Project/Area Number |
23K02163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
武 小燕 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 研究員 (00634578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂山 幸雄 愛知大学, 現代中国学部, 教授 (00236043)
山田 美香 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (90331610)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 歴史教育 / 歴史認識 / 愛国心 / 国民統合 / 道徳教育 / 習近平政権 / 中国 / 中国現代思想 / 教育改革 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、習近平時代に図られる国民統合の在り方及び、国家が要請しようとする歴史認識と実際に人々がもっている歴史認識がいかなるものかを、習近平政権下の教育改革に関する考察を通して明らかにしようとする。近現代中国は長らく戦乱や貧困に陥ったが、21世紀以降経済大国に成長し、ソフトパワーを重視し始めた。この時期に強国路線を打ち出した習近平政権ではいかなる国家像と社会的課題を抱え、それらに教育改革を通してどう対応しようとしているか、また、人々はこの教育改革をどう捉えているかを、少数民族地域と香港の状況を含めて考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は最新版の課程方案と歴史科課程基準(日本の学習指導要領に相当する)を通して習近平政権下の教育改革の特徴を分析したほか、先行研究等を通して今日の教育改革における国際的学力観・能力観の影響、異なる世代が持つ歴史認識の相違とその影響要素を検討した。 今日の歴史教育では唯物史観を強調する一方、批判的思考力や分析力を重視し、「唯物史観」「時空の観念」「史料実証」「歴史的解釈」「郷土愛・祖国愛」の5点を「核心的素養」として求めている。他方、人々の歴史認識は学校教育だけでなく、かつての政治運動、グローバル化と情報化社会の進展、時代劇を始めとする歴史をまつわる様々な言説から影響を受け、世代間の違いが見られる。そのため、複数のペクトルを持ち合わせた教育政策は実際にどう理解されどう実践されるかを知るにはフィールドワークが必要であった。 初年度のフィールドワークの訪問先は南京と上海であった。現地の高校で歴史科の授業を参観し、担当教員等と交流を行ったことで、「核心的素養」に対する現場の認識と実践について理解を深めた。南京市の学校の授業で行われている平和教育の取組みに特に興味深かった。また、日中の高校生を対象に企画したオンラインの歴史授業交流活動において、歴史教育に対する両国の教員と生徒たちの向き合い方、取り組み方の異同を確認し、考察ができた。 なお、人々の歴史認識に影響を及ぶ言論の現状について、研究分担者は改革開放後の中国現代思想の諸潮流を振り返った上に、習近平政権以降、「知識界の民族主義思潮」、「国家主義思潮」、「儒教ブームを代表とする保守主義」「多くの左派」が「党・国家と合流した」という中国知識人の指摘に注目しながら、「体制の側もこれら各種の諸思潮にすり寄ったということになるのではないか」と指摘し、検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した文献調査とフィールドワークを通して中国の歴史教育の現状を考察することができた。文献調査の量はやや不足であったが、フィールドワークでは予定した上海市のほかに、南京市の調査を加えたことが有意義であった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は初年度に行ったフィールドワークの考察結果をまとめて学会発表や論文化をして社会に発信する予定である。また、香港等でのフィールドワークを行い、調査先の歴史教育の現状と課題を考察する。文献調査について引き続きデータベース等を通して中国の教育政策、社会背景、世論及び中国現代思想に関する言説を収集し分析するほか、フィールドワークで教科書、参考書、研究書籍等の資料を集めて検討する。
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