承認と熟議を核とした授業コミュニケーションのエスノメソドロジー・会話分析的研究
Project/Area Number |
23K02194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09020:Sociology of education-related
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
森 一平 帝京大学, 教育学部, 准教授 (90600867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 健介 帝京大学, 教育学部, 教授 (00582909)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 承認 / 熟議 / 詩の共同推敲 / どの子も発言したくなる授業 / 授業研究 / エスノメソドロジー・会話分析 |
Outline of Research at the Start |
本研究は「承認と熟議を核とした授業は,いかなる相互行為技法により成りたつのか」という問いを解くことを通して学校における授業コミュニケーションの変革を提案し,「分断」「排除」「承認欠乏」という重大な社会問題に対し有望な改善策となりうる「承認」と「熟議」のコミュニケーション形式を社会生活に普及させることをねらうものである. この目的を果たすために本研究は小学校の現職教員を研究協力者として迎え,関連文献の検討による授業方針の共有およびその方針に基づく授業づくり(2024年度),創案した授業の実践と記録(2025年度),授業記録の分析と成果公表(2026)という計画で進行する.
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Outline of Annual Research Achievements |
研究のキックオフ年度となる2023年度には,研究協力者の小学校教諭らと定期的に打ち合わせを重ねるなかで,「承認と熟議を核とした授業」の方針をすり合わせ,その方針のもとでの具体的な実践を教諭らに創案・実施してもらうとともに,その映像記録を打ち合わせにおいて共同で検討する,という取り組みを繰り返してきた. その過程で私たちは,研究協力者のうち1名の実施した「詩の共同推敲」実践に着目し,そこにおいて「熟議」と「承認」が相互構成的に実現していることを確認,その相互構成がいかに組織されているかを解明した.すなわち第1に,ある児童が現状に対する思いを書きつづった詩に対する書き手自身の解釈が,学級全体での共同検討における理由に基づけられた解釈の連鎖=「熟議」のなかで次第に「ズレ」ていくことにより,書き手の現在のありようをありのまま「承認」することにつながっていた.第2に,その学級全体での熟議=承認の実践は,事前に執り行われた“班”での熟議に下支えされるかたちで組織されていた.この研究成果は日本教育実践学会第26回大会(於上越教育大学)において,「熟議と承認の実践としての詩の共同推敲」という表題のもと公表されている. また2023年度には他にも,「承認」に関わる研究成果として元公立小学校教諭の今泉博氏の授業実践を対象に,あらゆる児童の発言から知的貢献を引き出す巧みな評価技法を明らかにした「『どの子も発言したくなる授業』を支える評価の技法:「貝」を教材とした小学校国語科授業の会話分析的検討を通して」『教育方法学研究49』という論文を発表し,その内容を一部に盛り込んだ森一平(2024)「『子どもたちの主体的な発言を引きだす』技法の展開:対象選択の問題に焦点化して」(エスノメソドロジー・会話分析研究会2023年度春の研究例会)という口頭発表も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画当初,2023年度には,「承認と熟議を核とした授業」をめぐる方針のすり合わせ,及びその方針にもとづく授業実践の創案・実施と記録,共同検討までを予定しており,授業実践の分析的解明(当初,2024年度を予定)や研究成果の公表(当初,2025年度を予定)は計画に織り込んでいなかったが,幸いにも研究成果の一部公表にまで至ることができた.以上が「当初の計画以上に進展している」と判断した理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には次の活動を計画している.第1に,上記「詩の共同推敲」実践についての分析成果を論文化すること.第2に,もう1名の研究協力者が日本教育実践学会第26回大会への参加をきっかけに創案した「対話の練習」と題する実践を主たる対象とし,その定期的な実施と記録を積み重ねてもらうとともに共同での検討を繰り返し,当該実践の相互行為組織や経時的な変化,その変化に相ともなう子どもたち自身とその関係性の変化等を記述的に解明していくこと.以上を予定している.
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)