Project/Area Number |
23K02134
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
船越 勝 和歌山大学, 教育学部, 教授 (60199411)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | 地域に根ざす教育実践 / 学校ー地域連携 / 教師像 / 地域に根ざす教師 |
Outline of Research at the Start |
今日の学校教育の課題であり、学校改革の焦点的テーマの一つになっている学校と地域の連携と協働を担える教師の力量や資質・能力を究明するために、本研究では、戦後に綿々と積み上げられてきた「地域に根ざす教育」の成果と、そうした実践を担って来た「地域に根ざす教師」像を明らかにし、そのモデルを開発することである。 この研究は、授業や教育実践は教育実践研究や教育方法学研究、教師の静態的研究は歴史研究や教育経営学研究というように、従来の教育学研究が実践研究と教師研究に分離されてきた弱点を、教師のライフヒストリー研究という視点を付け加えることによって、これらを統合した総合的アプローチを行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
CSに代表されるような学校・地域連携が担える教師を育てることを可能にする教師教育論の構築を目的として、そのために必要な知見の宝庫である、戦後の「地域に根ざす教師」の誕生と発展というテーマに迫るために、戦後、地域に根ざす教育実践で注目されてきた地域に着目し、そこでの地域資料の収集とインタビュー調査を集中的に行った。令和5年度は、まず第一に、戦前の北方性教育運動の伝統のある北海道・東北地方の調査を重点的に行った。具体的には、北海道では、函館における北方教育資料館と北海道教育大学函館校附属図書館、青森県では、弘前大学附属中央図書館と青森県国民教育研究所、秋田県では、秋田大学附属中央図書館、及び北方教育資料コーナー、宮城県では、東北大学附属中央図書館と宮城県教育文化研究センターにおいて、戦後の地域に根ざす教育実践の展開等の資料調査と収集、戦前の北方性教育運動との関係を示す資料の発掘、具体的な教育実践や教育運動の担い手に関する聴き取り調査などを行った。 第二に、北方性教育とこれまでの先行研究で対比される南方性教育の地域に根ざす教育実践として、兵庫県の但馬地域における東井義雄の戦後の教育実践の展開を、東井義雄記念館で収集されている資料調査と関係者の集まりである「白もくれんの会」の会員から聴き取り調査を行った。また、同じく南方性教育の典型的な地域に根ざす教育実践として、和歌山県の紀南地域における紀南作文教育研究会の「紀南教育」についても、これまでの研究蓄積を踏まえた追加調査を行い、聴き取りも行った。 また、日本教育方法学会や日本生活指導学会などの学会大会にも参加し、関連する発表などの資料の収集、及び研究の交流を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、初年度であったが、戦前の北方性教育運動の伝統が土台となり、戦後の地域に根ざす教育実践・教育運動を展開し、さらには、学校ー地域連携を担える教師像を輩出して来た北海道・東北地方については、北海道、青森県、秋田県、宮城県の資料調査によって、資料収集とともに、資料の保存状況や聴き取り対象者の全体像をかなり明確にすることができた。また、南方性教育の特質を持っている近畿地方については、兵庫県の但馬地方の東井義雄の実践、及び和歌山県の紀南地方の紀南作文教育研究会の「紀南教育」の実践について、資料収集と聴き取り調査をかなり進めることができた。以上のことから、当初目的にしていた地域資料やインタビュー調査などの資料調査を優先的に進めるという計画を確実に達成することができたと評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、まず令和6年度は、第一に、東北地方で調査に出かけることができていない山形県では真壁仁と剣持清一、及び両者が活躍した山形県国民教育研究所、山形県児童文化研究会、国分一太郎と日本作文の会などの資料調査と聴き取り調査を進めたい。同様に福島県と、令和5年度に訪問した秋田県と宮城県についても、資料調査と聴き取り調査の続きを実施する。第二に、新潟県の上越地方における地域に根ざす教育実践についての資料調査と聴き取り調査を行う。その際、上越教師の会の取り組みを中心にしつつ、その実践が今日の行政が中心に策定している「上越カリキュラム」にどう結実しているかの検討も行う。第三に、兵庫県の但馬地方とつながっている京都府の奥丹後地方の地域に根ざす教育実践と教育運動の資料調査と聴き取り調査を行いたい。令和7年度は、全体のまとめを行っていく予定である。
|