける権利)成立と2009年のRTE法の成立、2010年代に入ってからの様々な基礎教育確保政策、直近では2020NEPまで、概要ではあるが、独立後の公教育計画の流れを整理した。 2.RTE法の成立経緯に関する研究:2009年のRTE法成立前後の政治的・社会的経緯に関する研究を行い、RTE法成立直前の2000年前後には多くの基礎教育・初等教育に関する公教育政策提言がなされていたことを明らかにした。さらに、それらの公教育計画の焦点の一つに、マイノリティ(SEDGs)の教育機会保障があることが分かってきた。 3.2023年夏に現地調査を実施:2023年8月に約2週間、インド・デリーのNCERTで独立後の公教育計画に関して調査・研究を実施した。その研究から、近年の公教育計画を1990年代までの社会的弱者への教育保障の時代、2000年代に入ってからの量的拡大の時代、NEP2020に代表される質改善の時代に大きく区分をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研研究はおおむね順調に進捗している。新型コロナウイルスの世界的な流行の終息に伴い、2023年度は現地教育調査も実施できた。また、現地調査を実施したことで、デリーNCERTのDEGSN研究室に複数の研究協力者ができたり、タミル・ナドゥ州やケーララ州にも大学教員や教育行政官の複数の協力者ができたことも大きい。 また、現地教育調査の際には、日本では入手できない多くの英文文献を入手できた。NCERTの図書館では貴重な古い文献をコピーしたり、書店で最新の書籍を購入することができた。 しかし反省点としては、昨年度は論文発表や学会発表などの研究成果の公表がほとんどできなかったことである。2024年度はより積極的に論文作成・公刊に注力していかなくてはいけないと考えている。まずは学部紀要などに研究ノート的な研究経過の報告的な考察・資料を発表していくことから2024年度は研究成果を形にしていくことを目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の本研究課題の進展により、独立後のインド公教育計画の概要と、昨今のその焦点の一つは基礎教育・義務教育にあることが分かってきた。そこで今年度は以下の4点に着目して本研究課題に関する考察を多面的に深めることに注力していく。 1.NEP2020の分析:National Policy on Education2020はまさに現代インドの公教育に関する最も重要な文書であり、現在のモディ政権が推し進める教育改革を象徴するものである。その第1部は学校教育について8章が割かれており、興味深い。まずはこの文書をこれまでの様々な公教育計画と比較・関連させながら読み解いていく。 2.教育に関する訴訟事例の分析:インドの公教育の変遷をより精緻に読み解いていくために、様々な子ども・教育・知識などに関する訴訟事例を分析していく必要がある。様々な判決などがインドの公教育の方向を左右している。訴訟事例の分析は難解だが、これまでに収集してきた法律関係文書などにより、インド公教育計画の結節点を見出したい。 3.インド現地教育調査:現地教育・政策研究者や学校関係者・教育行政関係者への聞き取り調査を精力的に実施したい。マイノリティの教育保障・補償を軸としてインドの公教育計画を整理することの是非、さらにSSAなどの公教育計画との関係、実際の施行などを調査する。その際には、常に中央の政策とは一定の距離を保っている南部2州(ケーララ州,タミル・ナドゥ州)の現地調査も実施し、インド全体の公教育計画に対する批判や反証なども確認しながら進めていくことが重要である。
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