Project/Area Number |
23K02251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09030:Childhood and nursery/pre-school education-related
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Research Institution | Osaka International College |
Principal Investigator |
久保田 健一郎 大阪国際大学短期大学部, その他部局等, 教授 (60379229)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 子育て支援 / 少子化対策 / 福祉国家 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、子育て支援という概念を構成する力を明らかにしていくことを目的とするものである。この概念が成立したのは1990年前後あるが、それ以前も現代であれば子育て支援に該当するような政策の束は存在していた。故に、何故その概念が成立したかという問いと同時に、何故それまでその概念が成立していなかったという問いも重要となる。子育てに関する言説は、近代家族の萌芽が見え始めた1890年前後から始まるが、本研究は主に戦後を対象とし、1960年代のその概念が成立しなかった時期、1990年代のその概念成立の時期、2000年以降に変容していく時期を考察していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、本研究計画のうち、基礎的な理論研究と、1990年代の子育て支援概念に関する研究を行った。 基礎的な理論研究としては、とりわけ福祉国家を中心に研究を行った。子育て支援という概念は、子育てが困難な社会になることによって構成されたという見立てで研究に着手し、この困難さの原因として、1980年代において、女性の労働力化を進めると同時に、1970年代末に出された日本型福祉社会に拘泥したことが挙げられる。すなわち、女性の被扶養者化と労働力化を同時に進めたことで、子育てなどのケア労働が困難な状況に陥ったということである。これは20世紀において資本主義を補完してきた福祉国家の継続を矛盾した政策によって試みたということである。こうしたことから、この福祉国家に関する理論研究を行い、日本におけるポスト産業社会への対応の問題点を明らかにした。 1990年代の子育て支援概念の研究としては、その時代における概念の誕生と変遷についての研究を行った。とりわけ、1990年頃の子育て支援誕生期と、1994年のエンゼルプランから1999年の新エンゼルプランに至る流れを中心に研究した。まず、子育て支援は、平成元年版の厚生白書で現れた概念であるが、前述の子育ての困難さによって構成されたことを明らかにした。次に、その概念は、1994年のエンゼルプランでは、共働き家庭向けの保育サービスを中心に構成されるが、同時に当初より多様な要素が潜在していたことも示した。その後、様々な政策文書を経て、1999年の新エンゼルプランでは、保育サービスに限らず、幅広い意味での子育て支援を意味するようになった。この変遷は、1990年代前半は1980年代の政策の継続により共働き支援として構成されたが、その政策には限界があることから、幅広い支援として構成せざるを得なかったことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、当初予定していた通り、基礎的な理論研究と1990年代の子育て支援概念に関する研究を行った。1990年代に関する研究はすでに成果発表できる状態にあることから、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2000年以降の子育て支援概念の変遷の研究を中心とする。 2000年代の概念の変遷の研究としては、この時期の子育て支援に関する政策文書として、前半は少子化社会対策基本法、次世代育成支援対策推進法、子ども・子育て応援プランなど、後半は子ども・子育てビジョンに至る一連の政策文書について研究を行う。前半は、子育て支援概念が潜在化し、少子化対策が前面に出るようになった時期であるが、そこでは1990年代で垣間見えていた、その概念の時間的空間的拡張がより先鋭化し、これから子どもを産むとされる若者や子どもまでがその対象となっていく時期と考えられる。2000年代後半は、再び子育て支援概念が前面に出るようになるが、子ども・子育てビジョンでは、「少子化対策から子育て支援へ」への転換が生じ、子育て支援概念そのものの人口政策としての側面が強くなっていく時期と考えられる。まずはこれらの時期の概念の構成を詳細に検討していく。 その後は、2010年代の研究も行い、人口政策の側面が色濃くなった後の子育て支援概念の変化と、子ども・子育て支援新制度に向かう流れについて研究していく。
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