Project/Area Number |
23K02356
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
坂本 篤史 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (30632137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 知剛 岡山大学, 教師教育開発センター, 准教授 (10613101)
一柳 智紀 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (30612874)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 教育実習指導 / 中学校教師 / 実習指導教員 / 教師の語り / 教育実習 / 教師の学習 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、小中学校の教育実習において、教育実習指導(以下、実習指導)を通した実習指導教員(以下、指導教員)の学びについて一般性のある知見を得ることで、学校現場と実習生双方に互恵的な教育実習のあり方の提案を目的とする。本研究は特に中学校教員へのインタビュー調査により質問紙項目を改善したうえで、大規模調査を行うことで実習指導を通した指導教の学びについて一般性のある知見の導出を行う。その結果を踏まえ、学校現場におけるポジティブな影響としての指導教員の学びを促す教育実習のあり方の具体的提案を作成し、インターネット等を用いて一般に公開する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は,中学校における教育実習指導(以下,実習指導)に対する実習指導教員(以下,指導教員)の認識を,指導教員の声から具体的に明らかにすることを目的に,中学校で教育実習指導の経験がある現職教員へのインタビュー調査を行った。三島・一柳・坂本(2021)の知見から,小中学校での実習指導経験のある教員への質問紙調査から,小学校に比べて中学校教員の負担感が高く,学びや力量形成の認識が低いことが明らかになっている。したがって,中学校教員の教育実習指導に関する声から具体的に検討する必要がある。 三島・一柳・坂本(2021)の結果をもとに中学校の制度的背景を踏まえたインタビューの設問項目を作成した。設問項目は,実習指導全体の印象と共に,負担感や良かったこと,実習指導の考え方や方法,実習生との協働,自実践の説明による省察,複数クラスでの授業の指導による学びなどを,想起しやすいように印象に残っている実習生を中心に尋ねた。 福島大学での倫理審査を経て,岡山・新潟・福島の各地で約30分から1時間程度のインタビューデータが合計9名分得られた。得られたインタビューデータは,全て文字起こしを行った。 初期的な分析として,3名分のデータについてオープンコーディングを行い,先行研究を踏まえて,負担感や実習生との協働,実践の説明による省察,複数クラスでの授業の指導による学びに関して比較検討を行った。その分析結果は,日本教師学学会第25回大会にて口頭発表を行った。 その結果から,中学校においては,教科での指導と,学級での受け入れで担当が分かれており,それによる負担感の相違があること,負担感に影響があると考えられる実習生の教員志望に関しては,小学校に比して中学校は免許状取得者に対する教員採用試験受験者の比率が著しく低いという社会制度的な影響が考えられることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
年度当初の計画では,岡山・新潟・福島の中学校教員8名分のデータを取得予定であったが,計画より1名多い9名分のインタビューデータを年度内に収集できた。データ収集の過程で,小学校と中学校では実習指導の体制が大きく異なることが明らかになり,したがって,計画よりさらに多いデータ収集が求められ,追加で1名分のデータが得られたことは前進と言える。なお,その前提として,インタビュー調査について福島大学での倫理審査による承認を得ることができたことも,データ分析結果を発表していくうえで有益であった。 中学校教員のインタビューデータを3名分分析し,全国学会で初期成果を発表し,今後のデータ分析に関わる様々なフィードバックを受けることができた。 小学校教員と比べると制度的背景をもとにした大きな違いとして,実習生の受け入れ体制に教科指導と学級での受け入れがある点などを踏まえ,令和6年度に実施する質問紙調査の再設計に着手した。 さらに,質問紙調査に生かすだけではなく,中学校教員9名分のデータを分析することで論文化する方向性を検討中である。初期成果を発表した日本教師学学会や,教師教育学会等への投稿を検討している。 したがって,年度当初の計画より前進したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り,令和6年度は前年度に収集した中学校教員へのインタビュー調査に基づいて,三島・一柳・坂本(2020,2021)で用いた質問紙のリバイスを行う予定である。中学校教員は小学校よりも実習指導に多様な関わり方が考えられるため,その点を踏まえた質問項目の設定,分析が求められる。それにより質問項目が増えるため,既存の質問紙について因子分析結果を踏まえて,尺度項目の絞り込みを行う。なお,質問紙調査について,福島大学での倫理審査の承認を得る予定である。 本研究では,実習指導の経験がある中学校教員400名への大規模質問紙調査を予定しているため,インターネット調査会社を活用する。質問項目数,実習指導経験のある中学校教員400名程度のデータ収集ができるかなどの観点から,インターネット調査会社の選定を行う。その後,インターネット調査会社を通した質問紙調査を実施する。今年度の前半を予定している。今年度の後半では,データ分析を行い,教師教育学会等での学会発表を行う計画である。 並行して,令和5年度に収集したインタビューデータの分析を進め,学術論文として投稿を行う。 次年度以降は,大規模質問紙調査の結果を学術論文としてまとめるとともに,現場教員からの助言を仰ぎ,学校種の相違を踏まえた実習生と指導教員にとって互恵的な教育実習指導のデザインを提案する予定である。
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