Project/Area Number |
23K02205
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09020:Sociology of education-related
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
金子 真理子 東京学芸大学, 先端教育人材育成推進機構, 教授 (70334464)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三石 初雄 東京学芸大学, 先端教育人材育成推進機構, 名誉教授 (10157547)
坂井 俊樹 開智国際大学, 教育学部, 教授 (10186992)
山崎 準二 学習院大学, 文学部, 教授 (50144051)
原子 栄一郎 東京学芸大学, 現職教員支援センター機構, 教授 (70272630)
高井良 健一 東京経済大学, 全学共通教育センター, 教授 (50297339)
小林 晋平 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70513901)
早坂 めぐみ 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (70821677)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2027: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | 大学における教員養成 / カリキュラム / 師範学校 / 東京学芸大学 / 戦後 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、戦後草創期の東京学芸大学を事例に、「大学における教員養成」がどのように具現化されようとしたのかを、カリキュラムをめぐる当時の人びとの思いや行動に焦点をあてて明らかにすることである。師範学校から大学へと生まれ変わることになった東京学芸大学は、「大学における教員養成」における教育的知識とは何か、どうあるべきかを議論し、初期のカリキュラムを構築した。学生はこれをどう受け止め、行動したのか。①「大学における教員養成」の制度化過程、②初期の教員養成カリキュラムの構築過程、③カリキュラムをめぐる学生の意識と行動、という3つのフェイズにおけるカリキュラムをめぐる人びとの経験を分析していく。
|
Outline of Annual Research Achievements |
教員養成大学・学部の組織やカリキュラムは、国の教員養成政策の動きによって方向づけられ、時に翻弄されてきた(土屋基規2017『戦後日本教員養成の歴史的研究』)。岩田は、現在に至るまでの「大学における教員養成」の展開過程を、教員養成に関わる諸アクターの力関係=布置関係に着目して整理した上で、大学が中央政府の繰り出す政策や地方政府の行政施策に対して従属的な位置へと置かれていった経緯を明らかにし、そのような布置関係の「歪み」が教師となる者の資質形成や教職の魅力向上に、負の影響をもたらす可能性を示唆している(岩田康之2022『「大学における教員養成」の日本的構造』)。 本研究は、以上のような布置関係がそもそもの理念に反して生じた「出発点」に目を向ける。布置関係の「歪み」が生まれる種はどこに蒔かれていて、いつどうして芽吹くに至ったのか。本研究が明らかにするのは、①「大学における教員養成」の制度化過程、②初期の教員養成カリキュラムの構築過程、③カリキュラムをめぐる学生の意識と行動、という3つの局面の内実である。 本年度は、主に戦後教員養成の出発点の問題を検討した。先行研究によれば、第一に、教育刷新委員会では新しい教員養成の「理念論議」が激しく闘わされ、ゆえにややあいまいなまま(妥協的に)建議されたこと、第二に、その後の制度化過程において、戦前期師範教育の批判の上に立つ「新しい理念」はさらにぼんやりしたものに薄められていったこと、そして第三に、その新しい制度の実際の運営過程で当初はにらみを利かしていたはずの理念が次第に「棚上げ」されてしまったと指摘されている(陣内靖彦1988『日本の教員社会』)。一方で、曖昧に降りてきた理念は、師範学校から大学へと生まれ変わることになった教員養成大学の現場に、理念をめぐる議論の余地とそれゆえのカリキュラム編成における主体性を保障した可能性を見いだした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、先行研究の考察を資料に基づき検証する作業を進めた。本研究における草創期とは、1949年5月31日国立学校設置法により、東京学芸大学が設置されて以降、旧師範学校の所在地が分校として併存した状態を終え、現在の小金井地区に統合された 1964年4月1日までの15年間である。当時の東京学芸大学は「タコの足大学」と呼ばれ、そこには 旧師範の寄り合い所帯の様相が色濃く残存していた(陣内靖彦 1999「序章 時代と社会背景」東京学芸大学創立五十周年記念誌編集委員会『東京学芸大学五十年史 通史編』)。この時期を対象とした教員養成史研究は、主に制度史や組織史を中心に蓄積されている。 それに較べれば、教職員やとりわけ学生の主観に迫る研究は少ない。当時の学生の意識と行動については、全教ゼミ(全国教育系学生ゼミナール)等の自主的な学びが、時に大学と対立し、時に大学教員に支持されながら、全国の教育系学生らの手によって展開された記録に基づく研究が貴重である(伊ヶ崎暁生・山崎真秀・土屋基規 1969『教育系学生の思想と行動』上・下)。しかし、教職員と学生の意識のズレやそれによって引き起こされるカリキュラムをめぐる論争の背景と帰結について、歴史社会学的に検討した研究は管見の限り見当たらない。 本年度は、先行研究の検討を進めるとともに、私たちが以前実施したインタビューデータを再分析する作業を進めたが、新たなインタビューは1名にとどまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、草創期の東京学芸大学を事例に、「大学における教員養成」における教育的知識とは何か、どうあるべきかを議論し、初期のカリキュラムを構築したプロセスを明らかにする。初代東京学芸大学長、木下一雄は、それ以前の1946年より東京第一師範学校長の任にあったと同時に、戦後教育改革の方向性を審議した教育刷新委員会の委員として、師範学校に対する厳しい批判にさらされながら、当委員会の議論の流れを「当初の師範教育批判、教員養成を目的とする学校それ自体の否定から、新しい姿に生まれ変わるであろう教員養成大学、学部現場の主体的な改革の努力に未来を託すという方向」(陣内靖彦1988『日本の教員社会』)へと変えた立役者の一人だった。そこでの政策論議は、現場の実態にどう接続され、教職員間で議論され、カリキュラムの創造に生かされたのか。次年度以降、『東京学芸大学カリキュラム』(東京学芸大学1952,東京学芸大学1955)をはじめとする一連の歴史資料をもとに明らかにする。 また、学生の疑問や抵抗を、「未来のカリキュラム」(M.F.D.ヤング)をめぐる人びとの論争として捉え、彼らが教員養成に投げかけた問いを考察する。主に用いる史料・データは、草創期の東京学芸大学の卒業生へのインタビューデータ、当時大学が行った学生調査の結果、学生新聞の記述等である。さらに、全国の教育系学生が集った「全教ゼミ」に関する文献や記録を参照する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(12 results)