Project/Area Number |
23K02371
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
寺田 佳孝 東京経済大学, 全学共通教育センター, 准教授 (50705960)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 政治教育 / ドイツ / イスラーム / カリキュラム / 教科書分析 / トルコ / 移民 / 社会科教育 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ドイツの政治教育におけるイスラームの扱いに焦点を合わせ、その教育内容・教育方法を体系的に追究する。その主要課題は次の3つである。 1)1990年代以降のドイツのイスラームをめぐる諸問題や議論を整理しつつ、その実態を批判的に分析した諸研究を検討する。 2)ドイツの政治科の教科書、指導要領の「移民」「民主主義」「グローバル化」等の単元に注目し、イスラームに関わる教育内容を分析する。 3)ドイツにおける主要なムスリム集団としてのトルコ系住民に着目し、その生徒および保護者への聞き取り調査を実施し、政治教育に対するムスリム自身の評価・意見を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に以下3点の作業を進めた。 第1に、ドイツのイスラーム差別・イスラーム嫌悪に関する日本語文献およびドイツ語文献を収集した。その内容を分析し、一方でドイツにおけるイスラーム嫌悪の発生件数について統計を整理した。他方で、ドイツにおけるイスラーム嫌悪の歴史的整理、とりわけ冷戦後における各局面における内容の特徴について、その時期に話題となった事件(著書の出版や政治的対立、政党の主張など)を手がかりに整理した。 第2に、ドイツの政治教育におけるイスラーム問題に関する内容を整理した。具体的には政治教育学に関する出版物の内、イスラーム問題を扱っている著作・論文に注目し、その論点を整理した。その結果、イスラームに関する内容については、一方でイスラーム解釈による過激化予防の観点が強調され、他方でドイツ人の中に広くみられるイスラームに対する差別・イスラーム嫌悪を批判する観点が重視されていることが分かった。 第3に、ドイツに居住するムスリムの視点からイスラーム差別あるいは教育の課題について検討した。この目的から、主にドイツで出版されたトルコ人によるトルコ語文献を収集し、その内容を検討した。その結果、当事者の観点からイスラーム差別が批判される一方、ドイツの政治教育学やリベラル派の強調する「人権」や「自由」という点がムスリム自身から見た場合、必ずしも同意するものではないことを明らかにした。 以上の3点をまとめ、2024年3月に世界史研究会にて「ドイツの政治教育とイスラーム」というテーマで研究報告を行った。そのなかでは、2010年代以降の欧州の政治情勢と関連してイスラーム差別が広がっていること、必ずしも学問的な知識によらずジャーナリスティックな著作や政治家の発言を契機としてイスラーム嫌悪が拡大していること、そうした内容の中身について報告し、それとの対応でドイツの政治のカリキュラムを分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年の予定していた作業内容として、1、ドイツのイスラームをめぐる状況の文献収集とその内容検討、2、ドイツのイスラームを扱った政治教育の文献収集とその内容検討、3、ドイツの政治教育のカリキュラムと教科書の収集と検討、があった。このうち、いずれもその作業に取り掛かることができている。他方で、より深い分析がいずれも必要であり、次年度もこの点の作業を続ける。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の予定していた作業内容として、1、ドイツのイスラームをめぐる状況の文献収集とその内容検討、2、ドイツのイスラームを扱った政治教育の文献収集とその内容検討、3、ドイツの政治教育のカリキュラムと教科書の収集と検討、があった。この3点については、次年度以降も分析を続ける。 これに加えて、次年度は以下2点を重視する。 第1に、イスラーム当事者によるドイツの社会状況と教育状況の認識を検討する。この目的から、ドイツ在住のトルコ系の人々による著作を収集する。他方で、かれらに対するインタビューも可能であれば実施し、その具体的な意見を把握する。 第2に、本テーマに関し、ドイツにおける生徒たち(可能であればトルコ系も含む)のイスラームやポピュリズムに関する意見を収集する。そのために、現地の学校を訪問し、可能であればイスラーム等に関するアンケートを実施する。
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